旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 BRT+IGRのダブル通過連絡乗車券はもう作れません。最長片道 改め最長連続きっぷの旅

 この1週間、表題の問題を関係各所に訊きまくっていました。 

 これまで最長といわれていた気仙沼線BRT区間とIGRいわて銀河鉄道の両方を通過する乗車券はもう作れません。BRT区間(柳津⇔気仙沼間)が鉄道事業法による鉄道事業の区間ではなくなっているので、社線扱いとなり、IGRを選択したら、BRTを犠牲にするしかないのです。

 JRの各駅にまで情報は行きわたってないようなので、ひょっとしたら作ってもらえる駅はあるかもしれませんが、誤発行ということになります(※)。

 ※ただし、営業規則上、社線通過連絡が1社と制限されているわけではないので、たんなる内部規則違反という意味の誤発行です。営業規則には反しないけど、内部の運用規則に反しているということです。

 

 なお、最長片道キッパー界隈では、この乗車券が今でも作れたと話題になることがありますが、その駅自体がBRTと鉄道路線を並行している時代の取扱いを誤って踏襲しているだけで、最新の通達に準拠してないだけでしょう。ラッキーというより、単なる誤発行に遭遇したということでいいと思います。正式には発行できません。

 

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 それでは理論編に入ってまいります。

 まず基本となる営業規則の規定です。

気仙沼線BRT柳津・気仙沼間及び大船渡線BRT気仙沼・盛間の特殊取扱)
第17条
気仙沼線BRT柳津・気仙沼間及び大船渡線BRT気仙沼・盛間の一部又は全部の区間を乗車する旅客の取扱い等については、別に定める

 実はこの規定、以前は、「BRT」とは入っていませんでした。2020年4月以降にバス事業に切り替わったところで名称が替わっています。それまでは代行バスのような形態(あくまで鉄道事業の範囲)であったものが、バス事業としての運営に切り替わったからです。つまりJR東日本による直営のバス路線ということです。

 

 そして、上記の「別に定める」の「別」は「一般乗合旅客自動車運送事業取扱規則」によるわけです。

 この規則の中で、本記事に関連するところを抜き出してみます。

第4章 鉄道線を乗り継ぐ場合の取扱い
第47条 自動車線と鉄道線を乗り継ぐ旅客の運送及びこれに附帯する取扱等については、別に定める場合を除いて、自動車線と鉄道線を通じた全区間について、旅客規則を適用します。ただし、自動車線の運賃は第23条の定めによるものとします。

 運賃の件はいいとして、さらに別に定める場合があるのか不明ですが、ひとまず旅客規則にもどるわけです。

 

 戻るのはいいのですが、どのレベルでどう適用されるのかさっぱりわかりません。通常、連絡社線との関係では「旅客連絡運輸規則」が適用されますが、同じJR東日本なので、字面だけでは適用はなさそうに思えます。

 もう中の人でないと、これ以上は分かりません。駅で見せてほしいと頼みましたが、無理でした。このあたりが私が以前に指摘した問題です。本来、旅客の権利義務に関わるような重要な事項を安易に内部規程に委ねて、旅客に見せないというスタンスです。消費者法や民法の趣旨からは批判されるべき態度ですね。

 

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 それはさておき、それでもヒアリングしまくって、情報を統合して一定の結論を出すのが本ブログのウリです。こういった内部資料でも、断片的な情報を集めると、確からしい結論が出てきます。

 

 結果は、どうも連絡社線と同様の扱いをしている様子だということです。冒頭の通り、少なくとも乗車券の一連発売に関しては、気仙沼線BRT区間について連絡社線と同様に扱った上で、これまでの慣例通り(原則)1社のみ通過連絡可に制限しています。JR数社にかなり掘り下げて確認すると、共通した回答が返ってきました。

 

 なので、現在の最長片道乗車券および最長往復乗車券はIGRいわて銀河鉄道の盛岡⇔好摩を経由し、BRTを通らない形態と結論づけることができます。

 なお、日田彦山線がBRT化すると、社線扱いになる可能性が高く、IGR,気仙沼BRTor日田彦山BRTのどれかを一つ選択して最長片道乗車券をつくることになりそうです。

 

 ※皆様の情報提供をお待ちしております。

 

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