旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符など。リンクフリーです。

【営業規則系】 最長片道きっぷを使って北陸新幹線に乗る方法(3/15までに購入した方むけ)

 3/15以前にスタートしている方向けの記事です。

 お手持ちの乗車券の金沢・敦賀間は北陸本線経由になっていると思いますが、これで北陸新幹線に乗る場合、どういった措置になるのかです。

 大前提として、旅規16条の2のような規定はないですし、同一線路と認める通達も出されてないので、特急券を購入しても、そのまま乗車することはできません。

 

 

 1 IRいしかわ・ハピラインふくい通過連絡

 まずはこちらを経由できないか気になると思いますが、無理です。そもそもこの区間の通過連絡が認められていません。仮にできたとしても、IGRいわて銀河の盛岡・好摩間もしくはBRT大船渡線(社線に準じた扱いをしている)を経由している場合は、もう一つ社線を加えるようなことはできないので、区間変更はできません。

 

 2 新幹線経由に区間変更する

 となると、金沢・敦賀間を北陸新幹線区間変更するのが通常の対応です。旅規249条1項3号のいわゆる「経路変更」です。3/15より前だとできませんが、3/16以降なら可能です。できない理由は北陸新幹線の新規開業区間については、3/16以降有効開始の乗車券に限って発売する旨の通達があるからです。

 また新規開業区間に係る区間変更は対応できないという説がありますが、特段、区間変更の対応ができない理由は見当たりません。新規開業区間が新たに生じたところで区変をした事例は先行事例があります。

 原券に廃止区間がある場合に区変ができないという規定もありません。

 

 さらに、「あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け」(旅規249条1項柱書)の「承諾」がないのであればできないのではないかという方もいますが、この承諾はJRの自由裁量を認めているわけではないです。運送区間の契約変更意思をお互いに確認するという契約条件を変更する法的な行為を意味します。

 

 なお、通常、区間変更をする場合は、社内補充券発行機もしくはマルスなどで処理ができますが、上記のような経路変更は対応してなかったと思いますので、改札補充券での処理となるでしょう。

 

 (経路変更でもマルスで処理できる事例)

 

 3 原券を回収されたくない場合

 (1)改札補充券での発行

 区間変更をした際、原券を回収することが原則ですが、最長片道きっぷの場合は原券を回収されない可能性が高いと思います。回収されそうになったら下記の理由を添えて頼みこんでみてください。

 回収根拠となる基準規程263条を見てみます。

 (乗車変更の場合の原乗車券類の回収)
第263条 乗車変更の取扱いをする場合は、原乗車券類を回収するものとする。ただし、次の各号に掲げる場合は、旅客鉄道会社線と連絡会社線とにまたがつて乗車変更の取扱いをするときを除き、原乗車券類を回収しないで、特別補充券とともに所持させることができる。
(1) 普通乗車券で区間変更(変更後の区間に原乗車券の乗車区間がある場合又は原乗車券が矢印式、地図式若しくは金額式の場合に限る。) の取扱いをする場合
 (2号以下 略)

 この規定の「変更後の区間に原乗車券の乗車区間がある場合」に該当します。敦賀から新大村がまだ残っているからです。

 さらに最長片道きっぷの場合は、多数の途中下車印が押されていると思いますし、運行不能にあった方はすでに乗ってきた区間の不乗証明などの記載もあると思いますので、回収はまずされないでしょう。途中下車は運行不能になった際の払い戻し基準駅を判別する機能がありますし、不乗証明がある場合は、当該区間を最後に払い戻す可能性が残されているからです。まあ払い戻すときっぷは回収されるので、だれもやらんとは思いますが。。。

 

 途中下車印については、備考欄に「最近下車駅 富山」などと記入する方法もあると思いますが、これは引換の場合の方法なので、区変券には使わないでしょう。使っても間違いではないですが。

 

 (2)券面証明での変更

 改札補充券の発行は時間がかかりますので、この方法を頼んでみるのも手かもしれません。幸いにして、距離は違いますが、金沢・敦賀間の北陸新幹線の運賃は、北陸本線時代と同じですので、無収受ということになります。

 そうすると、次のような簡易な券面証明で行ける可能性が高いです。

 これは中央本線経由で帰宅しようと思ったときに、急用が入ったので東海道新幹線経由で帰宅したときのものです。区間変更は差額があっても返金されないので、無収受となります。

 

 途中下車ができるような乗車券で、このような券面証明をJR西日本がやっているかわかりませんが、JR東海はやっているので東海エリアにいるうちに区間変更の申し出をするとよいでしょう。

 

 なお、この券面証明ですが、最長片道きっぷのような途中下車が可能な乗車券については、基準規程上、明確ではありません。次のような100キロまでの乗車券や大都市近郊区間内相互間の乗車券を前提にした規定を拡大解釈して運用しているのだと思います。

 (旅客運賃を収受しない区間変更の取扱方)
第266条 規則第156条第1号及び第2号の規定による途中下車禁止の乗車券によつて、区間変更の取扱いをする場合は、その取扱いによつて変更後も有効期間、途中下車制限等の運送条件が変更とならないで、かつ、旅客運賃が追収受とならないときに限り、乗車券の券面に「何何駅に区変」の例により記入証明して取り扱うことができる

 あるいは料金券の変更をする場合の規定の類推適用といえるでしょう。

 料金券の区間変更(使用開始後)の規定が乗車券類変更(使用開始前)の規定を準用しています。 

 (区間変更の取扱いの特例)
第273条 
 (1項 略)

2 自由席特急券普通急行券(急行・自由席特別車両券を含む。) 及び自由席特別車両券(B)を所持する旅客が、使用開始後、乗車駅又は下車駅の変更の申出があつた場合は、規則第249条第2項第2号の規定を準用して取り扱うことができる。この場合、料金額が同額のときは、第272条第1項の規定を準用して取り扱うことができる

 

 (乗車券類変更の取扱いの特例)
第272条 普通乗車券急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券及び座席指定券所持する旅客が、使用開始前に、当該乗車券類の乗車駅又は下車駅の変更の申し出があつた場合で旅客運賃及び料金が同額(同額の場合であつても、指定席を2個列車以上使用するときは除く。) のときは、乗車券類の券面に「乗車駅何駅に変更」の例により記入し、かつ表面に「乗変」の例により赤書きして証明のうえ、旅客に交付し、乗車させることができる。この場合、原乗車券類が指定券の場合は、割当上支障がないことを確認のうえ取り扱うものとする。
 (2項以下 略)

 

 4 あきらめて別途片道を購入

 もちろん追加費用で金沢・敦賀間を乗るのは構いませんが、せっかくなので、券面に不乗証明をもらっておいてはいかがでしょうか。最後に金沢・敦賀間だけ払い戻すことができますよ。乗車券は回収されますけどねw。

 

www.estoppel.jp

www.estoppel.jp