旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 絶滅危惧種 私鉄の途中下車制度(総まとめ)

 皆さんもだんだん途中下車の魅力がわかってきましたね。

 便利なのですが、ICカードの普及で廃止する鉄道会社が増えていますので、まとめ記事を作ってみました。旅行に出かけたとき、ちょっと降りてみようかなと思ったら活用してください。知っておくだけで、便利だと思います。

 

 途中下車とは何?と思った方は下の過去記事へ。

  

 この記事では自社線のみの普通乗車券で途中下車が可能なパターンを扱います。JR連絡の場合は次回の記事で特集します。また、フリー切符などは全国の私鉄でかなりの充実度だと思いますので、旅行前は各社のHPで確認することをおすすめします。先に確認していかないと、現場でうっかり聞き忘れたり、掲示を見忘れたりします。また購入できる駅や時間が限定されている場合もあります。

 

 

 ●青い森鉄道

  101キロ以上で途中下車可能。学割も可能。

  リンク⇒ 普通乗車券・回数券・入場券 | 青い森鉄道株式会社

  

 ●三陸鉄道(途中下車できませんが。。。)

 「途中下車きっぷ」という区間が限定された企画乗車券があります。

 リンク⇒ 三陸鉄道片道途中下車きっぷ発売のお知らせ | 三陸鉄道

 でも全線で163キロもあるのに途中下車不可というのはいかがなものか。。。

 もともと北と南で分かれていた時代の規則なのでしょうけど、これだけ長距離になったのなら規則を見直すべきでしょう。特に南北分離していた時代は、間にJRを挟みつつも、三陸鉄道・JRとも途中下車できたのですから、この点では南北統一でサービスが低下したと評価せざるを得ません。

 

 裏技としては、東北新幹線で行った場合、新花巻→宮古、盛岡→釜石、八戸→釜石などいった形で、いったん接続駅で降りてJRから三陸鉄道連絡乗車券を購入し、101キロ以上を確保する方法があります。これでJR部分も三陸鉄道部分も途中下車可能となります。買いなおす時間がないときは新幹線の車掌から購入してください。

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 これは三陸鉄道からJR連絡という逆パターンです。3日間有効で、三陸鉄道でも途中下車ができます。 例えば久慈⇒釜石の場合はJR小佐野まで購入し、久慈⇒盛の場合は、JR大船渡まで購入するなど、わざと一駅JRに入り込めば途中下車可能な乗車券が作れます。

 

  ●会津鉄道

 距離制限はないが、湯野上温泉駅塔のへつり駅のみで可能。

 「JR・会津・野岩・東武」(JR側発着駅は会津若松に限定。東武側は浅草、北千住など。)もしくは「会津・野岩・東武」(3社)の連絡乗車券で101キロ以上あれば、この2駅以外も途中下車可能です。 

 ※東武と野岩だけでは、101キロ以上あっても途中下車できません。

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 4社連絡乗車券の事例。 学割でなければ機械ですぐ発券してもらえます。

 

 ●あいの風とやま鉄道

 101キロ以上で途中下車可能。学割制度はない。

  リンク⇒ きっぷの種類 | きっぷ・ICカード | あいの風とやま鉄道株式会社

 

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 こちらが実例です。倶利伽羅・市振間全線にのってやっと101キロ以上です。倶利伽羅無人なので、車掌から購入したらいいでしょう。

 

 ●立山黒部貫光

 

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 開設期間に限りますが、バス区間の弘法、弥陀ヶ原、天狗平で途中下車可能なようです。5日間有効という点もすごいですね。

  

 ●伊豆急行(自社線内の途中下車制度は廃止されました。)

  24キロを超える場合は可能

 2020年4月26日追記。自社線内の途中下車制度は廃止されてしまいました(非常に残念!)

 リンク⇒ よくいただくお問い合わせ|伊豆急-おすすめ電車旅<観光・海・リゾート・温泉>

  例えば伊豆急下田から熱海までまとめて買ってしまうと途中下車できませんが、伊東までならできることになります。伊東までの乗車券で途中下車し、伊東線の車内で最終目的地まで乗りこしたらよいでしょう。逆の場合は、車掌に伊東で打ち切ってもらい、伊東から伊豆急下田までの乗車券を別に売ってもらえば途中下車していけます。

 あるいは伊豆急行の駅から東京に行く場合は、新幹線経由の乗車券にすればいいのです(逆もまたしかり。)。選択乗車制により東海道線も乗れますので、踊り子も乗れますし、伊豆急行でもJRでも途中下車が可能という万能乗車券がつくれます。

 これで踊り子に乗った場合、おそらく会社間の運賃精算でお金はJR東海に流れるのでしょうが、実際はJR東日本の路線に乗っているという妙な感じになるのでしょう。

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 まだ近郊区間が狭かった時代のものです。2日間有効で途中下車可能でした。

 

 ●箱根ロープウェイ

 途中駅すべてで可能です。

 リンク⇒ 営業時間・運賃|箱根ロープウェイ

 

 ●箱根登山鉄道(現在はできません。)

 箱根登山鉄道の古い乗車券をみると二駅先までの乗車券ですが、途中下車前途無効ではありませんね。当時は島原鉄道と同様に無制限でできたのだとも思います。

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 ●近畿日本鉄道(現在はできません。)

 下記は古い補充券の裏面です。むかしは101キロに満たなくても駅が限定されて途中下車可能でしたし(当時はホームに「途中下車指定駅」と看板がありました。)、101キロ以上はどの駅でもできました。現在はどちらもできません。さらにJR連絡乗車券で101キロ以上あっても、近鉄内ではできません。

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 ●一畑電車
 雲州平田駅一畑口駅に限る。

 

 ●高松琴平電鉄

  距離制限はないが、指定駅に限る。たくさんあるので詳細は下記へ。

 リンク⇒ よくあるご質問:きっぷと運賃のルール -ことでん-

 

 ●伊予鉄道

 距離制限はないが、松山市駅のみに限る。詳細は下記。

 リンク⇒ 電車・バス情報 | 伊予鉄の電車・バスの乗り方 | 伊予鉄

   

 ●西日本鉄道

 17キロを超える場合可能。ただし同じ運賃の駅は不可。 有人窓口で申告しないと自動改札機に飲み込まれる。

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 駅の案内看板にもきちんとかかれています。

 

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 こちらは駅で見せてもらった営業規則の途中下車印のページです。

 

  リンク⇒ 乗り越し・途中下車|電車情報|西鉄(にしてつ)くらしネット|バス・電車時刻表やおすすめ情報

 

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 上の物は改札補充券で発行された例です。宮の陣と久留米が重複乗車になっていますが、特例の片道扱いになっているので、甘木→久留米→福岡で通しの距離計算をしています。これはレーザープリンタで打ち出されるので、年数がたっても消えません。記念に残したい場合はこの乗車券を発行してもらうといいでしょう。

 久留米駅では、まったくマニアとは思われない夫婦も途中下車をしていたので、結構、需要があるのだと思います。

 

 下の物は券売機で購入し、小郡で途中下車したものです。確かに下車前途無効とは書かれていませんね。

 

 ●島原鉄道

  距離制限なく可能。ただし同じ運賃の駅は不可。

  おそらく明治の開業以来、そのままの制度でしょう。ここも伊豆急行と同じような話になります。たとえば南島原から長崎まで直接買ってしまうと、JRとの連絡運輸規則が適用されて101キロ以上なく途中下車不可ですが、自社の諫早までにしておけば途中下車できるわけです。

  これだけ自由に途中下車できる鉄道会社は日本で唯一となってしまいました。本当にここだけです。フリーキップなんて買う必要がありません。素晴らしい。

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 この乗車券で本諫早で途中下車をしましたが、途中下車印はないとのことでした。

 

 ●真岡鐵道 ※2022.11.16追記項目

  真岡鐵道も自社線内途中下車可です。

 営業規則上は不可ですが、現場の運用上の慣行で途中下車を認めているようです。券売機券にも「下車前途無効」とあるので、尋ねた人だけがわかるということですね。

 

東武会津・野岩との連絡乗車券は可能。JRとは新幹線経由が無理なので不可。)、近鉄近江鉄道の途中下車制度は既に廃止されています。

 

 以上の通り調べまくってみましたが、あまり出てこなかったです。なんだか寂しいですね。情報は各社のHPやメール、電話を使って調べていますので、現時点において正確です。