旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符などについて語ります。

【営業規則系】 絶滅危惧種 連絡乗車券(他社線直通の乗車券)での途中下車制度(総まとめ)

 引き続き退屈な話が続くかと思いますが、シリーズものですので、ご勘弁を。会社名だけを頭に入れておいて、出かける際にまたご覧いただければ、得るものがあると思います。

 

 この記事は、自社線だけではなく、JRと私鉄、私鉄と私鉄の合わせ技で101キロ以上の乗車距離を確保して、途中下車をしてしまおうという企画です。メリットは、途中下車ができないような私鉄であっても、この乗車券を購入することで途中下車ができてしまうことです。昔は広範囲で発売されていて、誰も聞いたことがないような山奥の駅やバス停、離島の港から東京までの乗車券なども存在しました。いまは清算手間回避とICチケットの普及で、制度が廃止されたり、範囲が縮小したりしていますので、絶滅危惧種といえます。

 

 なお、実際に購入する場合は、ネットなどにアップされている乗車券の画像を印刷して窓口に提出するとスムーズにいきます。制度がマニアックで、窓口の駅員さんも即答できないため、調べる資料になり、感謝されます。作成するのが面倒な乗車券ですが、京急などでは快く対応していただけます。東武小田急は、機械で発券できるので、すぐ出てきます(一部区間は手売りなので時間がかかる。)。

 基本的に制度が存在する以上は、面倒だから断るということは許されないので、そこは強気でいっていいと思います。そうしないと途中下車という有利な制度を利用できなくなり、旅客が損害をこうむってしまいますから(細切れに購入して無駄な出費となる)、不正な取り扱いです。

 結構いるんですよ。面倒だから適当にあしらって断る駅員が。手書きが嫌だとか、機械の操作が難しいだとかで。ちなみに私が駅員のときは面倒な案件は逆に大歓迎でしたので、マニアに優しかったと思います。最近の地方の私鉄では、異業種からきた委託の駅員さんも多く、規則や機械に苦手な方がいるので、一緒に業務マニュアルや規則類を読んでアドバイスしたりします。30分ぐらい苦労して発行することもあるので、出来上がったときは、お互いハイタッチ並みの感動をもってお別れです。逆にずっと鉄道につとめている年配の駅員さんにあたると、昔取った杵柄で、いとも簡単に難しい乗車券を発行することがあり恐れ入ります。しかもスゴイ達筆で。

 こんな出会いも旅の思い出ですね。

 

 それではケーススタディに入ります。

 

 

 1 JR⇒私鉄・私鉄⇒JRのパターン

 

 まず、そもそも規則上、売れる範囲が101キロいかない場合があるので、これはあきらめるしかありません。詳しくはリンクのサイトを見てください。

  さらに購入できても、西武や近鉄、南海、近江鉄道のように自社線内は途中下車不可としている鉄道会社もあります。※19/9/11訂正:近江鉄道はJR連絡の場合は自社線内も途中下車可能でした。

  また、東京や大阪などの近郊区間の場合は注意する必要があります。Rが近郊区間だけの範囲だと、途中下車ができませんので、経由に新幹線を入れて発行してもらいます。こうすることで都内でもかろうじて途中下車というマニアックなことが可能です。また、これで並行している在来線に乗れます。具体例は関連記事(【営業規則系】 絶滅危惧種 私鉄の途中下車制度(総まとめ) - 旅と鉄道の美学)の伊豆急行の項目を見てください。

 ただし、新幹線経由を売らなくなっている会社もあるので、この場合は「下車前途無効」の乗車券となり途中下車はできません。手書き切符なら、せっかくなので、記念に持ち帰るぐらいですね。 

 

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 これは小田急の例です。小田急JR東海エリア(熱海を越えるか、新松田から御殿場線に入る。最遠で浜松まで買える。)まで購入すれば近郊区間を外れますので、途中下車可能な乗車券がでてきます。途中下車時に自動改札機も通れます。おそらく関東の私鉄で途中下車制度にいちばん理解のある鉄道会社でしょう。

 新宿からですと、御殿場では101キロに満たないので、富士岡まで買えばいいですし、熱海だと近郊区間なので、JR東海に1駅入り込んで函南まで買えば、小田急線内もJRも途中下車可能となります。

 

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 これは阿武隈急行です。途中下車についてはどの駅の改札係も熟知していましたが、途中下車印はありませんという返事でした。

 

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 こんな異色の雰囲気でも途中下車可能です。明智鉄道からJRの清洲までの乗車券で、大曽根で途中下車をした事例です。名古屋では101キロ以上なくて途中下車できませんので、少し先の清洲まで購入しました。明智鉄道でも途中下車可能ですので、岩村でいったん降りましたが、集札は運転士さんなので、途中下車印はありません。

 

 

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 これは京急鶴見から品川でJRに乗り換えるパターンです。新幹線を経由して、101キロ以上なので、途中下車が可能となります。実際に途中下車すると、京急の改札係は何の疑問もなく下車印を押してくれたので、途中下車制度を熟知しているのだと思います。

 

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  このように裏面にも注意書きがあります。「できる」とは書かれていませんが、旅客連絡運輸規則76条本文に「途中下車可能の原則」(勝手に命名しました)がありますので、それの例外として記載されているのです。途中下車しようとして断られた場合は、「旅客連絡運輸規則76条を確認してもらえませんか。」と尋ねてみてください。たいてい本社に確認していただいて、オッケーがでます。 

 

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 これは近鉄の補充券の裏面ですが、連絡乗車券でも近鉄内では途中下車できませんので、注意書きがあります。ただ、JRでは可能なので、ちょっと不親切ですね。

 

 

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 これは南海です。「南海線下車前途無効」とあります。 

 

 

 2 私鉄⇒私鉄のパターン

 

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 これは、東武野岩鉄道会津鉄道の事例です。東武だけでは101キロ以上あっても途中下車できませんが、このように3社連絡にすると可能です。着駅の湯野上温泉の一駅手前の塔のへつり駅で途中下車してそのままいただきました。このときは学生でしたが、東武で学割が使えるという知識がなく大人で買ってしまっています。

 

 このパターンは、以下の通りですが、私の記憶ベースなので、もっとあるかもしれません。新情報をつかんだら追記します。

 

 ●青い森鉄道IGRいわて銀河鉄道

 ●東武鉄道野岩鉄道会津鉄道(3社)

  ここは3社ないとできませんので、会津高原の次の駅である七ヶ岳登山口まで購入するしかないでしょう。

 ●しなの鉄道⇔えちごときめき鉄道

 ●えちごときめき鉄道⇔あいの風とやま鉄道

 ●あいの風とやま鉄道⇔IRいしかわ鉄道

 

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 これは箱根登山鉄道から小田急連絡の古い事例ですが、101キロ以上なくても途中下車可能となっています。しかし、問い合わせたところ、現在は101キロ以上ないとだめだそうです。最遠の強羅でも満たないのでいまはできません。

 

 

 3 JR⇒私鉄⇒JRのパターン(通過連絡運輸)

 

  有名な例は、三重県伊勢鉄道でしょう。特急「南紀」や快速「みえ」に乗っていると、「青春18きっぷではご利用できません・・・」との放送のあと、アリ一匹も逃さないような勢いで検札が始まります。乗っているだけでは、運転士も車掌も車両も替わらないし、途中で止まるわけでもないので感じませんが、実は別会社の路線を走っているということです。知識がないと、何それ?知らんしってな気分になるでしょう。

 この区間は、もとは国鉄・伊勢線で、赤字対象路線として第三セクター化したのですが、沿線も住宅地として発展しているし、鈴鹿サーキットもあるし、これだけ特急もバンバン通るし、貨物も通るのだったらJRにしておけばよかったのにと素人目には思えてしまいます。

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 まあ関西でいうところの北大阪急行、関東でいうところの芝山鉄道みたいなものです。納得いかなくても、別会社なのでやむを得ないですね。ただ、さすがにJR分の運賃計算を途中で打ち切ると、旅客に不利になりすぎですし、発行手間も増えるので、一連の発行をして、JRの距離は併せて計算します。これが通過連絡運輸の制度です。この場合にすべての距離を合計して101キロ以上あれば途中下車が可能になってきます。また、特急ではなく、普通に乗れば実際に伊勢鉄道でも途中下車していけますね。

 

 同様の制度は下記の鉄道で可能ですが、発着駅が限定されている場合が多いので、詳細はリンク先のサイトをご覧ください。

 ※101キロ以上ない場合や近郊区間だけの場合などの途中下車ができない路線は省いています。

 近鉄と南海は、通過連絡運輸でも途中下車はできませんので省いています。

 

 ●青い森鉄道

 

 ●IGRいわて銀河鉄道

 

 ●青い森鉄道+IGRいわて銀河鉄道

  これが比較的利用価値が高いですね。JR東日本の駅からJR北海道の駅まで一気に購入できますので。JRと青い森はそれぞれ学割がききます(鉄社学割)。

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 ●鹿島臨海鉄道

 

 ●北越急行

  北陸新幹線ができる前は、東京から金沢に行くメジャーなルートでした。

 

 ●しなの鉄道

 

 ●愛知環状鉄道

 

 ●東海交通事業

 

 ●伊勢鉄道

 

 

 ●あいの風とやま鉄道

 

 ●IR石川鉄道

  能登半島方面にいくときに一気に購入できます。

 

 ●京都丹後鉄道

  これも使い勝手がよさそうですね。天橋立によって鳥取方面に行く場合などです。

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 ●智頭急行

  特急スーパーはくとスーパーいなばを利用するときに主に発売される乗車券です。下の消えかかっている乗車券が私が使用した例です。

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 消えかかっている例で申し訳ないですが、通過連絡運輸の乗車券で途中下車した事例です。境港の駅の窓口が混んでいて買えなかったので、券売機で米子まで買って高槻まで乗りこしました。右の書きぬいた部分の赤字が通過連絡(智頭急行)を示します。

 

 ちなみに米子駅の精算所で区間変更を申し出たら、いったん下車してみどりの窓口で買いなおしてくださいとの回答でした。そんなことしたら、打ち切り計算になって無駄な金を払うはめになるやんけと思って、快速とっとりライナーの車掌に売ってもらいました。他の客は改札係のいわれるがまま切符を渡してから、窓口に向かっていましたが、客に余計な出費をさせるのですから不正な取り扱いですね。自分らが楽をするために、無知な客に損をさせるような対応をしていたので、横で聞いていて少し腹が立ちました。(たぶん精算所で区間変更券を作るのが面倒だからだろう。。。だったら原券や整理券を持たせたまま窓口に行かせないといけないのである。) 

 

 ●井原鉄道

 ※19/9/11訂正 この制度は適用外でした。すみません。

 

 ●福岡市地下鉄(途中下車できません)

  最遠で東京都区内(JR東海に限る)から、博多で地下鉄に乗り換えて筑肥線方面に行く場合に通過連絡が認められていますが、ちょっと気になったので、福岡市交通局に確認しました。連規76条にかかわるJRとの取り決めで地下鉄線内の途中下車は特例として禁止しているとの返事でした。残念ながら途中下車せずに通過するしかなさそうです。博多駅では改札が別ですので、物理的に可能です。

 この乗車券で実際に地下鉄線で途中下車をした場合は、地下鉄線内(博多⇔姪浜間)のみが無効となり姪浜から先のJR区間は依然有効とのことです。なので、正確にいうと、「地下鉄線内途中下車・地下鉄線内前途無効」ですね。要するに博多⇔姪浜間の乗車券を購入して途中下車をしただけの扱いと同じです。

 なお姪浜駅については、改札は一つですが、「連絡接続駅」と見て、規則上は途中下車可能と解釈できると思います。しかし実際にやろうとするともめると思います。自己責任でお願いします。

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 これが地下鉄線内での途中下車の事例です。天神で下車したため、天神のハンコが押されており、次に乗車するときは天神から姪浜の乗車券とセットで乗車しなければなりません。

 

 ●松浦鉄道

 残念ながら有田ー伊万里間のみ。むかしは伊万里佐世保通過があったようで、これだったらフリー切符がわりに使えたので残念です。今は下の写真ように、たびら平戸口で分けて購入するしかないです。

 なお1日で乗りとおす場合は1日乗車券(2000円)という企画乗車券もあります。

 

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 4 私鉄⇒JR⇒私鉄のパターン(通過連絡運輸)

 

  JRを間に挟んで同じ鉄道が分離すること自体が珍しいので、非常に少ないです。有名だったのは三陸鉄道ですが、宮古ー釜石間も三陸鉄道になったのでなくなりました。現在、101キロ以上を確保できるのは、この二つぐらいでしょう。

 

しなの鉄道(JR長野⇔JR篠ノ井を通過)

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土佐くろしお鉄道(JR後免⇔JR窪川を通過)

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 少し前は東武鉄道で可能でしたが、今は廃止されています。

 

 

5 青春18きっぷの特例

 

 青春18きっぷでもJR以外に乗車可能で、途中下車ができる制度があります。

  青い森(八戸ー青森・八戸ー野辺地・野辺地・青森)

   ※八戸・野辺地・青森で途中下車可能

  あいの風とやま(高岡―富山)

   ※富山で途中下車可能

  IRいしかわ(金沢ー津幡)

   ※金沢・津幡で途中下車可能

 

 

 (本記事作成に際して参考にしたサイト)

 ※有益な情報をありがとうございます。非常に参考になりました。

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