旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符などについて語ります。

【営業規則系】 列車運休時のJRの取り扱いが間違っていたので、指摘したら金が返ってきました。

 まずJR西日本の対応はどこも丁寧であったことはお伝えしておきます。

 今回の件は、私自身も経験がなかったのであまり知識がないところです。この度、途中で運休に遭遇したのですが、あらためて調べたら駅の対応がおかしかったので指摘してみました。現場では、一緒に調べて相談して結論を出しているので、エラそうには言わないですが。。。

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 もともとの予定は下記の内容の通りです。 

 

 ルートをおさらいしてみます。

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 上記のように米原(は運転停車なので、正確には東京からですが。)からサンライズで来て、出雲市に行ってから木次で温泉に1泊しました。翌朝、木次駅に向かうと、出雲横田から備後落合(×印部分)までが大雪で除雪が間に合っておらず運休とのことなのです。

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 ちなみに、これで困った乗客は俺一人。

 出札で他経路乗車を相談すると、代行バスなどなく、他経路はないので、発駅にもどるか払い戻すかしかないとのことでした。 運転士曰く、ひょっとしたら次の列車は運転するかもとのことで、出雲横田まで行きました。本来は亀嵩に降りてそば屋に寄る予定でしたが、着いたら休みだったので、すぐに同じ列車にもどり出雲横田まで行った次第です。

 

 で、出雲横田駅横のそろばん会館などを見学して、待っていても復旧のめどは立たないため、来た道を「やくも」に乗って引き返しました。まあ、381系は満喫できたのでよかったのですが。

 

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 ここからは複雑怪奇な運休時の取扱いを見ていきます。 

 

 ● 他経路乗車が認められるのか?

 

 そして本題のJRの対応の間違いですが、私は他経路乗車(別ルートで目的地に向かう)を申告しているので、これが認められるかが争点です。

 一見、他経路というと、宍道駅で不通を知ったのであれば、山口線をまわっていくという方法(下図の青⇒)が考えられますが、既に木次まで来ていたので他のルートがなさそうに見えます。木次駅の駅員も私も、話し合っている中で、このような結論にいたりました。

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 しかし、他経路乗車の場合は、「すでに乗車した区間の一部を復乗して乗車させる」(基程360条)ことが可能なので、多少のバックはできるのです。合理的に考えて、宍道まで戻る程度は許されるでしょう。

 したがって、差額なしでスーパーおきに乗って新山口に出ることはできたと思います(おきの特急券は別途必要)。

 この点について、木次駅の駅員も私も思い至りませんでした。

  

 ● 伯備線を戻ることができるのか? 

 

 では、下図の矢印のように宍道までではなく、岡山まで来た道を戻ることは許されるのか?

 同じく360条に「最短経路以外に順路があるときは、これを指定して乗車させる。」とあります。既に宍道を通り過ぎているので、やくもに乗って倉敷に戻るというのは遠回りすぎるようにも思えますが、宍道から福岡に向かうのに伯備線を使うというのは一般的でしょう。それに、もともと福塩線で福山にでるのが本来のルートです。

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 そう考えると、順路の一つといえますので、伯備線経由も認められていいでしょう。そして、上記の「一部」を多少の拡大解釈をすれば、出雲横田⇔倉敷間の復乗を認めると考えることができます。

 したがって、伯備線を経由して岡山まで戻ることもできそうです(倉敷⇔岡山間は区間外乗車として認められる)。

 私の指摘後のJRの判断もこのような形です。

  

 ● 払い戻しは適切であったのか?

 

 私は駅員の見解につられて、出雲横田から先を払い戻したのですが(無手数料)、その駅員さんは途中までの無賃送還という制度を見落としています。

 無賃送還は、「旅客が無賃送還の取扱いの請求をした場合は」、「その事実が発生した際使用していた乗車券の券片に表示された発駅(……)までの区間(以下「無賃送還区間」という。)を最近の列車等(……)に乗車する場合に限り取り扱う。」(規則284条)とありますので、出雲横田から米原までの間の駅に戻ることができるのです

 

 ということは倉敷もしくは岡山まで無賃で戻ることができるのです。

 で、倉敷か岡山でそのあとを払い戻すということもできますし、他経路乗車として倉敷⇔福山間を山陽本線経由とすることもできるのです(岡山⇒福山の新幹線を他経路と考えることもできる。)。

  したがって、払い戻すにしても出雲横田から先ではなく、倉敷もしくは岡山から先が払い戻しとなったはずです。実際には松江駅で払い戻したのですが、松江駅木次駅と同様の間違った案内をしたようです。

 

 ● 岡山まで戻るときに特急に乗れるのか?

 

 私は岡山まで戻るときに、特急券を購入して特急やくもに乗っていますが、これは買う必要がなかったようです。

 規則284条によると、急行(もちろん特急を含んでいる)や特別車両券(グリーン券・寝台券など)を利用して乗車してきた場合は、同じようなグレードで戻ることが可能です。サンライズののびのびシートに乗ってきていますから、同じグレードのやくもの指定席で戻ることが可能です。

 

 ● 最終的に戻ったもの

 

 こんな感じです。

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 ① 出雲横田→福岡市内 乗車券

 ② 宍道→岡山 特急券(やくも)

 ③ 岡山→福山 自由席特急券(新幹線)

  ただ、③は返金するのではなく、福山→博多の自由席特急券を岡山→博多に乗車変更の取扱いを想定すべきであったと思います。どうも戻しすぎの感はありますが、まあもらってしまったので、そのままにしておきます(法律上は不当利得にあたるので、返金要請があれば返します)。

 それは 、規則285条1項2号イの「急行列車に乗車した旅客が、列車が運行不能のため、他の経路を急行列車に乗車する場合。」とある「急行列車に乗車した旅客」をどう読むかです。私は、サンライズに乗っていたものの、運行不能時は木次線普通列車に乗っていましたのでこれに該当するかが争点です。JR西日本は私に有利に解釈してくださったのでしょうが、文言解釈からすると無理があります。

 

 これの典型的な事例は、サンライズ出雲に乗っていた旅客が熱海駅で運転打ち切りとなった場合に新幹線に乗車できるような措置ですね。私が一昨年、車内で耳にした事案は、新大阪から新幹線に乗っているときに、中央線が普通となり、特急しなのに乗車する予定の旅客に東京周りで北陸新幹線への他経路振替を案内していたものです。こういった措置は厳格に決められているので、JR東海JR東日本の仲が悪いといっても、気分で断れるような代物ではないということですね。

 

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 今回は非常に難しい事案だったので、木次駅松江駅を責めるつもりはありませんが、他経路乗車と無賃送還の解説マニュアルぐらいは現場に配備しておいてほしいものです。

 

 ということで、災害時に役立つように、運休時の対応特集をそのうち記事にします。