昭和35年の変な乗車券から。
高崎と倉賀野の駅名が書き連ねられています。この表記はどこかで見た方もいるでしょう。補充連続乗車券です。
こちらは坂北→冠着/冠着→聖高原のJR時代の補充連続乗車券となります。主に特急に乗るためにいったん目的地とは反対方向の聖高原に行ってから名古屋などに向かう際に用いられた乗車券です。しかし、上の倉賀野・高崎・倉賀野・・・はいったいどういった意味なのでしょうか。連続乗車券は2区間までしか作成できないので、不思議です。
実は、昭和35年当時に連続の枚数の制限はありません。今のように2枚に限定されてなかったので、継ぎ足せば、無限に作ることができました。図示するとこんな感じ。
だから、このように、片道21回の抱き合わせという奇妙な乗車券が成り立ったのでしょう。終わりと書いてあるので、最終券片を示します。また打切区間については最終券片のみの表記とできます。10円は当時の高崎・倉賀野間の片道運賃です。
ただ、よくわからないのが、41日間有効です。41日間ということは41区間の連続でないとおかしいのです。当時の規定では、「3区間以上を乗車船する旅客に対しては、次の番号以下の乗車券の各券片の『第何号の2』又は『第何号の3』と初めの乗車券の番号を記入して必要の券片を旅客に交付し、残余の券があるときは、これに無効印を押して乙片とともに審査課長に提出する」(旧細則165条4号)とあるのですが、これと照合しても良くわかりません。
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では、こんなマニアックな連続乗車券を買ったのは、マニアなのでしょうか。
違うと思います。これは回数券代わりに使ったのでしょう。当時の回数乗車券は1か月しか有効期間がないので、それ以上にする策として、連続乗車券を使ったのだと思います。面白い小技です。そもそも回数券って、割引率につられて買っていた人はあまりいないと思いますが、それがよくわかる乗車券です。結局、毎回、乗車券を購入するのが面倒になって客に相談されて、このような方法を駅員が提案したのではないでしょうか。