【要点】 都区市内すべての駅が同一運賃の着駅と考えられるうえ、都区市内で途中下車していないので乗車券はいまだ有効であり、乗車可能。
この乗車券を例にして考察します。

特定都区市内着の乗車券は、当該都区市内で途中下車すると前途が無効になりますが(旅規156条3号)、それより前で途中下車して別の手段で移動し、都区市内駅から乗車できるのかです。

例えば、岸辺で下りて、正雀・淡路間を阪急で移動し、JR淡路から鴫野に移動するのにも使えるのか。
まず、岸辺での下車は、許された途中下車にあたるので、乗車券はいまだ有効です(東海道新幹線と東海道本線は旅規16条の2により同一線路)。その後、JR淡路で乗車しようとしたときに、JR淡路は大阪市内に属する駅のため着駅であり、乗車できないのではないかという疑問が出てきます。
そこで、特定都区市内の根拠になる86条にさかのぼってみます。赤色が重要です。
【旅客営業規則】
(特定都区市内にある駅に関連する普通旅客運賃の計算方)
第86条
次の各号の図に掲げる東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅、八丁畷駅、川崎新町駅及び小田栄駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(南吹田駅、高井田中央駅、JR河内永和駅、JR俊徳道駅、JR長瀬駅及び衣摺加美北駅を含む。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅、下山門駅、今宿駅、九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と、当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から営業キロが200キロメートルを超える区間内にある駅との相互間の普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する。この場合、第2号にあっては、新横浜駅から東海道本線(新幹線)に乗車し、又は新横浜駅まで東海道本線(新幹線)に乗車するときは中心駅を新横浜駅とし、それ以外のときは中心駅を横浜駅として普通旅客運賃を計算する。
ただし、特定都区市内にある駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。
この規定によれば、特定都区市内の根拠は運賃計算ということになります。そして、それに基づいて、「大阪市内」と表記されるので(旅規187条4号)、大阪市内すべての駅が着駅になります。東京から鴫野まで単駅指定で購入したくても、都区内→大阪市内が強制されることになります。
関連する規定を見てみます。
旅規147条は、「乗車券類は、その券面表示事項に従って、1回に限り使用することができる」としか書いてないので、あまり手掛かりになりません。
次に、旅規156条柱書と3号を併せ読みますと、「特定都区市内又は東京山手線内にある駅」では、途中下車できないというだけで、特に関係ありません。
そうなると、乗車を禁止する規定はないので、JR淡路で乗車して鴫野まで移動可能という結論が出てきます。もとをたどれば、東京→鴫野など、単駅で購入したいにも関わらず、JRの都合で特定都区市内が強制されているので、客が不利益を被るいわれもありません。
さらに、他の乗車券と比較することでも認められることが推知可能です。途中下車の規定を確認します。
【旅客営業規則】
(途中下車)
第156条
旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によって、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については、最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車に乗り継いで旅行することができる。ただし、次の各号に定める駅を除く。
「同額のため2駅以上を共通の着駅」とあり、着駅が複数ある場合には最終着駅までの間に途中下車し、再乗車が可能なのです。次のような事例が該当するのですが、特定都区市内着の乗車券も実質的にみて2駅以上を共通の着駅とした乗車券とみることが可能なので、券面着駅からであっても、前途乗車の含意がよみとれます。

なお、特定都区市内の駅から乗れるといっても、持っている乗車券との関係で一筆書きとなる経路に限ります。上図でいうと、東淀川から最終目的地たる大阪市内の駅までが一筆となっていないといけないです。