旅と鉄道の美学

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【国内旅行系】 恥ずかしがったら負けかな 途中下車印スタンプラリー

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 切符がこんな風になってしまう途中下車印とその制度のお話です。ちょっとダサいので慣れないと恥ずかしいと思います。検札の時に、これをちら見した隣の客に質問されるときがあります。JR北海道や九州の駅員や車掌は見慣れているだけあって、「どのあたりに押しましょうか?」と聞いてきます。

 今見ると、きれいに並べたらよかったなと思います。これから実施される皆さんは、頼んできれいに並べたらいいかと思います。

 

 次の記事は究極に押しまくった場合の事例です。

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 マルス券の場合は、このように帯の部分に左から並べていくといいと思います。この位置なら指で触ってしまうことも少ないので、にじむリスクが軽減できます。

 

 ちなみに昔の周遊券は下のように押す位置がありました。

 検札印は鋏状になっており、端から3㎝以内ぐらいにしか押せませんので、上に並べると逆さになります。M印の上の「青森運輸区」、北海道の上にある「札幌車掌所」、右端の5日間有効の上にある「函館車掌所」が検札印です。

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 まず、捺印で気を付けていただきたいのは、マルス券だと乾くのに時間がかかるということです。

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 上記の例は、左から新飯塚田川後藤寺、別府です。このうち新飯塚は、乾く前に自動改札を通してしまい文字がつぶれてしまいました。速乾性のハンコを使い始めている駅もありますが、まだまだ普通のシャチハタが多いので、押された後は十分に乾かすようにしましょう。

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 しかし、乾かすといっても、ドライヤーの温風は避けてください。用紙が感熱紙なので、上記のようにくすんでしまいます。こうなることは知っていたのですが、うっかり中村駅で途中下車した後にホテルのドライヤーで温風を使ってしまいました。

 

 こちらが滲みにくい下車印ですが、それでも乾くまでに1時間ちかくかかります。

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 だいたいJR東日本の東京近辺の駅に配備されています。

 

 一部の私鉄では券面自体を吸収しやすい材質にしている場合があります。

 これはあいの風とやま鉄道の乗車券ですが、普通のゴム印でもすぐに吸収されて滲みにくい仕組みになっています。表面は艶消しのような印象です。

 

  ★  ★

 

 それでは、本題に入りますが、本記事はマニア向けに現役の駅員でも知らないようなことも入っていますので、難しいところは読み飛ばしてください。ちなみに上の周遊券が何者なのか気になった方は下記へ。

 

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 まずはこれをご覧いただきます。外見だけでわかる方は元国鉄職員か40代以上のマニアでしょう。JR社員でも若い人は知らないと思います。

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 国鉄時代の駅に備えてあった途中下車印(スタンパー)です。飯田線天竜峡駅の物で最後の「峡」の字が半分つぶれているので廃棄処分として売りに出されたのでしょう。2000年ぐらいまではかろうじて目にしました。現在はシャチハタ型や単なる小さなゴム印になっているパターンが多いと思います。

 

 

 

 途中下車制度とは

 とりあえずここから始めます。簡単にいうと、主にJRで101キロ以上の乗車券の場合は、後戻りしなければ改札の外に出られるということです無人駅の場合は列車を降りること)。しかも有効期間内であれば、その日に戻る必要もありませんし、さらに先の駅から乗っても構わないというものです。

覚えるべき注意点は、

 ① 東京都区内などの特定都区市内発着の乗車券では、そのエリアでの途中下車は不可能(券面や駅名表に[区]や[山]と記載があるもの)。ただし、そこまでの運賃を別に支払えば可能。

 ② 回数券は不可。

 ③ 都市近郊区間内の乗車券は不可(新幹線経由は含まれない)。

 東京でのエリアはこちらを参照⇒リンク 運賃計算の特例:JR東日本

  ※東京はかなり広いです。

 ④ 割引切符のたぐいは都度、制限されていることがあるので注意事項をよく読む。 

 ⑤ フリー切符はフリー区間に入る前は途中下車不可の事例もある。

 ぐらいでしょう。

 

 

 究極の形が青春18きっぷです。券面をよく見てください。

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 「普通列車乗車券」とあるように企画乗車券の一種でJR全線に乗れて途中下車も自由という乗車券にあたります。途中下車について何も記載がありませんが、それはJRの制度が原則として途中下車自由となっていて、制限する場合が例外にあたるからです。

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 このように「下車前途無効」とありますよね。例外規定を注意喚起するためにわざわざ表記されているのです。

 

 さて、JR以外では、下記の記事にあるように、途中下車制度は、かなり限定されてきます。

 また、JRと私鉄で101キロ以上ある乗車券は途中下車が可能となりますが(近鉄や南海はそれでも不可。)、東京は数年前に近郊区間が拡大したうえ、新幹線経由の乗車券がだんたん売れなくなってきているので、事実上、途中下車できる乗車券を購入するのは難しくなっています。

 ※このへんは別記事で特集をします。

   

 (私鉄で途中下車が可能な例)

 

 (私鉄発JRで途中下車をした事例) 

 

 途中下車はマニアの専売特許ではない

 会社で途中下車の話をしたら、制度自体を知らない人が多いことに驚きました。意外と乗車券をぶつ切りにして旅行している人が多いようですね。これでは時間も金ももったいないです。総務の担当だったときに、大阪に行ったん降りて、福岡に往復する出張申請が出てきた場合は、乗車券を往復で買って、大阪で途中下車するようによく説教したものです。もちろん「途中下車の制度というものワ~ぁ↗(語尾上げる)、・・・」という眠くなりそうな講義付で、最後にベタベタに押された乗車券の画像を見せてドヤ顔で〆ると。

 

 ということで、知っているだけで出張にも役立ちますね。安いだけではなく窓口に並ぶ手間も省けます。

 最近ではJRの駅で乗車券を購入する場合に、「名古屋まで」というと「その先、別の駅まで行かれますか?」と質問されて、「名古屋で途中下車ができますので、美濃太田までおつくりしますね。」といった丁寧が回答が返ってきます。むかしは手計算で面倒なことや、サービス意欲がそもそも無いこともあって、 こんな質問は帰ってこなかったと思います。マルスが配備されて、どんな小さな駅でも瞬時に計算されることもあって、駅員もこのような対応になってきたのでしょう。

 

 まとめて買うコツは下記の記事をご参考に。この記事は意外と人気があるらしく、アクセス数がずっとトップ5に入っています。内容もときどき増強していますので、再度読んでいただくと得るものがあるかもしれません。 

 

 デザインもさまざま

 JRになって、上の国鉄型の途中下車印が劣化した駅で独自の進化をしていました。いくつか事例をあげます。

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 益田と新宮は、駅員さんの個人印を流用しているみたいな様相です。本来、規則上はこの形は不可です。上記で規則に適合するのは、野尻、美濃太田豊橋、京都、新横浜です。戸狩野沢温泉は駅名小印といって、本来は訂正に使うものですが、国鉄末期は混用されていました。

 野尻と京都が古い仕様で、美濃太田豊橋は新しく認められた形(「特別下車印」という。)ですね。なお、複雑な漢字はひらがなやカタカナにすることもできました。 

 新横浜は[海]が入っているので、新幹線に乗ってきたことがわかります。

 

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 最近ではこのように日付とセットのスタンプもあります。

 

 駅代印もおしてもらう

 

 乗車券のルートからはみ出たときに、別の駅で下車をする場合は、特別な記載方法があります。例えば東京都区内⇒福岡市内の乗車券で、大阪駅から大阪環状線に1駅乗って福島で降りたとします。

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 このときは福島駅の改札口で大阪→福島間の運賃を支払って、所持していた乗車券に下記のような捺印がなされます。

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 大阪駅が押すべき途中下車印を福島駅が代理で押しているので、「代」ですね。これで、その乗車券は大阪まで使用されていることの証しとなります。本来、内部規則ではこのような処理をすることが決められていますが、まじめに対応する駅員は少ないので、申し出て押してもらってください。

 なお、上の事例のように分岐で到着する客の多い駅には専用のゴム印がありますが、無い駅は手書きに途中下車印となります。

 

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 これは小学生の時にやっていた【本当の意味の】途中下車スタンプラリーです。不思議なことに一度も断られたことはありませんでした。本来、押すべき物ではないので今は断られるでしょう。呑気な国鉄時代の産物です。今思うと、だいぶ非常識なことをやっており反省するところです。

 

 積極的に押す駅、押さない駅

 途中下車印というのは、もともと下車した駅名を捺印して、不正使用を防ぐ目的にあるので、押さない駅員は任務懈怠ともいえますね。国鉄時代の末期は、こちらから何も言わずに押す駅員は5%を切っていたと思います。最近、都心部の駅は積極的に押しています。不正撲滅の一環でしょう。 地方に行くと、まだまだ押さない駅が多いですね。

 

 マニア的には押してくれと言う手間が減りますが、逆に美観上、きれいに残したい乗車券の場合は押さない駅員の方がありがたいというときもありますw。

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 これなどがそうです。このときは長野電鉄の須坂を含めて3駅ぐらい途中下車していますが、珍品で汚したくなかったので、途中下車印を押されないよう祈りました。最悪、押さないように頼み込む心構えで。

 

  私鉄の途中下車印 

 

 JR以外ではどうでしょうか。私鉄だと、途中下車印すらない駅も多いです。途中下車印の設置があるのは、私の記憶の限りですが、西日本鉄道伊豆急行京浜急行小田急電鉄東武鉄道野岩鉄道会津鉄道青い森鉄道IGRいわて銀河鉄道しなの鉄道えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道大井川鐵道、京都丹後鉄道、阿佐海岸鉄道土佐くろしお鉄道です。観光客が多そうな路線が多いですね。京急東武などは途中下車制度をよく知っていて、秒速でハンコがでてきます。

 

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 左から鶴見市場(京急)、会津田島会津鉄道)、東京スカイツリー東武)、小郡(西鉄)、天神(福岡市交通局)です。

  ※天神は厳密には途中下車印ではありませんが、下車の意味で押されたものです。

 宿毛土佐くろしお鉄道

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 中村(土佐くろしお鉄道)、宍喰(阿佐海岸鉄道
  

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 宮津(京都丹後鉄道)、天橋立(同)、豊岡(同・「丹鉄・豊岡」と表記)

 

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 新井(えちごトキめき)、富山(あいの風・駅名の左は〇に「あ」)、泊(同)、十日町北越急行・駅名の左は〇に「北」)

 新井はJR時代の物を引き継いでいる感じですね。泊は富山とおなじような、あいの風専用の下車印も存在するようなので、この菱形は特別下車印(一時出場を認める意味)ですね。

 

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 森本(IRいしかわ)、新金谷(大井川鐵道)、大場(伊豆箱根鉄道

 浅虫温泉青い森鉄道)、八戸(青い森鉄道

 途中下車印が無くて、駅名小印で代用してパターンです。

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 瀬戸市愛知環状鉄道)、三河豊田(同)

 途中下車制度があった時代の守口市(京阪)

 

 バスの途中下車印(というか記入)

 JR東名ハイウェイバスは自由に途中下車できるので、運転手さんが記入します。下記参照。

 

 途中下車印ブーム?

 マニアの間ではちょっとした静かなブームがあったと思います。一つはワイド周遊券の時代です。上のリンク記事にあるように、フリー切符的に利用する場合に踏破の記録として押してもらっていたことが多いと思います。

 今一つは青春18きっぷですね。上のように下車した駅のハンコでスタンプラリーをすることができるからです。これはマニアではなくてもやっている人は多いですね。

  ただ、これらのハンコは不正使用防止には役立ちませんので、乗客向けサービスに近いです(もちろん押すのが本来の姿ですが。)。

 

 

 無人駅はどうなのか

 無人駅は駅員がいませんので、ハンコはありません。それに改札ではなく、列車を降りたときが下車扱いです。この場合にどうなるかですが、国鉄の首都圏本部の基準規程にありました。

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 このように車内改札鋏(下記)とセットで手書きをするようですね。JRになってこのやり方が踏襲されているのかは不明です。

 このやり方は、飯田線でも聞いたことがあります。かつての国鉄バスのやり方を援用しているのでしょう。

  さらに、最近は全国的に無人駅が増えているので、無人駅止まりの列車で途中下車できない乗車券を持っていたら無効となって回収されるのか疑問に思う方もいるでしょう。これは設備の都合上、出場させるという扱いと同じなので、引き続き後続列車で乗車可能です。ローカル私鉄でありがちな、駅員がいても、ワンマンの運転士が集札を行うタイプも同じ考え方です。 

 

 

 発駅でいったん出たい場合

 たとえば、塩尻駅で乗車券を買って改札を入った後に、そばを食べたくなり、二人しか立てないカウンターが満席の時はいったん改札の外に出て待合室で食べることになります。この場合、途中下車可能な乗車券の場合は発駅での出場措置として途中下車に準じて扱いますので、旅客の権利として遠慮することなく堂々と改札外でそばを食べることが可能です(規程142条柱書)。

 途中下車できない乗車券の場合は、同条の但書にある「特別の事情があるとき」に該当するかが問題となりますので、お願いベースになりますね。普通に現場でも認めていました。「そばが食べたいが、カウンターが満席」という事情が「特別の事情」です。

 ※上記の場合に途中下車印を押すかどうかは、解釈の分かれるところでしょうが、「途中下車として取り扱うものとする。」と記載されているので、押すべきでしょう。

 

 (実例)

  (関連記事) 

  

 途中下車できない乗車券で押す事例

 だいぶ重箱の隅に入っていきます。途中下車できない乗車券でも押す事例はあります。

 

 ① 改札が分離している駅

 浜川崎ときいて反応した人はかなり鉄分濃いめです。 この駅は南武線鶴見線の改札が道路を挟んで離れているので、140円でいける大回り乗車で聖地となる駅です。改札を出ないで旅をする大回り乗車の唯一の例外とのことで一部の人に有名です。ただ、現在は南武線側も無人になってしまって面白みがありませんね。

 このような場合は、途中下車ではなく、いわゆる途中出場で、規程上、途中下車印を押す決まりになっていますが(規程145条)、無人では無理ですね。有人駅時代に大回り乗車券に途中下車印を押してもらおうと思っていましたが、いつのまにか無人になってしまいました。

 

 かつては福岡県の香椎線の終点である宇美駅が有名でしたが、宇美線が廃止されてなくなってしまいました。「点と線」に登場する香椎駅香椎線ですね。他には尼崎駅と石巻駅がありましたが、統合されてしまいました。 マニア的にはすっかり面白みがなくなりました。

 

 現在、このような形で改札が分離していて、両方とも有人で、乗り換えるために一度出ないといけないのは三河安城です。

 この駅は東海道線と新幹線のホームが大きく離れているうえ、連絡通路は自由通路の役割も果たしているので、改札が分離しています。

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 立ち寄って乗り換えのための出場をしてみたところ、駅員さんはしっかりと途中下車印(特別下車印)を押してきました。規則をよくわかっているようです。「下車前途無効」の乗車券なのに途中下車印が押してある点に注目です。

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 ちなみに本来の途中下車の場合は、このような印影となり、旅客の意思で途中下車をしたことを意味します。上の◆の特別下車印は乗換の都合上、出場しただけという意味になります。

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 自動改札機の場合は「特別下車」と表記され、これも途中下車とは区別されます。

 

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 こちらが連絡通路です。結構歩きますよ。

 

 ② 旅客サービスとしての一時出場

 乗り換え時間が長かったりする駅で、旅客が一時的に改札外に出る需要のある駅では、途中下車不可の乗車券であっても、改札外に出られるようにしている場合があります。詳しくは下記を参照ください。

 

 

 ③ 選択乗車区間で別ルートに乗り換える場合

 選択乗車区間で、別のルートに乗り換える場合は駅が離れているので、間をつないでいる路線がJRでないと改札を出ざるを得ません。その場合には、一時出場の意味として途中下車印もしくは特別下車印が押されます。ただし、実務上、このような取り扱いをしているのはJR東海のみです。 

 

 

 ④ JR・私鉄連絡駅

  いったん外にでるタイプの乗り換えで有人改札を通る時に途中下車印を押している例がちらほら見られます。これもそこまで使っているという確認のために押しています。途中下車ができない乗車券の場合も同様です。(連絡運輸規則76条の「連絡接続駅」扱い。)  これは本来の途中下車に該当します。

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 これが実例です。下車前途無効とありますが、水戸駅で途中下車しています。これは上述の通り水戸駅が連絡接続駅となって、途中下車禁止の例外にあたるから、降りられるということです。 

  

 

 ⑤ 大阪⇔北新地を歩いて乗り換える場合

 ここは乗り換えが認められている駅同士なので、大阪市内発着の乗車券で特例措置があります。ただし、「乗り継ぐため」なので時間的な限定はあろうかと思います(規程145条2項1号)。時刻表には当日中の乗り換えとあります。

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 このように出場の証として途中下車印が押されます。途中出場であって、途中下車ではありません。一時出場ですね。

 

 ⑥ 新神戸で乗り換える場合

 神戸市内発着の乗車券で三ノ宮、元町、神戸、新長田の各駅と新神戸間で乗り換えた場合も例外的に認められています。この駅間は、バスでも、地下鉄でも構いませんが、 同様に制限があるでしょう(規程145条2項2号)。時刻表には当日中の乗り換えとあります。

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  これは六甲道からJRで三ノ宮に移動して下車した事例です。三ノ宮は神戸市内の駅ですので、途中下車できませんが、新神戸から新幹線に乗り換える前提であれば、出場可能です。その証として途中下車印が押されます。

 

 もちろん移動の際の運賃は別に必要です。

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 これは地下鉄の新神戸駅の看板ですが、東京都区内→神戸市内の乗車券で利用できないことが記載されています。

 

 ⑦ 駅地下で弁当買いて~ってな場合

  例えば、秋葉原から東京都区内発の乗車券で乗って、東京駅で新幹線に乗り換える場合に、改札の外に出たいと思ったときは秋葉原駅から東京駅までの運賃を支払えば出場可能です。このときは東京駅で出場したことを記録するために途中下車印が押されます(はずです)。(規程161条)

  なお、東京駅の場合は、東京駅からの特急券をもっていれば、出させてくれるという駅独自のルールがあるようです。先日、そのように言われました。

 

  新幹線の駅での途中下車はどうするか

 在来線がある場合は、いったん在来線への乗換改札をでて、さらに在来線出口の有人改札で押してもらえばいいと思います。新幹線と在来線の乗換改札を通っただけでは途中下車ではありません。 

  

  押しすぎると切符を回収される

 途中下車印は表側に押さなければなりませんが、表に押せなくなったら裏に行きます。ハンコだらけで裏も含めて券面が見えなくなったら、発行替えする決まりになっていますので、ベタベタにしすぎるとこうなることがあります。

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 参考書の事例しかありませんが、このように補充券で完全に別の乗車券になってしまいます(『旅客関係帳票記入例 車掌編』(日本鉄道図書))。

 もっとも、発行替えの処理は手間なので、ほとんどの改札係はぎりぎりまでこの発言はしないと思います。だれかやってみたら面白いかもしれません。どの駅の改札係が発行替えを言い出すか、ちょっとしたチキンレースになります。私が駅員だったら、再発行の処理をしてみたいので必ず言うと思います。

 

 たしか宮脇俊三最長片道切符の旅だったと思います。途中下車を繰り返していたら、券面が見えなくなって、途中駅で発行替えを打診されたことがあったようです。氏は回収されてはこれまでの苦労が水の泡と思ったらしく、適当にあしらっていました。

 (規程144条4項)