IC全盛の時代に、まったくもって役に立たない軽めの雑学を一つ。
JRから私鉄、私鉄からJRへまとめて乗車券を買ってしまった場合に、下車前途無効の乗車券でも、接続駅で途中下車できてしまうというお話です。
例えば、この乗車券。
JR亀有からそのまま東京メトロの千代田線直通の列車にのって西日暮里に行く場合の乗車券です。下車前途無効とありますが、北千住で改札を出ることができます。
こちらが実践例です。
勝田から大洗に行くときに、昼飯が食いたくなったときにこの規定を思い出して、改札を出させてもらいました。その証拠が右上の途中下車印です。これは押すように頼んだのではなく、駅員さんが自ら押してきましたので、規則の理解も含めてしっかり改札業務ができていますね。
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では、理屈編になります。
以前の記事で、「途中下車自由の原則」と私が名づけたルールを紹介しましたが、大原則は乗り降り自由です。運送契約は論理的には●駅から▲駅まで運んであげますよという契約なので、途中で降りようが自由なのです。
しかし、近距離であまりに乗り降りされると事務が煩雑になるうえ、収入も減ってしまいます。さらには乗車券が回収できず不正乗車の温床にもなってきます。そこでJRの乗車券は、100キロまでと近郊区間にかかわる乗車券は下車前途無効という例外を定めています。そして、この規定は旅客連絡運輸規則を通じて同内容がJR・私鉄の連絡乗車券にも適用されています。
ただ、「連絡接続駅を除く」とありますので、この例外である途中下車不可の規定は適用されないわけです。上記でいうと、北千住、水戸で下車が可能というわけです。
これは、連絡乗車券の発生経緯からもしても納得できます。本来は鉄道会社ごとに乗車券を購入するのが原則ですが、それでは鉄道会社側も旅客側も手間なので、一括で売ってしまって、運賃収入の精算は各会社間でやるという形で効率化をしています。なので、連絡乗車券を購入した旅客に損をさせるわけにはいきませんから、このような措置なのです。特に連絡接続駅は買い物などの需要の大きい駅が多く、旅客側の途中下車の要望もあるわけです。
さて、接続駅が二つになる場合は二駅で可能です。
登戸と新宿ですね。
ということで、営業規則研究サイトでもあるので、最後に規則を抜粋して終わります。
(途中下車)
第 76 条 旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため 2 駅以上を共通の着駅とした乗車券については最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車等に乗り継いで旅行すること(以下「途中下車」という。)ができる。ただし、次の各号に定める駅(連絡接続駅を除く。)においては、途中下車をすることができない。⑴ 全区間のキロ程が片道100キロメートルまでの区間に対する普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅。
ただし、列車等の接続駅で、接続関係等の理由により、旅客が下車を希望する場合を除く。⑵ 第46条及び第47条の規定によつて発売した乗車券を使用する場合は、当該乗車券の券面に表示された発駅又は着駅と同一の特定都区市内又は東京山手線内の旅客会社線駅
⑶ 前条第 1 項第 1 号イの(ロ)に規定する区間に発着する普通乗車券所持の旅客は、その区間内の駅
⑷ 自動車線区間内の駅。ただし、運輸機関が指定した駅を除く。
⑸ 運輸機関が特に途中下車できない駅を指定した場合は、その指定した駅
(注) 第46条又は第47条の規定によつて発売した乗車券を使用する場合であつても、特定都区市内又は東京山手線内にある旅客会社線駅に接続する連絡会社線の駅発又は着の乗車券による旅客は、その接続駅と同一の都区市内又は東京山手線内旅客会社線の順路内の駅で途中下車をすることができる。