旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 名古屋・岐阜(岐阜羽島)間の選択乗車 但書の意味

【要点】 特定運賃で安く乗られないために、選択乗車を制限していると思われる。連絡乗車券も同様に制限される(かなり微妙だが)。

 

1 但し書きの理由

 選択乗車の規定(157条1項)で、1か所だけ妙な但し書きがついているんですよね。次の赤色部分です。

【旅客営業規則】

(選択乗車)
第157条
旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間(略図中の〓線区間以遠の駅と━線区間以遠の駅若しくは◎印駅相互間)を、普通乗車券又は普通回数乗車券(いずれも併用となるものを含む。)によって旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かっこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。ただし、2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。

 (1~22号 略)

(23)名古屋以遠(尾頭橋又は八田方面)の各駅と、岐阜羽島又は岐阜以遠(西岐阜又は長森方面)の各駅との相互間(名古屋・岐阜間、名古屋・岐阜羽島間)。ただし、金山・名古屋間各駅と岐阜の相互間発着及び金山・名古屋間各駅と岐阜羽島の相互間発着となるものを除く。

 (24号以下 略)

 

 この規定は、名古屋から東方向と岐阜や岐阜羽島から西方向の乗車券を持っている場合、2枚以上の乗車券を併用する場合も含めて、名古屋・岐阜と名古屋・岐阜羽島間を自由に選択して利用できるという規定です。

 しかし、次の乗車券がのぞかれています。

 ・金山⇔岐阜(特定運賃 540円)

 ・金山⇔岐阜羽島(600円)

 ・尾頭橋⇔岐阜(特定運賃 470円)

 ・尾頭橋⇔岐阜羽島(600円)

 ・名古屋⇔岐阜(特定運賃 470円)

 ・名古屋⇔岐阜羽島(600円)
 金額を見てもらえばわかるように特定運賃の設定区間です。つまり、安い金額で名古屋・岐阜羽島間を乗られては困るということです。なお、実際に金山→岐阜の乗車券で金山→岐阜羽島を乗ろうとした場合は、区間変更の対象となり、差額を徴収されるでしょう。金山→岐阜羽島の乗車券で東海道本線を乗った場合、区変ですが、差額徴収なしとなります。

 

2 乗車券を併用した場合

 157条柱書に「いずれも併用となるものを含む。」とあり、金山→岐阜、岐阜→西岐阜の乗車券を併用した場合なら、金山→名古屋→岐阜羽島→岐阜→西岐阜と移動できそうに見えますがダメでしょうね。文理解釈をしたとして、当該23号の規定が特別規定と考えられることと、実質的に見て特定運賃を利用した普通運賃潜脱行為となるからです。

 

3 連絡乗車券の場合

 例えば、桑名→(近鉄名古屋/名古屋)→岐阜の乗車券の場合に桑名→名古屋→岐阜羽島と乗車できるのかです。

 この乗車券自体は桑名→岐阜の乗車券なので、上記の規定に適合しないように見えます。

 ここで連規の運賃規定を確認します。

【旅客連絡運輸規則】

第48条 大人普通旅客運賃は、次の各号に掲げる旅客会社線と連絡会社線の大人普通旅客運賃を併算した額とする。
⑴ 旅客会社線 旅客規則の定めるところによって計算した旅客運賃
⑵ 連絡会社線 別に連絡会社線ごとに定める旅客運賃
(注) 「別に連絡会社線ごとに定める旅客運賃」とは、規程別表に掲げるものをいう。

 この規定により、名古屋・岐阜間は普通旅客運賃が適用になることがわかります。

【旅客営業規則】

(東京附近等の特定区間等における大人普通旅客運賃の特定)
第79条
第77条、第77条の3及び前条の規定にかかわらず、別表第2号イの7に掲げる東京附、名古屋附近及び大阪附近における駅相互間の大人普通旅客運賃は、同表に定めるところにより特定の額を適用する。


2 第77条及び第81条の規定にかかわらず、第140条第1項第2号の規定により鉄道駅バリアフリー料金を収受する区間(以下「第140条第1項第2号規定区間」という。)内の駅相互間の普通旅客運賃(第66条の規定により旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金とをあわせ収受する場合はその合算額。以下この条において同じ。)が、同一の発駅から同一の方向及び経路にある第140条第1項第2号規定区間外の駅までの普通旅客運賃と比較して、これよりも高額となる場合は、第140条第1項第2号規定区間外の駅までの普通旅客運賃のうち、最も低廉な額をもって、当該区間の普通旅客運賃とする。

 そして、特定運賃も普通旅客運賃なので、桑名→岐阜における名古屋・岐阜間は特定運賃となります。

 そうなると、制度趣旨から考えて、(近鉄)桑名→岐阜の乗車券で、名古屋・岐阜羽島間を乗ることはできない可能性があると思われます。ただし、この解釈はかなり微妙です。約款解釈というのは事業者に不利に解するのが原則であり、文言解釈からは該当しないと考える余地も十分ありえます。連絡乗車券は券面の発駅と着駅が違う会社であっても、一括して運送区間をみますので、これは桑名→岐阜の乗車券であって、名古屋→岐阜の乗車券と全く別に考えるから、上記の但書は適用されないと解釈することも十分可能です。むしろこの方が正常な解釈とも言えます。特則を設けていないJRが悪いとみる事案です。

 制度上のバグともいえます。特定運賃を設定したときに連絡乗車券の選択乗車まで見抜けなかったとしても仕方がない部分ですね。早急に条文上の手当てが必要です。