この記事は、自社線だけではなく、JRと私鉄、私鉄と私鉄の合わせ技で101キロ以上の乗車距離を確保して、途中下車をしてしまおうという企画です。メリットは、途中下車ができないような私鉄であっても、この乗車券を購入することで途中下車ができてしまうことです。昔は広範囲で発売されていて、誰も聞いたことがないような山奥の駅やバス停、離島の港から東京までの乗車券なども存在しました。いまは清算手間回避とICチケットの普及で、制度が廃止されたり、範囲が縮小したりしていますので、絶滅危惧種といえます。
【目次】
1 概説
2 JR⇒私鉄・私鉄⇒JRのパターン
3 私鉄⇒私鉄のパターン
4 JR⇒私鉄⇒JRのパターン(通過連絡運輸)
5 私鉄⇒JR⇒私鉄のパターン(通過連絡運輸)
6 青春18きっぷの特例
1 概説
まずは実践例から示します。
これは八代から川内までの第三セクターである肥薩おれんじ鉄道の乗車券です。この鉄道は全線乗りとおすと、116キロ3時間2620円なのですが、乗車券を途中で切らないと、途中駅で降りられません。フリー切符もあるのですが、1日間しか有効ではなく、2940円と高額です(土日祝なら2000円の券がある。)
それをJR区間を一駅分だけ170円(川内→隈之城)を追加するだけで、どこでも降りられる魔法のキップに早変わりするのです。ほぼフリーキップに変身です(戻れないという欠点あり。戻りたければその区間の往復乗車券を購入すればいい。)。
からくりは下図の通りです。
バラバラに買うと、肥薩おれんじの規則とJRの規則もバラバラに適用されて、乗換駅の川内でしか下車できませんが、まとめて購入すると、突然、適用規則が変わるのです。その連絡運輸規則では、まとめて101キロ以上の距離があれば途中下車可能となっているのが要因です。
なお、実際に購入する場合は、ネットなどにアップされている乗車券の画像を印刷して窓口に提出するとスムーズにいきます。制度がマニアックで、窓口の駅員さんも即答できないため、調べる資料になり、感謝されます。作成するのが面倒な乗車券ですが、京急などでは快く対応していただけます。東武や小田急は、機械で発券できるので、すぐ出てきます(一部区間は手売りなので時間がかかる。)。
基本的に制度が存在する以上は、面倒だから断るということは許されないので、そこは強気でいっていいと思います。そうしないと途中下車という有利な制度を利用できなくなり、旅客が損害をこうむってしまいますから(細切れに購入して無駄な出費となる)、不正な取り扱いです。
結構いるんですよ。面倒だから適当にあしらって断る駅員が。手書きが嫌だとか、機械の操作が難しいだとかで。ちなみに私が駅員のときは面倒な案件は逆に大歓迎でしたので、マニアに優しかったと思います。最近の地方の私鉄では、異業種からきた委託の駅員さんも多く、規則や機械に苦手な方がいるので、一緒に業務マニュアルや規則類を読んでアドバイスしたりします。30分ぐらい苦労して発行することもあるので、出来上がったときは、お互いハイタッチ並みの感動をもってお別れです。逆にずっと鉄道につとめている年配の駅員さんにあたると、昔取った杵柄で、いとも簡単に難しい乗車券を発行することがあり恐れ入ります。しかもスゴイ達筆で。
こんな出会いも旅の思い出ですね。
【併用して購入する裏技】
それではケーススタディに入りますが、共通する裏技を先にお伝えしておきます。通常、多くの連絡運輸範囲は限定されていますので、遠くから行く場合や、遠くに行く場合は、乗り越ししながら移動すれば途中駅で降りる必要がなくなる点です。
例えば名古屋から新幹線に乗って小田原で乗り換えて新宿に行く場合です。小田急の連絡運輸範囲は浜松までなので、名古屋からは直接新宿まで買えません。むかしは買えました。この場合、熱海まで乗車券を買っておいて、新幹線の車掌か小田原駅で新宿までの乗り越しを申告すればいいのです。逆の場合も同じです。あまりこのような買い方をする人はいないので、「小田原で切るので、先は小田急の小田原駅で購入してください。」と言われると思いますが、「途中下車をしていきたいので、新宿まで通しで売ってください。」と付け加えてください。 熱海は大都市近郊区間に含まれますが、熱海⇒小田原間を新幹線経由にすることで大都市近郊区間からはずれて2日間有効な途中下車可能な乗車券となります(詳細は後述)。
もう少し詳しい実例は下記を参照ください。
2 JR⇒私鉄・私鉄⇒JRのパターン
まず、そもそも規則上、売れる範囲が101キロいかない場合があるので、これは基本的にはあきらめるしかありません。詳しくはリンクのサイトを見てください。
【迂回ルートで購入する方法】
基本的と書いたのは、裏技があるからです。連絡運輸の場合は、接続駅は明記されていても、それ以外の経路まで限定されていないことが多く、迂回するルートを発行してもらえる場合があるからです。最短ルートでは100キロに収まっても、迂回することで101キロを確保したら、途中下車が可能な乗車券を出せるからです。JR側の自動券売機を使った事例がネットには上がっているようですね。
迂回事案としては下記のような買い方です。
普通の人は清音から岡山に行く場合は、赤色ルートで行くと思いますが、これを敢えて神辺と福山を経由して、101キロ以上を確保して、井原鉄道で途中下車をしていくのです。井原鉄道は土日祝しかフリー切符がないので、このような買い方が威力を発揮します。途中下車の際、運転士さんは乗車券を凝視して一寸考え込んでいました。
もう一つ変な例です。
JR御殿場線の松田駅と小田急の新松田駅は道路を渡るだけなのですが、これを敢えて鉄道で1周する乗車券にしてみました。こうすると、同じ金額で小田急線内でも途中下車できてしまうのです。つまり、本来であれば途中下車できない新松田⇒小田原の片道乗車券と同じ運賃負担で途中下車し放題のフリーキップ状態になってしまいます。
最後にJRバスとの事例です。これは特例があるので、JRの鉄道区間が近郊区間に含まれていても、途中下車可能な乗車券が作れます。これはかなり迂回したルートでも発行してもらえます。
詳細な理由は下記を参照ください。
【近郊区間を外す技】
また、東京や大阪などの近郊区間の場合は注意する必要があります。
例えば、松本から出ているアルピコ交通(元松本電鉄)の新島々から東京都区内の乗車券。
3日間有効で4480円。この当時は松本電鉄もJRも途中下車可能です。しかし現在は、近郊区間が松本まで拡大しているため、同じ乗車券を購入しても、松本以外では途中下車できません。
このようにJRが近郊区間だけの範囲だと、途中下車ができませんので、経由に新幹線を入れて発行してもらいます。こうすることで都内でもかろうじて途中下車というマニアックなことが可能です。また、これで並行している在来線に乗れます。具体例は関連記事(【営業規則系】 絶滅危惧種 私鉄の途中下車制度(総まとめ) - 旅と鉄道の美学)の伊豆急行の項目を見てください。
最近は、新幹線経由を売らなくなっている会社もあるので、この場合は「下車前途無効」の乗車券となり途中下車はできません。しかし、さらに裏技があります。私鉄側で新幹線経由を売らない場合でも、JR側では売る場合が多いので、JRの駅で私鉄連絡か、逆方向の乗車券を売ってもらえばいいのです。
逆方向で売れない場合は、往復で購入して片方だけ払い戻す方法でクリアできます。
これは小田急の例です。小田急はJR東海エリア(熱海を越えるか、新松田から御殿場線に入る。最遠で浜松まで買える。)まで購入すれば近郊区間を外れますので、途中下車可能な乗車券がでてきます。途中下車時に自動改札機も通れます。おそらく関東の私鉄で途中下車制度にいちばん理解のある鉄道会社でしょう。
新宿からですと、御殿場では101キロに満たないので、富士岡まで買えばいいですし、熱海だと近郊区間なので、小田原⇒熱海を新幹線経由にするか、JR東海に1駅入り込んで函南まで買えば、小田急線内もJRも途中下車可能となります。この場合、新幹線経由になっていても、東海道線も乗車可能ですし、湯河原などで途中下車も可能です。
これは京急鶴見から品川でJRに乗り換えるパターンです。新幹線を経由して、101キロ以上なので、途中下車が可能となります。実際に途中下車すると、京急の改札係は何の疑問もなく下車印を押してくれたので、途中下車制度を熟知しているのだと思います。
このように裏面にも注意書きがあります。「できる」とは書かれていませんが、旅客連絡運輸規則76条本文に「途中下車自由の原則」(勝手に命名しました)がありますので、それの例外として記載されているのです。途中下車しようとして断られた場合は、「旅客連絡運輸規則76条を確認してもらえませんか。」と尋ねてみてください。たいてい本社に確認していただいて、オッケーがでます。
【それでも途中下車できない私鉄】(近鉄・南海・西武)
101キロ以上あっても途中下車できない私鉄もあります。
これは近鉄の補充券の裏面ですが、連絡乗車券でも近鉄内では途中下車できませんので、注意書きがあります。ただ、JRでは可能なので、ちょっと不親切ですね。とはいうものの、JRだけで距離が足りないときに近鉄分足して101キロ以上を確保できればJR区間で途中下車可能なので、購入する意味はあります。
これは南海です。「南海線内下車前途無効」とあります。 こちらも同様に、南海線で途中下車できなくてもJR区間で途中下車したいときは意味がありますね。
西武もできないようです。わざわざ特記事項で「西武線内下車前途無効」と記載されます。ただし、この乗車券はJR区間が近郊区間にとどまっているので、そもそも当日限り有効でJR区間であっても下車前途無効とすべきなので、誤記載です。ただ、近郊区間が広がる前の慣行が残っているといえます。
(2021.11.25訂正)
西武鉄道でも途中下車可能でした。西武鉄道の本社に正式に確認しました。
【さまざまな乗車券の形】
一般的には、冒頭のような補充券か機械で出された磁気券が多いのですが、このような形態もれっきとした乗車券であり、途中下車が可能です。
硬券の補充券タイプです。南海と名鉄あたりが最後に無くなってしまいました。
硬券の準常備券です。連絡乗車券としては、もう大井川鐵道か京都丹後鉄道ぐらいにしかありません。通用のところが「当」になっていませんよね。名古屋市内までなら7日間有効で途中下車可能ということです。現在は、名古屋までは売れません。
東海地方の私鉄におおいタイプです。
こんな異色の雰囲気でも途中下車可能です。明智鉄道からJRの清洲までの乗車券で、大曽根で途中下車をした事例です。券面を見てもらえばわかるように、途中下車前途無効のところに斜線が引いてありますよね。名古屋では101キロ以上ないたま途中下車できませんので、少し先の清洲まで購入しました。明智鉄道でも途中下車可能ですので、岩村でいったん降りましたが、集札は運転士さんなので、途中下車印はありません。
同様の形式は、天竜浜名湖鉄道の連絡乗車券でも見られます。
これは車内補充券です。ICが普及していない地方の私鉄では、まだまだ車内での乗り越しなどが多く、このような補充券での発行が続いています。これも高知から宿毛までのJR・土佐くろしおの連絡乗車券で101キロ以上あるので、途中下車が可能となります。
3 私鉄⇒私鉄のパターン
以下の通りですが、私の記憶ベースなので、もっとあるかもしれません。新情報をつかんだら追記します。
ここは3社ないとできませんので、会津高原の次の駅である七ヶ岳登山口まで購入するしかないでしょう。
これが東武⇒野岩鉄道⇒会津鉄道の事例です。東武だけや東武+野岩では101キロ以上あっても途中下車できませんが、このように3社連絡にすると可能です。着駅の湯野上温泉の一駅手前の塔のへつり駅で途中下車してそのままいただきました。このときは学生でしたが、東武で学割が使えるという知識がなく大人で買ってしまっています。
●しなの鉄道⇔えちごときめき鉄道
●えちごときめき鉄道⇔あいの風とやま鉄道
●あいの風とやま鉄道⇔IRいしかわ鉄道
これは箱根登山鉄道から小田急連絡の古い事例ですが、101キロ以上なくても途中下車可能となっています。しかし、問い合わせたところ、現在は101キロ以上ないとだめだそうです。最遠の強羅でも満たないのでいまはできません。
同様に箱根ロープウェイ→箱根登山鉄道→小田急連絡も無理です。
この当時の乗車券はしっかりと「途中下車可」とあります。親切ですね。
それだけ途中下車の需要があったということでしょう。
こちらは近鉄⇒名鉄の連絡乗車券です。当時はどちらでも途中下車できましたが、現在は、101キロ以上あっても、近鉄・名鉄ともにできません。最長で宇治山田から豊橋まで購入可能です。
4 JR⇒私鉄⇒JRのパターン(通過連絡運輸)
有名な例は、三重県の伊勢鉄道でしょう。特急「南紀」や快速「みえ」に乗っていると、「青春18きっぷではご利用できません・・・」との放送のあと、アリ一匹も逃さないような勢いで検札が始まります。乗っているだけでは、運転士も車掌も車両も替わらないし、途中で止まるわけでもないので感じませんが、実は別会社の路線を走っているということです。知識がないと、何それ?知らんしってな気分になるでしょう。
この区間は、もとは国鉄・伊勢線で、赤字対象路線として第三セクター化したのですが、沿線も住宅地として発展しているし、鈴鹿サーキットもあるし、これだけ特急もバンバン通るし、貨物も通るのだったらJRにしておけばよかったのにと素人目には思えてしまいます。
まあ関西でいうところの北大阪急行、関東でいうところの芝山鉄道みたいなものです。納得いかなくても、別会社なのでやむを得ないですね。ただ、さすがにJR分の運賃計算を途中で打ち切ると、旅客に不利になりすぎですし、発行手間も増えるので、一連の発行をして、JRの距離は併せて計算します。これが通過連絡運輸の制度です。この場合にすべての距離を合計して101キロ以上あれば途中下車が可能になってきます。また、特急ではなく、普通に乗れば実際に伊勢鉄道でも途中下車していけますね。
同様の制度は下記の鉄道で可能ですが、発着駅が限定されている場合が多いので、詳細はリンク先のサイトをご覧ください。
※101キロ以上ない場合や近郊区間だけの場合などの途中下車ができない路線は省いています。
これが比較的利用価値が高いですね。JR東日本の駅からJR北海道の駅まで一気に購入できますので。JRと青い森はそれぞれ学割がききます(鉄社学割)。
●鹿島臨海鉄道(制度はありますが。。。)
制度はありますが、JRの連絡運輸範囲が近郊区間に納まっているため、途中下車可能な乗車券が発行できません。迂回ルートで売ってもらえるようなら、近郊区間を外すようなことは可能かもしれません。例えば、藤代→友部→小山→安積永盛→水戸→鹿島サッカースタジアム→鹿島神宮のような買い方ですね。
●北越急行
北陸新幹線ができる前は、東京から金沢に行くメジャーなルートでした。
乗車券には北越急行と表記されます。
こちらはえちごトキめき鉄道⇒JR⇒北越急行⇒JRの3社連絡です。十日町で途中下車しています。
JR⇒えちごトキめき⇒しなの⇒JRの3社連絡です。新井で途中下車しています。
高蔵寺、岡崎ともノーラッチで乗り換え可能です。なお、どの駅も途中下車印がないので、駅名小印を代用しています。
●伊勢鉄道
上記の解説の通りですが、いちおう実例を挙げておきます。
伊勢鉄道と入らないようですね。これで鈴鹿と玉垣で途中下車しました。
●あいの風とやま鉄道
JR⇒IRいしかわ⇒あいの風とやま⇒JRの事例です。右から小松、金沢、IRいしかわの森本、あいの風の高岡、上は雨晴の途中下車印です。
通過連絡でも近鉄線内では途中下車できません。しかしJRだけで距離が足りないときは、JRで途中下車することを意図してこのような方法で購入するのには意味があります。
券面には何も表記されませんが、南海の規則で不可です。しかしJR区間では途中下車できますので、通しで購入する意味があるわけです。ちなみにこの乗車券は和歌山をこえて和歌山市まで購入していますが、和歌山で切ってしまうと近郊区間内にとどまってしまい、当日限り有効の途中下車前途無効の乗車券となってしまいます。
少し古いですが、国鉄時代の通過連絡運輸乗車券です。南海フェリーと南海電鉄を国鉄の間に挟んでいます。
●京都丹後鉄道
これも使い勝手がよさそうですね。天橋立によって鳥取方面に行く場合などです。
実例を一つ。
京都丹後鉄道の西舞鶴→豊岡では83.6キロしかありませんが、松尾寺-西舞鶴14.3キロと豊岡-玄武洞5.3キロを足すと、103.2キロとなり、JR分の330円を余分に支払えば途中下車可能となります。実際に西舞鶴、宮津、天橋立、豊岡と途中下車しています。これ以外も改札がない駅で複数途中下車しているので相当な金額が浮いています。
※この事例は通過連絡運輸ですが、前述の通りJR→丹鉄、丹鉄→JRで101キロ以上あれば途中下車可能です。
●智頭急行
特急スーパーはくと、スーパーいなばを利用するときに主に発売される乗車券です。下の消えかかっている乗車券が私が使用した例です。
消えかかっている例で申し訳ないですが、通過連絡運輸の乗車券で途中下車した事例です。境港の駅の窓口が混んでいて買えなかったので、券売機で米子まで買って高槻まで乗りこしました。右の書きぬいた部分の赤字が通過連絡(智頭急行)を示します。
ちなみに米子駅の精算所で区間変更を申し出たら、いったん下車してみどりの窓口で買いなおしてくださいとの回答でした。そんなことしたら、打ち切り計算になって無駄な金を払うはめになるやんけと思って、快速とっとりライナーの車掌に売ってもらいました。他の客は改札係のいわれるがまま切符を渡してから、窓口に向かっていましたが、客に余計な出費をさせるのですから不正な取り扱いですね。自分らが楽をするために、無知な客に損をさせるような対応をしていたので、横で聞いていて少し腹が立ちました。詐欺ですよね。(たぶん精算所で区間変更券を作るのが面倒だからだろう。。。だったら原券や整理券を持たせたまま窓口に行かせないといけないのである。)
マルスでの事例です。「智頭急線」と記載されます。
●福岡市地下鉄(途中下車できませんが、同様の利点あり。)
最遠で東京都区内(発行はJR東海の駅に限る。乗車・下車はJR東日本の駅からでも可能。)から、博多で地下鉄に乗り換えて筑肥線方面に行く場合に通過連絡が認められていますが、ちょっと気になったので、福岡市交通局に確認しました。連規76条にかかわるJRとの取り決めで地下鉄線内の途中下車は特例として禁止しているとの返事でした。残念ながら途中下車せずに通過するしかなさそうです。博多駅では改札が別ですので、物理的に可能です(制度上も「通過連絡駅」なので可能です。)。
この乗車券で実際に地下鉄線で途中下車をした場合は、地下鉄線内(博多⇔姪浜間)のみが無効となり、姪浜から先のJR区間は依然有効とのことです。なので、正確にいうと、「地下鉄線内途中下車・地下鉄線内前途無効」ですね。要するに博多⇔姪浜間の乗車券を購入して途中下車をしただけの扱いと同じです。
なお姪浜駅については、改札は一つですが、「連絡接続駅」と見て、博多と同様に規則上は途中下車可能と解釈できると思います。しかし実際にやろうとするともめるかもしれません。自己責任でお願いします。
これが地下鉄線内での途中下車の事例です。天神で下車したため、天神のハンコが押されており、次に乗車するときは天神から姪浜の乗車券とセットで乗車しなければなりません。
しかし、この制度を使うと、面白いことがおきます。以下は東京から博多まで新幹線で行って、地下鉄に乗り換えて天神で1泊して、翌日、筑前前原まで行く事例です。
【分けて購入した場合】
①東京都区内⇒福岡市内 13820円
②博多⇒天神 210円
③天神⇒姪浜 300円
計 14610円
【通過連絡運輸を利用した場合】
東京都区内⇒筑前前原 14120円
天神⇒姪浜 300円
計 14420円
190円安くなります。からくりは上記の①と④が合算して計算されても①と同じ金額なので、新たに③を追加で購入してもまだ安いということです。ただ、この乗車券は、現在、JR東日本では購入できないため、東京駅のJR東海窓口に行く必要があります。ただ、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の場合はどの駅からでも購入可能なので、唐津方面に行く場合は非常に有意義な乗車券だと思います。逆に唐津から大阪にでるときなどは必須でしょうね。
東京からの実例です。JR東日本の駅では買えないので、東京駅のJR東海の窓口で購入しています。補充券になっているのは、ゆき券が新幹線経由で、かえり券が鹿児島本線経由なので、マルスで発券できなかったからです。入鋏のあとは姪浜駅の東口です。まだ鋏が残っていました。購入するのは東京駅でも、使用開始は東京都区内から可能です。
●松浦鉄道
残念ながら有田ー伊万里間のみ。むかしは伊万里―佐世保通過があったようで、これだったらフリー切符がわりに使えたので残念です。今は下の写真ように、たびら平戸口で分けて購入するしかないです。
なお1日で乗りとおす場合は1日乗車券(2000円)という企画乗車券もあります。
八代・川内間全線を通過する通過連絡運輸が可能となっています。ただし、JR九州内発着に限られます。JR西日本である山陽新幹線を間に入れることはできません。
(2021年9月14日追記。JR九州に確認済み。)
5 私鉄⇒JR⇒私鉄のパターン(通過連絡運輸)
JRを間に挟んで同じ鉄道が分離すること自体が珍しいので、非常に少ないです。有名だったのは三陸鉄道ですが、宮古ー釜石間も三陸鉄道になったのでなくなりました。現在、101キロ以上を確保できるのは、この二つぐらいでしょう。
少し前は東武鉄道で可能でしたが、今は廃止されています。
これが実例です。土佐くろしお鉄道・宿毛線の平田駅からJR土讃線を経由し、土佐くろしお鉄道の後免町に至る乗車券です。マルスのある宿毛、中村、安芸の3駅でしか発行してもらえません。中村と高知で途中下車しました。
6 青春18きっぷの特例
青春18きっぷでもJR以外に乗車可能で、途中下車ができる制度があります。
青い森(八戸ー青森・八戸ー野辺地・野辺地・青森)
※八戸・野辺地・青森で途中下車可能
あいの風とやま(高岡―富山)
※富山で途中下車可能
IRいしかわ(金沢ー津幡)
※金沢・津幡で途中下車可能
(本記事作成に際して参考にしたサイト)
※有益な情報をありがとうございます。非常に参考になりました。
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