旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符など。リンクフリーです。

【営業規則系】 無人駅で車掌さんの途中下車印をもらってみた。

 先日、飯田線の特急伊那路4号に乗っていて、平岡駅で途中下車をしようとしたのですが、車掌さんが途中下車の記録をしてきました。頼んだわけでもなく、検札で平岡で降りることを知っていたので、車掌さんから声をかけてきたのです。

 制度自体は知っていたのですが、初めて言われたので、この制度はまだ生きていたんだと感心した次第です。

 わたしは、鉄ヲタの中でも、普通片道乗車券を使って無人駅で途中下車をする機会は非常に多い方なのですが、そんな私でも初めて出会いました。聞くと、内部通達でできる限りこのような記載をするように指導があるそうです。担当車掌区は伊那松島運輸区です。

 真面目というか、不正乗車に対して厳格な対処をしており感心します。私のように、セコイながらも不正乗車をしない客からすると、気持ちの良い対応ですね。

f:id:Estoppel:20210806195248p:plain

 そこで、豊橋運輸区の方も同じような処理をするか確認をすると、時間的余裕がある時はこのような記載をするそうです。せっかくなので書いてもらいました。

 

 従って、JR東海管内にあっては、頼んだらこのような記載をしてくれるので、途中下車のアリバイ作りにはもってこいですね。他のJR各社でやっているのか定かではないので、確認でき次第、追記します。

 

 (追記記事)

www.estoppel.jp

 

 なお青春18きっぷや各種フリーキップのように途中下車の記録自体が意味をなさない乗車券については、そもそも途中下車印を省略することも可能なので、忙しい場合は断られると思います。また、記入してもらうにしても、あらかじめ申し出るなど、車掌さんの業務を圧迫しないよう配慮できるといいですね。

 

  ★  ★

 

 さて、制度面の裏付けの確認です。関連する規定は2か所になります。まずは、国鉄・JRを通じて事務処理基準のあたる「旅客営業規則基準規程」です。

 

 

 

 JR・旅客営業取扱基準規程

(途中下車印の押なつ方)
第144条 旅客が途中下車した場合は、自駅名を表示した次の各号に掲げる途中下車印を当該乗車券の表面に押すものとする。ただし、第2号にあっては「何日何駅下車」の例により、記入することをもつてこれに代えることができる
 (1)鉄道区間
 ※図略※

 (2)自動車線区間
 ※図略※

 この中の自動車線区間を見ると、「何日何駅下車」という手書きでの処理を想定しています。自動車線の場合は、途中下車は原則として禁止されていて、指定駅だけが可能なのですが、ほとんどの駅(バス停)では乗務員が改札業務を行うので、手書きが想定されているのでしょう。 ちなみに、今はどうかわかりませんが、JRバスの草津温泉駅では、きちんと改札が行われていました。

 

 この規定だけでは、無人駅の取扱いはよくわかりませんね。

 

 さらに細則にあたる次の規定を見てみます。

 

 国鉄・首都圏本部旅客営業取扱基準規程

(駅員無配置駅の旅客の取扱方)
第4条 駅員無配置駅(駅員配置時間を限定した駅における配置時間外を含む。以下同じ。)の旅客の取扱いは、次の各号に掲げるところにより乗務員が行うものとする、
 (1)乗車の場合
 ※略※
 (2)途中下車の場合
 途中下車する旅客に対しては、乗車券面(定期乗車券、団体乗車券及び貸切乗車券を除く。)に車内改札鋏をもって入鋏し、裏面に(何々途中下車)の例により途中下車駅名を記入するか、又は次の下車印を押す。

 ※図略※

 

 こちらが今回の処理方法の縁由のようです。ただし、ここでは「車内改札鋏」とありますね。現在でも車内改札鋏はスタンプの形で携帯していますが、券面の証明は車掌個人の認印が用いられています。これはおそらく、他駅から照会するときに取り扱った車掌をすぐに特定できるようにしているのだと思います。

 昔の国鉄や私鉄の特補などは個人の認め印を押す慣行がありますからね。  

 

www.estoppel.jp