旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符など。リンクフリーです。

【コラム】 1周年記念 本ブログのコンセプトについてご説明

 本ブログも300記事を超えて、本日で1年を迎えます。最初は毎日更新していたのですが、力尽きて、現在は奇数日だけになっているところです。語れる話自体は山ほどあるのですが、正確な情報や熟考した見解を提示して、役に立つサイトに仕上げようと思っているので、このペースが限界でした。

 プロフィールにも書いていますが、あまりマニアマニアせずに、旅好きな人が気軽に楽しめて、ちょっと旅にスパイスが加えられるような隠し調味料的C級ブログを目指しています。クラスや職場に一人ぐらいいると思うんですよ。鉄ヲタ。鉄道を語らせると、途中でうっとうしくなるけど、旅の相談をすると、思わぬ裏技や穴場を教えてくれるような。うざいトークに耐えるのと引き換えに、ただで有益な情報をゲットできるわけですね。まあ、そんな感じのブログです。基本的に「旅の事典」を目指しています。くたびれた表現にすると「タビダス」とでもいいましょうか(イミダスをもじった。)。なので、あとで記事を探せるように検索性にも重きを置いています。

 もちろん、単なるハウツーだけではなく、真の旅の良さを引き出せるようにしてまいります。

 おかげさまで検索流入による方と、リピーターと思われる方が日に日に伸びており、こんなくっだらねぇブログに関心をもつ暇人様がたくさんいやがるものだと感謝する次第です。

 

 なお、リンクはフリーですので、記事単体にリンクをかけていただいても、トップにリンクをかけていただいても結構です。メールなどで有益な情報もいただけるので、拡散希望です。

 

  旅の手法のベースになっているもの(国内)

 私の旅のスタンスは、故・種村直樹氏の影響を強く受けているといえます。特に下記の『鉄道旅行術』は中高生時代に熟読しました。ちょうどJRになったぐらいで、まだまだ武骨な国鉄の雰囲気が随所に残っていて、そんなアナログな雰囲気をいかに楽しむのかといった感じで書かれていたように思います。 f:id:Estoppel:20191117150520j:plain

 もともと目的地に最速でいって、足早にもどるような旅は苦手です。どちらかといえばダラダラとあっちに寄って、こっちに寄ってといった旅が好きなので、種村氏の旅の仕方とマッチしました。特に国鉄バスまで使った最長片道切符は憧れでした。普通の人は目的地に早くいきたがるのですが、完全に逆の発想です。目的地に向かってどれだけ遠回りできるのか!よくわからない無駄の美学を感じるのです。

 そんな無駄の美学をかきあつめたブログとして、「旅と鉄道の美学」となるわけです。無駄も極めると、アウフヘーベンされるとでもいいましょうか。故・宮脇俊三氏が最長片道切符で目的地と逆方向に向かうルートで、「厳粛な趣」と表現している感覚とも通じるものがあります。 
 

  旅客制度の研究サイトをも目指す

 さて、種村氏は京大法学部卒だったこともあり、営業規則にも強く、『旅と鉄道』で連載されていた「汽車旅相談室」では、規則系の話題がかなりをしめていました。実は私自身も、過去に投稿して載ったことが2回ほどありますが、鉄道を中心とした旅を究めてくると、必然的に営業規則に深く入り込むことになります。

 このブログでは、旅好きの方のみならず、現役の駅員でも悩むような解釈上の問題を取り上げており、プロが読んでも納得できるようにつとめています。国鉄やJRの各種業務資料まで参照して答えを出しているので、他のサイトにはない大きな特長です。そういう意味では旅客制度の研究サイトの側面もございます。 

 法解釈の思考方法が必要とされることもあり、この領域に深く入ってくる鉄ヲタはほとんどいませんが、類似のサイトではトップクラスを目指します。

 

  切符や部品の図鑑をも目指す

 熟練の収集家もうなるような珍品のキップや部品にも分析を加えていこうと思っておりますので、収集鉄の方もときどき覗いてみてください。

 

 さて、私が小さい頃よく読んでいた切符関係の書籍として3冊あります。築島氏は文学研究者、近藤氏は医学研究者で、どちらも研究者としての姿勢を趣味に活かしたような内容となっており、精緻な記述に魅了されました。もっとも、小学生ぐらいでは理解できないところも多く、切符をビジュアル的に愉しむだけでした。近藤氏とは何回か手紙もやり取りしたことがあり、お互いの切符を交換したりしました。手紙の差出人が「北海道大学医学部」になっているので、親に不思議がられましたね。

 下の1冊は鉄道友の会の会員が執筆した物で、子供向けではあるのですが、内容がまったくもって大人向けではなかろうかという高度なものです。大人の趣味への仲間入りをさせてくれた本でした。

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 近藤喜代太郎『国鉄きっぷ全ガイド』には次のようなくだりがあります。

 「乗車券の背後には法令、規則、その時代の社会、経済、文化、技術などがある」(11頁はしがき)。「国鉄の旅客制度は法と実務体験が融合し、世界に類のない精密な体系になった。乗車券はそこから派生し、複雑な面白みがある。乗車券研究は鉄道史、ひいては近代史のひとつの面であり、健全な発展を期待したい」(同書・あとがき)。

 あらためて読んでみて、ふと目に留まりました。なぜ、自分が切符に興味を持って、営業規則に興味を持ったかを振り返ってみると、近藤氏と同じような感覚なのです。身近に鉄道があって(小学生から電車通学です!)、①乗ることが好きになって、②いろいろな乗車券を買うようになり、③背景にある規則を調べるようになり、④さらに規則の背景を調べるようになったということです。

 以前から切手収集と切符収集は本質的に何が違うのかわからずにいましたが、おそらく切手はビジュアルの妙を趣味としており、切符はその背後にある社会の事情にウエイトがおかれた趣味ではないかと思います。

 つまり、切符を通して背景にある事情を探りたいという社会科学的な興味があったのです。このブログでは、そのような面白さについて、へぇ~が2個程度はつくように頑張っていきたいと思っております。

 

  出かけるまでも遠足・帰ってからも遠足

 旅は、計画から記録まで楽しむというスタンスです。プロフィールに書いた「旅の愉しみは過程にあり。出かけるまでも遠足。帰ってからも遠足。」というのはそういう意味です。旅は実行されなくても、計画を練った段階で既に1/3は愉しんでいるわけです。そして帰ってからも記録を残して、後日、記録を読んで愉しむことができる。これで1/3です。出かけてから家に帰るまでだけが遠足ではないのです。 

 幸いなことに、小さいころから旅行の記録を詳細に残す癖がついており、ブログネタにするには豊富な資料が存在します。切符や計画表はもとより、箸の袋や弁当の包み紙まで残っているので、足跡を追うことは容易なのです。

 既にお気づきの方もいるでしょうが、このブログ自体が自分の旅行記録の役割も果たしていますし、最近はブログネタにしようというスタンスで旅をするので、いろいろと欲張って見聞きしてきます。これは単に旅を充実したものにするだけではなく、見聞きしたことが、日常生活や仕事にも役立っていたりします。

 

  旅の手法のベースになっているもの(海外)

 中学生の時の社会科の先生がバックパッカーな人で、ホテルのロビーで雑魚寝した話などを聞かせてくれました。あるとき、授業の中で世界地図を使って仮想旅行を二人一組になって計画するというのがありました。「80日間世界一周」風に自分で運送機関などを組み立てて、名所を訪れて世界を一周するというものですね。地図には道路や鉄道に加えて、航空路線や船舶航路まで記載されていましたので、それを活用します。

 私のスタートはフェリーでした。中国をまわって、東南アジアは鉄道移動が基本で、空路はあまり使わずに一周する計画を練ったと思います。日本で移動するような感じで海外も移動してみようとつくって発表しました。もちろん、この企画は単に行程を披露するだけではなく、途中でテロに会ったが何とか難を逃れたとか、夜行バスで盗賊に襲われて無一文になったが、大使館で金を借りたとか、面白ネタを随所に放り込んで漫談のように語らないと高評価はもらえません。

 その後、大学生になって、海外一人旅を始めたのですが、中学生のときのまんまの感覚で旅を組み立ててみたところ、意外とうまくいくのです。もちろん日本のように時間に正確ではないので、各所にバッファを組み込んで回復運転に努めるのですが、上記の仮想旅行のように実現できました。そのあとは『旅行人』という雑誌を購読しながら、海外の鉄道旅行をオリジナルで組み立てて旅をするというスタンスが決まってきました。

 まだネット上に情報が充実していない時代ですので、地球の歩き方と旅行人、さらには旅行人の編集部から販売されている読者のメモのコピーなどを活用して旅をつづけました。 

 どこかにも書きましたが、海外旅行好きというより、鉄道旅行好きが海外に出ただけなので、海外にでても動き方は国内となんら変わりません。このようにパックツアーから離れたオーダーメイドの海外鉄道旅行の愉しさを表現できればと思っています。建売住宅ではなく、注文住宅ですね。

80日間世界一周 (字幕版)

80日間世界一周 (字幕版)

 

  なお、現在、働きながら大学院へ通っている関係上、時間と資金がそちらに使われており、当分、海外旅行は難しそうです。過去の海外旅行で面白いネタが見つかったらアップしていきます。 

  

  リクエストもお待ちしております

 ということで、開設当初よりまったくコンセプトはかわっておりませんので、取り上げてほしいネタなどがありましたらコメントやメールにてお知らせください。国内の鉄道ならおおむね乗り終えていますし、切符や鉄道部品、旅客制度ならほぼ何でも語れます。