まず何がすごかったか語りましょう。
① 自分でルートが組める。但しJRを201キロ以上、指定の場所を2か所訪問しないといけない。
② JRの鉄道だけではなく、そのほかの鉄道、路線バス、高速バス、船、ロープウェイ、はたまた小さな渡し船なども組める。
③ JRは2割引き、そのほかは1割引き。
④ 学割にするとJRが3割引き、そのほかは2割引き。
⑤ 有効期間が1か月。
かつてはこんなすごい切符があったのですが、一般にはあまり知られておらず、ワイド周遊券などのエリアが決まったものを利用することが多かったようです。販売側にしても、作る手間に加えて、会社間の精算の手間もあったと思いますので、JR時代までも生き残っていたのが奇跡ともいえるでしょう。
制度自体は、時刻表のピンクのページで知っていたものの、なかなか使う機会がありませんでした。しかし、年間10枚制限の学割証を節約したい学生時代、九州に行くときに頭をフル回転して作りました。
●水上温泉で研修がある(九州に行く用事とは別)。
●急行「砂丘」に乗りたい。
●ハワイ温泉に泊まりたい。
●出雲大社にお参りしたい。
●阿蘇のSLに乗りたい。
●熊本で演武会に出ないといけない。
これらをすべて満たしたうえで学割の使用を1枚にとどめたい。でてきた答えは普通周遊券です。1か月間有効という点が一番大きいですね。状況によっては旅行5回分ぐらいを全部一セットで作ってしまうこともできたと思います。
東京を起点にいったん水上温泉にいって、東京にもどったときは途中下車扱いにしてもらい、翌週にはムーンライトながらで出かけて、近鉄を経由して、岡山から急行「砂丘」。そして羽合温泉宿泊後、山陰本線、日豊本線を経由し、いまはなき高千穂鉄道、阿蘇鉄道、あそぼーい、〆は寝台特急「なは」というルートでした。相当お買い得な金額になっていると思います。
なお、注目していただきたいのは「○通」の表記です。これは「通過連絡運輸」といって、間にJR以外を挟んでも、JRは通しで運賃計算が可能という制度です。はさめる区間は下の写真通りで(旅客関係単行規程集より)、歴史のあるフェリーの経路に第3セクターが加わった感じですね。伊勢鉄道はいまでも普通乗車券で通過連絡を認められています。
これをつかうと、券面上「水上→名古屋」「鶴橋→延岡」と分けて記入しないといけないので、機械で発券できないのです。チープな機械発券より手売りの方が味がありますよね。これを狙って購入しました。複雑でしたが、意外にすんなりでてきました。
下のものは、そのとき一緒に購入して手元に残したものです。JR以外は「周遊船車券」という名称ででてきます。JRの方は、通常は下のように機械での発券となりましたが、上に書いた通り、通過連絡運輸だと、機械で処理できませんでした。
こんな手間のかかる切符はもう出ないでしょう。作り手の人件費を考えたら、どうかんがえてもペイしませんわ。下の手売り時代の券を見てください。今の旅行会社の従業員がみたらうんざりするでしょうね。