旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 学割証の使用目的は制限されるのか? 本人しか購入できないのか?

 例年、この時期には学生さん向けの記事を書いているので、今回はこのテーマを取り上げてみます。とはいうものの、完全にプロ向けになってしまったので、結構難しいことを書いているかもしれません。

 

 【学割証の使用目的は制限されるのか?】

 

 厳密にいうと、発行時には事務手続上、制限されるということになります。なので、発行申請時に申告した目的と実際の使用時の目的が違っていたら、いちおう不適正な使用という話になっていいと思います。というのは、この取り決め自体が、JRと文部科学省が協議して、学生支援機構を通じて事務取り扱い基準として要請しており、JRと学割証使用者の間に直接、適用されるわけではないので、ずばり不正とまでは言いにくいのです。ただ、申告時と違う目的外使用をしたという点で、学則違反の問題は出てくるでしょう。

 

 まあ、そんな理屈はさておき、制度趣旨からしたら、目的制限は適切ですよね。まだ稼ぎもなかったり、あっても少ないような生徒や学生への勉学を助けるための制度なので、限定されても致し方ないと思います。

 

 歴史的には昭和29年の通達に始まります。「学校学生生徒旅客運賃割引証の取扱について」(文部事務次官通達・昭和29年文大生25号)というもので、国鉄と協議した結果が通知されています。

 その中で、「学割証発行上の注意について」という項目があり、「学生割引乗車券、通学定期乗車券のしおり」への注意を促すとともに、「単に各個人当たりの枚数を機能的に発行することなく、使用の目的を確かめて、発行し、不正使用の防止についても適切な指導を与えること」とあります。

 

 その「しおり」の内容までは確認できなかったのですが、現在、学生支援機構の通知文(「学校学生生徒旅客運賃割引証取扱要領」)となって引き継がれているとおもいます。

 リンク⇒ 学校学生生徒旅客運賃割引証(学割証)について - JASSO

 

 

 その中で、発行事由として7項目あります。実際に発行時はどれに該当するのか申告することになっている学校がほとんどでしょう。上記の取扱要領に従って使用目的を訪ねているのです。

 

(1) 休暇、所用による帰省

  →一人暮らしの者が実家に帰る場合ですね。私の場合は、学部生時代も含めてだいぶ迂回して帰っていましたがね。 


(2) 実験実習並びに通信による教育を行う学校の面接授業及び試験などの正課の教育活動

  →通信教育部のスクーリングや期末試験などを想定していると思います。体育の授業でスキーにいくとかもありますね。

 私の場合、名古屋に住んでていて、東京にある大学院にときどき通っているので、その際は往復とも学割を使用しています。大学院生は発行枚数の制限がないので助かっています。まあ、ぷらっとこだまでも総額は一緒ですけど、学割ならみぞみに乗れますので。

   

(3) 学校が認めた特別教育活動又は体育・文化に関する正課外の教育活動

 →各種研修などですね。部やサークル、ゼミの合宿などが相当します。なので、合宿が多いエリアの駅には専用券があったりしました。

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  これなんかスキー合宿とかゼミ合宿の帰り用ですよね。このときは万座温泉で学生団体の研修があったので、湯田中をまわって帰ってきました。

 

(4) 就職又は進学のための受験等

 →大学受験の時は使いまくりました。まだ地方試験などがない時代なので、宿泊費も含めて1回の受験で相当な金額が出ていきました。親に感謝です。

 ちなみに就職のために使うこともできますので、下記の裏技を是非、活用してください。 

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(5) 学校が修学上適当と認めた見学又は行事への参加

 →甲子園への応援などですね。私の場合は、学会に行くときに学割を使います。院生ですから、しっかり利用させてもらいます。さらに、学会で発表すると、交通費と宿泊費も大学院から援助されるので、大変助かります。発表しなくても、援助してもらえる大学院もあるようですね。 

 国際学会も発表する場合は援助してもらえることが多いようです。

 

(6) 傷病の治療その他修学上支障となる問題の処理

  →病気療養はわかるのですが、「その他修学上支障となる問題」とは何でしょうかね。親の入院とかでしょうかね。

 

(7) 保護者の旅行への随行

 → 私の場合は逆でした。企画も手配も私なので、保護者が私に随行している旅行ということですね。金は親が出しましたけど、引率するのは全て私です。

 

 

 さて、そうなると、疑問に思うのが、単なる遊びの旅行で学割は使えるのか?

 中学、高校ではダントツでトップの申請枚数(学校で1位だった。)、学部では年間制限10枚使いまくり、大学院でも使いまくっている私はどうなるのか。ちょっと気になります。

 これまで単なる遊びの旅行のときはその旨をきちんと申告して事務室では承認をもらっていたので、(3)の学校が認めた特別教育活動又は体育・文化に関する正課外の教育活動の「学校が認めた」「文化に関する課外の教育活動」の一環として理解していたのだと思います。余暇の一つということでしょう。

 少し文言解釈としては無理があるものの、(7)と比較すると、保護者との旅行で学割が使えて、保護者が同行しない旅行に使えないというのもバランスが悪いので、このような理解でいいと思います。

 

 ちなみに学生支援機構に尋ねたところ、この取扱要領はいちおうの基準を定めているもので、明らかに目的外でなければ、ある程度は発行する学校の裁量にゆだねているそうです。遊びの旅行で発行するかも学校の判断に任せているそうです。

 

 なので、いちおう趣味で最長片道(往復)切符を学割で購入する行為などについては、ぎり適正使用の範囲でいいと思います。

 逆に、人によっては研究目的ともいえますね。特に、情報処理の研究をする中でパソコンを使って最長片道切符のルートを弾き出して、実際にその通りに旅行した某氏などは完全に研究の一環ですよ。

 

 明らかにダメな事例としては、リゾートバイトに行くのに通勤費用が出ないので学割を使いたいとか、広告収入を得ているYoutuberが動画の撮影旅行に行くなどでしょうね。なので、確定申告までしている旅行系Youtuberが学割を使って旅行するのは若干疑問です(学割乗車券の研究目的なら取材対象として可となる余地がある。)。

 

 なお、この記事に書いている目的制限はJRの場合ですので、JR以外を利用する場合は、全く目的制限がない場合もあります。特に学生証を提示するだけのフェリーやバスなどは、単に学生という身分に対して割引をする場合が多く、目的を問わないことが多いようです。

 

 この考え方は、世界標準でもあります。ヨーロッパみたいに、学生のうちに自国を飛び出して冒険をするような者には人生の貴重な経験をさせてあげようという趣旨から遊びであっても学割を積極的に認めてもらえます。異文化交流ということですね。

 心が広いですよね。

 それは国際学生証の利用方法を見ると良くわかります。

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  【本人しか購入できないのか?】

 

 購入に関しては、営業規則上、何も書かれていません。ただし、国鉄時代は購入に当たっても本人が原則という運用になっていたようです(運輸研究会『旅客営業の研究』171頁)。現に乗車券には身分証明書の番号を記入することにもなっていました。

 

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 右が学生証の番号を記入する欄があった乗車券です。どちらも昭和57年のものですので、このあたりで番号の記入をやめたか、提示要請自体をやめてしまったのかもしれません。

 

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 ちなみにこれは、中学生の時に飯田線新城駅で購入したものですが、後ろに私の学生証の番号が記入されました。初めて求められたので、仕事熱心な駅員さんやなと思いました。

 

 現在、JRでは購入時に身分証明書の提示を求めていません。旅行会社での購入でも提示を求められたことはありません。検札(車内改札)ではしっかり確認するようですが、最近は検札を廃止している特急などもあり、不正使用が懸念されますね。

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  このように乗車券にも証明書を携帯するように記載されています。

 

 なお、近鉄東武などでは購入時にも身分証の提示を求めることが多いようです。

 

 結局、代理購入の場合もあるし、リモート式の券売機(下記参照)やネット購入(バスなど)なども考えると、購入時の身分証明の提示自体が事務処理上、無理があるから提示義務は徐々に無くなってきたのでしょう。

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