まずは昔よく見た事例から。
このように片道乗車券にゴム印を押して往復乗車券に代用する方法は、いまの40代以上であればよく見たと思います。根拠規定は下記になります。
【旅客営業取扱基準規程】
(乗車券類の代用発行等)
第192条
(1項、2項略)
3 次の各号に掲げる乗車券は、番号の連続する2枚を使用し、規則第188条第1項第9号に規定する記号を表示(車内片道乗車券の場合を除く。) のうえ、往復乗車券の代用として発行することができる。ただし、乗車する区間が片道の営業キロが600km以内のものに限る。
(1) 一般式常備片道乗車券及び相互式常備片道乗車券
(2) 準常備片道乗車券
(3) 特殊共通券
(4) 車内片道乗車券
(4項、5項略)
相互式は次の例のように⇔になっている乗車券です。

当日に往復するのであれば、2枚をバラバラで渡せばいいのですが、翌日に戻るのであればゴム印を押して往復乗車券の代用とできました。発行駅ではない方が、かえり券の発駅になります。
特殊共通券は印刷発行機などの例です。

東京都区内からになってますが、かえり券なので、実際の使い方は東京都区内着が正解です。
ここまでが旅規の範囲ですが、地域によって独特の応用バージョンがありました。
【東日本旅客鉄道 旅客営業取扱細則】
(往復代用発売方)
第50条 常備片道乗車券矢印式又は常備片道乗車券地図式を往復乗車券の代用として発行する場合は、復片の発駅名を赤色の鉛筆等により「○」で囲み発行すること。ただし、発駅名が運賃共通区間内の駅となるため、駅名の表示が省略されている場合は、同一方向の最遠駅名を「○」で囲む。
(2項略)
この規定はJR東日本ですが、国鉄時代は首都圏本部旅客営業取扱基準規程におかれていました。
【地図式の事例】

東秋留から高崎までの乗車券です。「往復」としかないので、「ゆき券」なのか「かえり券」なのか不明ですが、高崎駅の赤丸で高崎→東秋留の乗車券であることがわかります。

こちらは折本から岩宿までのかえり券です。折本に赤丸がついています。
このようにしないと、不正利用されてしまうからです。往復乗車券というのは2枚で一契約なので、片方を使い始めたら旅行開始となり、乗車券類類変更はできません。手数料を支払って払い戻すか、区間変更となります。区間変更の場合、発駅は変更できないので、上記の例だと、高崎や折本が「かえり券」の発駅として固定されます。
【印刷発行機の事例】
これは上記の旅規192条の「特殊共通券」にあたるもので、かつ地図式です。

駒込のところに丸がうってあるので、駒込から藤沢までのかえり券であることがわかります。地図式の特殊共通券を往復に代用して丸を売ったということですね。

なお、ネットで見ると、大阪でもこのような取り扱いがあったようです。
【矢印式の事例】

これは駅名小印でかえり券の発駅を抹消している例です。長井、南長井、時庭は同じ方向なので、逆方向にある鮎貝の駅名を消して、方向を固定しているのです。国鉄時代、上記の細則は首都圏だけのものなので、秋田鉄道管理局ではこのような運用方をとっていたのかもしれません。

赤湯の入鋏があるので、赤湯から時庭の乗車券と併用しているのだと思います。なお、赤湯の入鋏は、本来であれば入れるべきではないものです。根拠は下記の規定です。
※JR東海では併用券を所持している場合、まとめて入鋏する運用をしているようです。
【旅客営業取扱基準規程】
(併用乗車券の入鋏方)
第247条 連続した2区間以上の乗車券を併用して乗車する場合の入鋏方は、次の各号に定めるところによる。
(1) 旅行開始駅では、最初の区間に対する乗車券にだけ入鋏し、その他の区間に対する乗車券は、そのまま旅客に所持させる。
(2) 車内では、改札をした区間に対する乗車券にだけ入鋏する。
(3) 前各号の乗車券を旅行終了駅で回収した場合は、旅行開始駅の入鋏又は改札鋏痕のない乗車券に対して、便宜入鋏する。