旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符などについて語ります。

【切符系】 入場券の在庫がなくなったらどうなるのか?(補充券での入場券発行はあり?)

 過去に入場券がなくなった事例が多かったのは、国鉄の最終日でしょう。私は飯山線から只見線会津線に乗っていましたが、かなりの駅で在庫切れになっていました。やはり国鉄最終日だけあって大量に買っている人が多かったようです。

 

 では、在庫切れになって、実際に入場したい人がいた場合はどうするのか?

 いくつか事例を見ていきましょう。

 

 まずは最低区間の乗車券を入場券の代用として発行する場合です。金額が同じなので、ゴム印を押して代用にしてしまいます。これが制度上、一番一般的なやり方です。

まあ、ゴム印がなくても、最低区間の乗車券と同じ金額なら、乗車しようと思って取りやめたと考えたら理屈はあいますしね。九州の漆生線の漆生駅の事例です。

 規程では、382条の2で、代用として特別に承認されています。ただ、入場券と同額の常備片道乗車券とあるので、隣駅までが遠いなどの理由で同額の常備片道乗車券が無い場合はできませんね。

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 次は補充券で入場券を発行するパターンです。

 下の事例は、精算所で発行されるものですので、新幹線のホームなどに立ち入るために発行されたものと思われます。在庫切れというわけではなく、もともと入場券を置いていない窓口か、多客時に通路にテーブルを出して販売している事例だとおもいます。

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 下記は自ら購入したもので、在庫切れ対応のものです。普通に入場券を集めていたら、この駅で在庫切れという話をうかがいました。チャンスと思って、その場合には実際にどういった応急措置をするのですか?と食い下がりました。結局、鉄道管理局に問い合わせてもらい、正式なイレギュラーの発行をしてもらいました。

 もともと、切符系の本で入場券代用のことは知っていたので、上のような乗車券を代用したものが手にはいるだろうと期待していたところ、思わぬ券種でおどろきました。面倒がる駅員を説得して発行してもらったので、だいぶ嫌な小学生だったと思います。思い出の1枚です。静岡県二俣線西気賀駅となります。

 おそらくですが、上に掲げた漆生駅のように「入場券」というゴム印が無いことが要因で特補での発行になったものと思われます。それにすぐに在庫補充をする予定だったことも影響していると思います。苦肉の策での発行でしょう。

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 JRの出札補充券での例です。これは在庫が終わったわけではなく、特別に作ってもらったような形だと思います(もらい物のため詳細不明)。そもそも仙崎は無人駅扱いなので、入場券を売ること自体が制度上ありえないです。このような駅では入場券を購入することなく、構内に立ち入ることが可能です。

 ただ、JRになってからは、端末や印刷発行器を置いている簡易委託駅で入場券を発行する例も登場しており、あいまいになってきていると思います。

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 私が訪れた平成2年のときは売店で乗車券を売っていました。

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 料金専用補充券での例です。これは、廃止最終日なので純粋に在庫切れだと思います。

 入場券は料金であることからすると、こちらの方がしっくりきますね。静岡鉄道管理局と盛岡鉄道管理局の判断の違いがわかります。

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 私鉄の例も一つ。京阪電鉄の補充券の入場券で、専用のゴム印があるところからいっても、イレギュラーという感じでもなさそうです。

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 補充券での入場券発行はあり?

 いちおう旅客制度も研究するブログなので、この点に触れておきます。

 JRの場合で、補充券が発行できる券種は、乗車券(定期乗車券・回数乗車券・団体乗車券・貸切乗車券)、急行券、特別車両券(グリーン券など)、寝台券、座席指定券、特殊乗車券(クーポン券など)と「払戻証明等の取扱いをした場合」となっています(244条)。この中に入場券は含まれていませんが、在庫切れや券売機の不具合があって窓口に入場券がない場合は、現実には困ってしまいます。上記の漆生駅のように専用のゴム印があればいいのですが、手書きで券面に書くにもしんどいですよね。

 

 そう考えると、少々、解釈論としては強引なのですが、「払戻証明等の取扱いをした場合」の「等」に含めて、理解することが可能です。法技術的には拡張解釈といいます。起草者は想定してないものの、否定はしないだろうし、制度趣旨からも許容されうるということで拡張解釈をしました。制度の欠缺を解釈で補う形です。おそらく静岡鉄道管理局も盛岡鉄道管理局もこのように考えたのだと思います。

 その先は、出札補充券を選ぶのか料金専用補充券を選ぶのかの差ですが、入場券は料金なので、大畑駅の方がエレガントといえます。

 

 さらに、上野駅仙崎駅の例も制度的な裏付けをしておきます。これらは、特殊区間用特別補充券に分類されるもので、一般用特別補充券の代用として用いられるものですので(基237条)、上記と同様の意図で発行することが可能と判断したと思います。

 

 ただ、仙崎駅の例は別の意味で制度的な裏付けが欠けます。無人駅(簡易委託とも)の場合は、入場券の設定自体が本来ありえないのですが、ここ数十年は入場券が半ば記念目的化していますので、希望のある旅客には発行しているのでしょう。実際に印刷発行器で出された例も多数あります。もっとも、印刷発行器でだせるようにしているのは、多客時に立ち売りで発行したり、券売機の故障などの事態に備えているのだと思います。

 

 

  おまけ

 国鉄末期は乗車券と入場券の兼用のものが北海道でありました。これの在庫がなくなった場合は、代用品がなくなってしまいますね。その後、JR北海道になった時にはきちんとした入場券が復活しています。

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