旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 自由通路の便利さを噛みしめる。入場券を購入せずに沼津駅の構内を通過する。(入場券代用証の話)

 沼津駅なのですが、新幹線に置いて行かれ、駿河湾フェリーも無くなり、特急あさぎり(現「ふじさん」)も発着しなくなり、斜陽化が著しいですよね。御殿場線東海道線だった時代を振り返ると(オレ生まれてないけど)、隔世の感です。

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 かつての栄華を偲ぶことのできる広い構内は、鉄ヲタには興味が尽きないものですが、地元の方には不便極まりないでしょう。なんせ、今は大きな駅ではメジャーとなった構内を横断する自由通路がありません。

 

 地図からご覧いただきましょう。

 なかなかの遠回りぶりです。高尾駅よりも手間がかかります。

 同じようなイメージだった青森駅の方は3月に自由通路が運用開始となり便利になっていますね。沼津も計画はあるようですが、進んでないようです。

 

 そして、やはり動画がありました。 


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  自由通路が無いと、それなりに面倒ですよね。

 

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 そこで思い出されるのが、「入場券代用証」の存在です。って、いきなりマニアックな話のどん底に落とすわけです。

 当時は沼津駅の北口に国鉄ハイウェイバスが発着していたので、バスの利用者にだけ通り抜け用の特別なキップが発行されていました。これもバスと鉄道が一体であった証しといえますよね。国鉄バスの沼津駅着の乗車券であるならば、 その乗車券で正面口で降りられてもしかるべきだろうと。しかしバスを降りてしまうので、乗車券を持たせたままにするわけにはいかない。そこで代用証の登場です。

 

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 こちらが原物です。むかし、意味もわからずに手に入れたものでしたが、沼津駅の造りをみたときに、なんとなく自由通路がないので構内を通りぬけるための物だろうとは予測がついていました。

 

  そして、首都圏本部旅客営業取扱基準規程を見たら、225条に規定されていました。 

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 この規定でもって高速バスの降車客のために設定されていたのです。 

 

 たぶん全国をみても、ここと越後中里しかなかったと思います。越後中里は裏側の山手がスキー場になっているので、通り抜けるためですね。

 

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 ちなみにこれは三島駅の「駅構内通過入場証」です。出口を間違えて自動改札機に乗車券を入れてしまった人用です。この手のものなら他の駅でもありそうですね。

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 制度的な裏付けがあるわけではないようです。おそらく駅独自で発行しているものでしょう。意図してもらったわけではなく、新幹線に近い方の北口で出て、駅舎の写真を撮り、反対側に行こうと思って改札口で相談したらもらえました。三島駅の構造がきちんと頭に入ってなかったので、マニア的にはちょっとカッコ悪いですね。

 

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 ここで終わらないのが、本ブログのウリです。

 入場券を購入せずに沼津駅の構内を無料で通り抜けたい!

 方法があるといえば、あるのですが、通り抜けるという目的では使えません。本来有効な乗車券をもっていても、通り抜けるのであれば入場券を購入しないといけないですし、現に需要のある東京駅や高尾駅などには通り抜け用(とは限らないけど)の定期入場券が存在します。むかしのフリーキップには注意書きもありました。

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 ただ、乗車した後に、出場したくなったというのであれば、いちおう大丈夫です(実際に区別は難しいので、旅客の良心に依ってしまうでしょう。)。 

 

旅客営業取扱基準規程

(旅行開始後発駅で出場する場合の取扱方)

第142条 普通乗車券を所持する旅客が、発駅で旅行開始した後乗車しないで出場する場合は、途中下車として取り扱うものとする。ただし、途中下車の取扱いをしない乗車券の場合は、特別の事情があるときに限る。

 (注)旅客が、送迎の目的で乗車券によつて入場したときは、別に入場料金を収受することになる。

 この規定で、特別な事情がなくても出場できるのは、101キロ以上の乗車券や青春18きっぷなどのフリーキップの類ですね。このような乗車券は途中下車が可能なので、有効な区間内の駅で自由に出入りができます(例外あり)。途中下車ができない乗車券の「特別な事情」は駅の判断になってきますが、指定券を買い忘れたのでみどりの窓口に行きたいとか、駅前のコンビニに寄りたいなどでしょう。塩尻駅ではそばが食べたい場合も「特別な事情」として許可されます(現地にて確認済み。)。 

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 では、沼津駅の北口から乗車して(改札を入って)、正面口に移動して、駅前でお土産を購入したい場合はどうか。 厳密に言えば、ダメでしょうけど、改札口で申し出たら、この規定を適用してくれて通してくれると思います。さすがにいったん出て、ホテルに泊まって翌日に再入場するというのであれば、入場券を買ってくれと言われるでしょうが、ちょっとお土産を買う程度なら、通り抜けでも承認されるべきでしょうね。そのあとですぐにJRに乗るんですから、そこまで堅い話をしないでくれと。

 なお、この話は、大きなターミナル駅でも応用可能ですので、わざわざ遠回りをするのではなく、お土産を買いたいのでいったん入場してから別の出口で出たいのですが。。。と相談すると、(たぶん)許可されると思います。まあ、入ってしまってから、ちょっとお土産を買いにいったん出ますと言えば、規則上、途中下車可能な乗車券なら可能ではあるのですがね。。。

  

 (昔から自由通路のあった西若松駅) 

 マニアの間で、元祖自由通路駅といえば、なんといっても西若松駅です。今の西若松駅ももちろん自由通路になっていますが、そんなシャレた自由通路ではないんですよ。もともと構内の跨線橋だったところに強引に出札と改札を造って自由通路にしているので、普通に正面口の旅客ホームを歩くという不自然さが面白かったのです。当時のお堅い国鉄の割には粋な計らいをしている駅として有名でした。

 残念ながら、改札の写真は撮っていませんが、正面口と裏口の写真は撮っています。

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 (自由通路といえるのか微妙な浦河駅

 3月で廃止になってしまいましたが、浦河駅の自由通路もどき。厳密に言うと自由通路ではなく裏口なのかもしれません。もともと構内だったところが公共の道路になってしまったので、自然のながれで裏口ができてしまったということですね。 自由通路という扱いではなかったと推察されます。

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