旅と鉄道の美学

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【切符系】 無効印を押されずに切符を持ち帰る方法

 まず屁じゃない理屈を述べておきますと、使い終わった乗車券類は、鉄道会社に引き渡す義務がありますので(JRの場合、営業規則229条)、厳密にいうと、何らかの正当な事情で手元に残ったものでも、効力を失っていたら渡さないといけないのです。ただし、罰則はありません。降りるときに、渡すべき切符を頑なに拒んだ場合は罰則があります(鉄道営業法18条)。

 

 なので、この記事の内容は少し倫理的に問題のあることは自覚しております。いちおう約款違反のレベルなので、私人間の問題で、法律違反ではないでしょう。。。きわめてダークグレーです。 ちなみに、私はキセルを含めて不正乗車は人生で一度もやったことはありません。不正をせずに、頭を使って安く上げるのが真の旅師の姿です。

 本ブログでも不正乗車の方法をレクチャーするような形にならないよう最大限の配慮をしております。

 

 さて、かつて、JRになってしばらくは切符を記念にもらえるようなことはなく、体感では、都市部の駅は、ほぼ全滅で、田舎の駅で頼み込んでやっともらえる印象でした。昭和時代に公式にもらえたのは富士急行ぐらいです。

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 このように一部の駅で持ち帰り用と思われるゴム印も見られますが、おそらく国鉄全体で禁止となる前のゴム印なのではなかろうかと思います。

 

 種村直樹『鉄道旅行術』(日本交通公社出版事業局、1985)257頁によると、無効印を消して不正使用した事例や国鉄職員が着札を不正使用した事例などが重なって、国鉄時代に厳しくなったようです。それに昔は、補充券などの手書き乗車券の着札審査があって本社に送り返されていたので、その事情もあったと思います。

 いまでは、電子化されて不正使用する可能性が極めて低く、着札審査の必要性もないので希望者には渡していると思います。ただ、無人駅の場合や、手書きの補充券などの場合は断られることもあるようです。

 無人駅では車掌や運転士が集札しますが、無効印がないですし、無効処理のための穴あけをしている手間もないと判断しているからだと思います。手書きの補充券などは、あとで着札審査をする事務処理がまだ残っているからでしょう。

 最近は客ではなく、使用記録のない着札を、駅員が不正に払い戻すなどの事件が起きています。

 

 ちなみに、種村氏はSLやまぐち号に乗った時の指定券がほしくて駅員に交渉したものの、もらえず、本書でも『鈍行列車の旅』でも相当悔しそうに書いていました。私が関釜フェリーでもらえなかった心境と同じですね。

 

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 発着駅名、日付、発車時刻と全てそろった【完全常備券】です。これだけ立派なら、鉄ヲタでなくてもほしくなりますね。ただ、氏は東京で購入しているので、マルス発券の物だと思います。

 ちなみに右端の「やまぐち・ザ・02小郡」の「ザ」はTHEではありません。座席指定券のことです。今はあまり言わないと思いますが、急行券・指定席券(座席指定券)のことを、国鉄内の隠語で「急ザ」と言いました。なので、「硬券の急ザはありますか?」とか窓口で言うと通ぶれるわけですw。

 

 ということで、前置きが随分長くなってしまいましたが、今のように簡単にもらえる時代ではなかった時期を過ごした私としては、直談判する以外に様々な策を講じたので、披露しておきます。今でも、券面に無効印を押されないように入手する方法としては有効だと思います。無効印を押されてよければ、今はほぼ全国の鉄道で手に入ります。ただし、手書きの特別補充券についてはJR北海道ではもらえないようです。

 

 1 定期券で下車する

  小学生から電車通学だった私はこれが一番のメリットでした。下車駅で定期券を見せたら、そこまでの乗車券は渡さずにすみますからね。もっとも地元の駅の駅員さんとは仲良くなっていたので、頼めばもらえます。威力を発揮したのは、無人駅になってから車掌をクリアするためですね。ちなみに仲良くなった車掌も数名いましたので、この方のときはもらえていました。

 いまは、キセル防止のため入場の情報も記録されると思うので、地方路線でないと、無理だと思います。 駅員時代は、自動改札機が跳ねた回数券を持ってきた客に誘導尋問して、言質をとってキセルで検挙したことがよくあります。マニア兼駅員なので、素人が思いつきそうな不正は余裕で見抜けます。

 

 

 

 2 途中下車する

  あえて目的の駅より先まで買って、途中下車して、その先を放棄してしまうことです。JRの場合は同じ金額の駅でも途中下車できますし、往復によっては先まで購入した方が安上がりになったりします。途中下車が可能な条件は関連記事をご覧ください。 

  

 

 JRと私鉄の接続駅で途中下車する場合は、下車前途無効の乗車券であっても可能です。 

 

 3 一時出場の場合

 

 途中下車ではなく、一時出場の場合。 

 

 一時出場の手段は無人駅で乗り換える場合でも使えます。たとえばこちら。

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 亀嵩から東城までの乗車券です。列車は出雲横田か備後落合止まりで、備後落合で乗り換えるときは無人駅なので、いったん運転士が確認します。このときこれを見せたら東城まで行く前提なので、回収されません。そのあと、使わずにもらってしまえばいいのです。このように無人駅で乗り換えるときは、その先を放棄すれば手に入るのです。

 

 私鉄でも一部の駅で物理的に分離している駅では手に入りますね。近鉄田原本駅西田原本駅などが典型的な事例です。

www.estoppel.jp

 

 4 他の乗車券と併用する

 (1) 乗り越す

 社内精算のタイミングで分かれます。たとえば、東京から名古屋の乗車券をもっていて、大阪に乗り越す場合、名古屋までに申告すると、最初の乗車券(原券という。)は回収されませんが、名古屋を過ぎていると、既に使用済みと判断されて回収されます。規程上(263条)は、原券の回収は原則となっていて、そのまま客に所持させることは車掌の裁量の範囲となっていますが、たいていこのような処理をされますので、降りるときに乗り越した分の乗車券を提出すれば、原券が手元に残るのです。

 ただし、原券が下図のような矢印、地図、金額になっている場合は、一緒に持たせる慣行があるので、下車駅で提出を求められます。

 

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 (2) 分岐する

 例えば、出張先の新潟から東京に帰るとき、越後湯沢で乗り換えてガーラ湯沢でスキーをしたくなった場合です。別に越後湯沢⇔ガーラ湯沢の往復乗車券を購入することになりますが、越後湯沢で再度、新幹線に乗り換えるときは、もともと持っていた新潟からの乗車券をつかえば、ガーラ湯沢からの乗車券は自然と手元に残るわけです。 

 

 東京から名古屋までの乗車券をもっていて、国府津御殿場線経由にした場合に、御殿場線の乗車券はそのまま持ち帰れます。ただし、このような場合は経路変更(区間変更)を申し出た方が得です。

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 同様に天竜浜名湖鉄道に乗った場合は、新所原ではなく、二川までの乗車券を購入しておけば、新所原の改札(今は運転士かな?)で回収されることがありません(JR分の運賃が余計だけど。)。もちろん別会社なので、経路変更の対象ではありません(別会社でも可能な場合あり。)。

 

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 5 往復乗車券・連続乗車券を片方だけ使う

 JRでは、往復乗車券や連続乗車券は2枚になりますが、昭和40代までの国鉄では、特殊補充券の場合1枚で発行していました。いまでも一部の私鉄ではこのような伝統をもっている会社が意外とあります。

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 これは名鉄の事例ですが、往復乗車券が1枚で発行されるので、往路では回収されません。復路の運賃を犠牲にすれば手に入ります。

 

 6 無人駅で下車する

 

 編成が長い列車だと、車掌も集札をあきらめることが多いので、改札口を通るときに着札箱に入れなければ手元に残ります。山陰本線紀勢本線などは列車が長いので、まず来ませんでした。飯田線は最高でも6両しかなく、確実にきました。飯田線の車掌に万歩計をつけたらすごい数になると思います。

 個人的な感想ですが、全般的に、地方路線で集札率が高いのはJR四国のような気がしました。 

 

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  これは山陰本線浜村駅の着札箱です。ステンレス製の立派な作りです(鉄よりステンの方が材料費が高いです)。

 

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 これは福知山線武田尾駅の着札入れです。お菓子箱が針金で吸い殻入れに取り付けてあります。私が出会った中で一番質素な着札入れです。着札回収というより切符のごみ箱目的でしょう。

  なお、東南アジアでは、ほとんどの駅で着札回収はなく、着札箱もないので、改札付近に落ちています。いつも拾って帰っていました。一見、きれい好きな日本人と思いきや、実は切符しか拾ってないのです。

 

 7 ターミナル駅の手前で降車する(特急券を入手する)

 これは昔の新宿などですね。不正乗車防止のため、ホーム上に特別改札があって、 特急券を回収される場合があるので、手前の八王子などで降りて、中央特快に乗り換えるパターンです。 各地のターミナル駅は、この方法で乗り切って手に入れました。

  逆に田舎すぎると、特急や急行から降りてきたことがバレバレなので、改札で提出を求められて回収されてしまうことがありました。

 

 いまは新宿駅で回収されることもないので、この前は隣にいた鉄ヲタの小学生に上げてしまいました。 

 

 

 8 自然と手元に残るもの

 集札がなく何もしなくても残るような切符もありました。

 

  (1) 復路専用乗車券

 分岐点通過に関わる制度で、特別に設定されている乗車券です。

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 たとえば、東京から新幹線に乗ってきて、春日井(名古屋市ではなく春日井市です。)に行く乗車券を持っていて、名古屋駅で新幹線から中央線に乗り換える場合です。名古屋で途中下車しなければ、はみ出た金山⇔名古屋間は運賃を払う必要はありませんが、途中下車するなら払わなければいけません。このような申し出をする客が多い駅には往復分の運賃をもらって、帰り用の専用乗車券を渡す場合があるのです。なので、復路専用券なのです。これはその先で呈示を求められることがないので、マニアでなくても手元に残る率が高いですね。
 

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  (2) グリーン券・乗車整理券・指定券など

 いまはスイカで乗る方がほとんどだと思いますが(はやかけんは使えなかった。)、普通列車グリーン券の場合は下車駅で一般車両にのってきた風で降りたら、渡す必要がないので残ります。

 

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 (3) 団体旅客乗車票

  団体乗車券は全員分が1枚しかありませんので、都内各所の駅からバラバラに乗ってきて、バラバラにはけていくときは、このような乗車票が発行されます。乗るときに提示して、構内で集合して旅行に行ってしまうのであれば、手元に残りやすい切符です。 

 

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 (4) 手回り品切符  

 本来は乗車券と一緒に回収するのですが、回収しない率が非常に高いです。なぜかと言うと、針金でくくってあったりするので、取るのに手間がかかるし、日付や持ち込み区間が明記されていて、自動改札を通れないので不正使用の可能性が極めて低いからです。いまは自転車が無料になっている鉄道会社が多いので、ペットでの需要でしかないと思います。

 

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 (5) フリー切符のたぐい

 これは事例を挙げるまでもありませんね。手元に青春18きっぷが残っている読者も多いと思います。まあそういうことです。

  

 

 (6) シャワーカード

 これは切符ではないです。もちろん回収もされません。このときは利用して持ち帰る予定でしたが、シャワールームがいつ行っても空かないので、あきらめて寝ました。なお、A寝台は、A寝台客専用のシャワールームがあり、そちらは空いています。

 

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