「ヨ」といえばこちらですが。今回はこの話ではありません。
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ということで、きっぷマニアさんの「ヨ」はこちら。
つまり、これ。
この「ヨ」は、現在の主流である天虎工業製の日付印字器では入りませんが、昔の菅沼タイプライター製ではレバーを引くことで入れることができました。
これが菅沼タイプライター製の日付印字器です。
このレバーを引くと、前出の飯田駅の入場券のようにヨが入ります。
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では、規定上の根拠はどこにあるのでしょうか。
日付に関する旅客営業取扱基準規程を見てみます。
(乗車券類発行日付の表示方)
第187条 乗車券類を発行する場合は、第190条第3項の規定によるものを除いて、発行当日の日付を表示するものとする。ただし、24時直後に出発する列車又は連絡船に乗車船する旅客に対し、その直前に発行する場合は、当該列車又は連絡船の出発当日の日付を表示するものとする。
(以下略)
これは国鉄時代からある規定ですが、ヨに関しては何も書かれていません。厳格な日付のルールが明記されているだけです。但書の方は、0:05とかに発車する列車に乗る乗客に直前に発行する場合の例外です。0時前でも翌日の乗車日をいれるという運用基準が明記されています。発車直前は窓口が混みあうので、あらかじめ日付を替えておくということですね。0時前後で購入した旅客への不公平にならないようにも配慮しているのだと思います。
さて、当時の国鉄には、売上は21時に締めるという原則がありました。これに沿うと、締めた後で発売したきっぷは、売上日が翌日というずれた状態になります。そこで考え出された方法が「ヨ」なのでしょう。会計基準の方は合理的な理由があれば売上日を動かせますから、きっぷ自体の日付は厳密に処理しながら、売上だけは締めた時間より後のものを翌日に回すという措置ですね。
そうしないと発行日は乗車券の有効期間にかかわるので、おかしくなってしまいます。
そんなヨですが、天虎工業製の日付印字器をつかうころには、必要なくなっていたのかもしれませんね。券番で管理すれば十分ですから、乗車券面に売上基準日を明確にする必要性はないと考えられたのでしょう。
なお、このへんの「ヨ」の運用規定は、首都圏本部、支社や管理局の通達類を見ても出てきませんでした。識者の意見を求めます。
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ちなみに手回り品切符にはまだ名残があります。
実際に入った物がなかったので、画像に上書きしていますが、このように日付の横に「ヨ」が入る場合は翌日の売上となります。