旅をあきらめて残った区間をすべて払い戻す方法です(旅規282条1項1号イ・282条の2)。通常、任意による払い戻しは、使用開始前か101キロメートル以上の未乗区間が残ってないとできないのですが、こちらは関係ありませんし、手数料も引かれません。
まず申告する場合ですが、有人駅でも窓口が閉まっている場合は、払い戻しができませんので、申し出だけして、都合のよい駅で後日払い戻ししてもらいます。
これは特急券の例ですが、発車前に払い戻し申告したことがわかりますね。
無人駅の場合は、車掌(ワンマンの場合は運転士)に申告して不乗証明を書いてもらいましょう。これに基づいて有人駅で払い戻してもらいます。戻る場合は無賃送還を許可したことも書いてもらってください。
芸備線の志和口と三次間が不通になった際、運転士に書いてもらいました。
払い戻しに至るにはいろいろな段階があります。
【1】 旅行前に払い戻す
そもそも旅行をやめる場合です。
【2】 途中まで使っている場合
発駅や途中駅まで無料で戻ってから、払い戻すことが可能です。戻る際は、きちんと無賃送還の証明をもらってください。詳しくは下記のリンク参照。
このとき特定都区市内に関連する場合は、中心駅を基準にします。
例えば、東京都区内→名古屋市内の乗車券で、新宿から乗ったとします。東京駅についたときに新幹線が止まっていたら、新宿まで無料で戻ることもできますし、東京で中止して払い戻すこともできます。この場合、基準は東京駅なので全額戻ります。
次に、同じ乗車券でユニバーサルシティへ行く場合に大阪環状線が止まっているので、大阪駅であきらめた場合は、大阪・ユニバーサルシティ間の運賃が戻ってきます。
【3】 他経路乗車をした場合
他経路(JRの別の線路)を通った場合は、本来の経路と他経路を比較して、他経路の方が安かった場合は戻ってきます。逆に高い場合は、追加運賃はとられません。リンク先の記事で私が行った草津線が普通で奈良線をとおった場合などが好例です。迂回ルートが高いにもかかわらず、追加運賃は支払っていません。
【4】 別途旅行をした場合
JR以外の手段で不通区間を避けて目的地に向かった場合です。この場合も不乗区間がありますので、払い戻し対象です。具体的な計算経路はリンク先の別途旅行を読んでください。
【5】割引乗車券を使っていた場合
往復割引などで片方を払い戻すと、無割引で乗ってきたことにされて、割引効果がなくなりますよね。しかし、この場合は災害なので、割引のまま計算します。
同様に学生割引も101キロ以上残ってなくても割引で計算します。
以上のように払い戻しに至るまでも様々な方法があるので、上図に駆使したら、無駄なお金を払う必要がないと思います。このあたりの処理は駅員さんも苦手なので、本ブログを参考に条文を伝えてあげたら調べてもらえると思います。