運送契約はあるところからあるところまで客を運ぶことで、途中下車は原則として自由であり、制限する場合は例外にあたるという途中下車自由の原則はこのブログでさんざん語ってきたところです。
具体的には、旅規156条の柱書で途中下車自由の原則が明記されているものの、そのあとにいくつかの例外が続いていました。国鉄バスにかかわるところだけ抜き出します。
まず、第1号で、100キロまでの乗車券が途中下車不可でした。しかし、これにはさらに例外があり、「別に定める自動車線内の各駅相互間発着の普通乗車券(第192条第6号に規定するものを除く。)を使用する場合で、国鉄が指定した駅に下車するときを除く」とありました。
もう一つは7号です。「国鉄が特に途中下車できる駅を指定した場合は、その指定した駅以外の駅」とありました。
つまり、国鉄バスの場合は、距離にかかわらず、国鉄が指定した駅なら途中下車ができ、それ以外の駅ではできなかったのです。
したがって、このように注意書きが書かれる場合もありました。

「国自は、指定駅のみ途中下車可」とあります。国自は国鉄自動車線のことです。
では、指定駅とはどこでしょうか。これは次の規定を前提として、別表で定められていました。
【国鉄 旅客営業取扱基準規程】
(自動車線内の途中下車取扱駅の指定)
第143条 規則第156条第1号ただし書及び第4号ただし書の規定による駅の指定は、地方自動車局部長が行うものとする。
2 地方自動車局部長は、前項の規定により指定をする場合は、事前にその概要を自動車局長に報告しなければならない。
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実例を見てみましょう。

券面を見ると(焼)と(蔦)が読み取れます。これをヒントに当時の旅客運賃表を確認してみます。

●印が途中下車可能駅です。蔦温泉と焼山が対象なので、この両駅で途中下車したことが推測されます。
ちなみに、規則上の記入方法は、次のようなハンコを押すか、「5日蔦温泉駅下車」などと記入する方法でしたから(基準規程144条1項)、上記の方法は当該自動車局などで慣用していた方法ではないでしょうか。
