無人駅は増えるし、窓口は減るし、車掌は乗ってねーし。どんだけ不便なんだよ!って思っている方は多いと思います。特に事前に乗車券を購入しようにも難しい地域にお住いの場合はかなり無駄な出費を強いられることにもなります。
そこで、どんな便宜措置を講じているか確認してみました。
【事例】
下図のように無人駅で乗って、無人駅で途中下車する場合、もしくは乗り換える場合を想定します。
Aが有人駅なら目的地のCやDまでの乗車券を購入していけばいいわけですし、Bが有人駅ならそこで乗車券を購入すればよいわけです。101キロ以上の乗車券であれば(大都市近郊区間内相互発着の乗車券除く。)Bで途中下車可能です。また、Bが無人駅でも乗り換えのための一時出場は認められています(下記リンク参照)。
Aが簡易委託駅などの制限された乗車券しか発売してないなら、とりあえずマルム扱い(下記リンク参照)のありあわせの乗車券で乗車し、あとで正規の乗車券に買替とすればよいわけです(最近のマルムは近距離券しか発売してないので、同様の問題が起きますが。)。
乗車券を所持してない場合は、降りるたびに精算しないといけないのでしょうか。金はかかるし面倒ですよね。
これに該当する規定は、下記の通りです。
(乗車券類の購入及び所持)
第13条
列車に乗車する旅客は、その乗車する旅客車に有効な乗車券を購入し、これを所持しなければならない。ただし、当社において特に指定する列車の場合で、乗車後乗務員の請求に応じて所定の旅客運賃及び料金を支払うときは、この限りでない。
原則は乗車前に乗車券を所持することですね。この規定があるので、隣接する有人駅では無人駅発の乗車券も発売していますが、これだけ無人駅が増えると現実的ではありません。現在は、但し書きの「当社において特に指定する列車の場合」が、無人駅から乗車した場合の列車に相当します。
(駅員無配置駅の旅客の取扱方)
第15条
駅員無配置駅から乗車する旅客の取扱いは、列車の乗務員が行う。
そして、この規定の通り列車の乗務員(車掌もしくは運転士)が対応するのです。
(乗車券類の発売箇所及び発売方法)
第19条
乗車券類は、駅において、係員又は乗車券類発売機により発売する。ただし、普通乗車券以外の乗車券類は、当社の指定した駅において発売し、また駅員無配置駅から有効となる乗車券類は、その駅員無配置駅に隣接する駅員配置駅において発売する。
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前項の規定にかかわらず、旅客が乗車券類を所持しないで駅員無配置駅から乗車した場合又は旅客が係員の承諾を得て乗車券類を所持しないで乗車した場合は、係員が普通乗車券、急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券又は座席指定券を当該列車内において発売する。
こちらはもう少し具体的な規定です。車掌がいれば車掌が乗車券を発売し、いない場合は運転士が対応します。しかし、一般的に運転士は乗車券を発売することが少ないので、困ってしまいます。
そこでどう考えるべきかというのが、本記事の具体的な争点となります。
上記の事例で二つに分けて掲出します。
●ケース1:AからCまでが101キロ以上あり、Bで途中下車する場合。
●ケース2:AからDまでが100キロ以内であり、Bで乗り換える場合(ホームには乗り換えるために降りる。)。
【JR北海道】
ケース1、ケース2ともに、Bで下車する時点で目的地のCもしくはDまでの運賃を支払い、精算証明書を発行。この先の駅や車掌から正規の乗車券に替えるか、精算証明書のまま下車する。
【JR東日本】
ケース1は、B駅でいったん精算し、次に乗車した際にBからCまでの運賃を支払う必要がある。
ケース2は、整理券をもったまま乗り換えて、次の乗った列車の車掌から購入するか、着駅で精算する。
(整理券の事例)
【JR東海】
JR東日本と同様。
【JR西日本】
ケース1、ケース2ともに整理券をもったままBで途中下車や乗り換えのための一時出場が可能。その先は車掌や途中駅で乗車券を購入するか着駅で精算。
【JR四国】
JR西日本と同様。ただし、運転士が社内補充券発行機をもっていることもあり、その場合は運転士が乗車券を発売するとのこと。
【JR九州】
JR西日本と同様。
以上から、いちばんエレガントな処理は北海道のように思います。ワンマン運転が早くから始まっただけあって、国鉄時代からの旅客対応の公平性などの観点が反映されている一方で、不正乗車をさせない姿勢も感じますね。西日本や四国、九州のやり方だと、無賃で逃げられるリスクがあります。東日本と東海は、規則上、いいといっても、ちょっとひどすぎにも感じます。ただ、東海は、車掌が乗っている場合も多く、他の駅からの乗車券も柔軟に発売するので、ケアはできている印象はあります。