旅と鉄道の美学

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【切符系】 デザインもさまざま 手回り品切符

 続き記事です。前の記事は理屈ばかりですが、こちらはビジュアルで楽しめます。一口に手回り品切符といっても多様な様式があることがわかります。

 

● 旧タイプ

 一番歴史のある国鉄時代からのオートドックスなタイプです。JRの営業規則にも様式が載っています。

 

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 数字が特徴的な会津若松駅の事例です。いかにもオレは荷物用とでも言いたげなフォントがクールです。

 細かい話ですが、制度上「鉄道・航路」と「自動車線」は別々の承認になっているので、「鉄道・航路用」と書かれています。今は宮島航路しかありませんが、当時は全国的にフェリーと連絡運輸を結んでいたので、標準フォーマットにも書かれていました。自動車線が別承認になっているのは、バスなので、持ち込めるか持ち込めないかを現場でないと判断できないからです。

 

一時預かりと兼用になっているものです。

 

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 国鉄型です。上の会津若松と同じですね。国鉄時代はほぼこれでした。

 

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 こちらは信楽高原鐵道信楽駅です。数字が大きいところが旧型ですが、フォントがちょっとだけモダンになっています。青の色鉛筆は集計してから最初の券であることを示します。

 

● 新タイプ

 

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 ちょっとスタイリッシュな大井川鐵道新金谷駅です。大井川鐵道はフェリーとの連絡運輸はありませんので、「鉄道用」になっています。

 

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 同様に阿佐海岸鉄道宍喰駅です。

 

 ● 新タイプーショボい版(失礼!)

 

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 いちおうオフセット印刷のようですが、穴の部分などが経費削減タイプです。最近脱線事故があった弘南鉄道黒石駅です。脱線の原因もコンクリート枕木に変えるような予算がないことが要因とも聞きますので、地方鉄道の厳しさをここにも感じます。現在は速度を落として走行しているようです。

  

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  もっと経費削減タイプの遠州鉄道遠州小松駅です。単なるコピーです。

 

● 硬券タイプ

 一部には硬券タイプもあったようですが、事例としては非常に少ないです。

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 国鉄ですが、自動車線の方です。

 

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  こちらは私鉄の別府鉄道です。

 

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 なんと、わたらせ渓谷鐵道では、硬券の手回り品切符が売られていました(2020.10.3購入)。


 

● 端末券タイプ

 

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  一番現代版といえる端末からの発行タイプで、名古屋鉄道新名古屋駅(現:名鉄名古屋駅)です。

 

● 出札・改札補充券タイプ

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 これはこれで豪華ですよね。新幹線の改札だけあって、需要がかなりあったのでしょう。ゴム印も完備しています。

 

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 明智鉄道の恵那駅です。干からびた補充券が歴史を感じさせます。残念なことに書くところを間違えています。これは自ら購入した物ですが、もらったときは気づきませんでした。しかし平成11年で300円は全国で最高額でしょう。

 

 

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 新しめの補充券です。くま川鉄道人吉温泉駅です。大人も小人もないので、大人1は変ですね。岡山駅の方が正しい書き方です。

 

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 これは手回り品切符ではありませんが、手回り品切符での発行も想定されている改札補充券です。経年で文字などが消えてしまっています。

 

 ● 車内補充券タイプ

 手回り品切符としても発行する想定がある補充券を取り上げます。どの会社でも、どの車掌区でもあるものではなかったです。

 

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 専用のパンチ部分があったものです。秋田内陸縦貫鉄道です。

 

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 同様に国鉄時代の京都車掌区。

 

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 東京車掌区は個数まで記入する欄がありました。

 

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 同じく個数欄のある小田急大野車掌区。ちなみに穴が3個空いていると思いますが、間違いではありません。小田急多摩センターから新松田までの乗車券をもって、御殿場線の東山北まで乗り越したので、このようになっています。

 

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 こちらは定期手回り品切符です。定期券と一緒に使用することが前提とされており、行商の方など向けて発売されていました。