特急券や指定券などで、律儀に発駅から乗らないと無効になるのではないかと疑問を持つ方もいると思いますが、無効にはなりません。途中駅からも使えます。ただし、席を取られるリスクはあります。そりゃそうですよね。権利の過少行使なので、無効にされては困ります。
1 途中から使ってもいいよという根拠
【旅客営業規則】
(乗車券類の効力の特例)
第148条
乗車券類は、次の各号に掲げる場合は、前条の規定にかかわらず、使用することができる。
(1)特別車両定期乗車券を使用して普通列車の特別車両以外の座席車に乗車する場合又は自由席特別車両券(A)を使用して普通列車の自由席特別車両に乗車する場合
(2)大人用の乗車券類を小児が使用して乗車する場合
(3)乗車券類の券面に表示された発着区間内の途中駅から乗車する場合
乗車券類に特急券、急行券、寝台券、コンパートメント券、グリーン券、指定席券を含みます。
ここで、少し古い急行券・指定席券を見てみます。

下車駅は書かれてないのですが、201キロ以上で金額が変わらないので、空欄にして終点まで座席を確保してあるのでしょう。増(まし)1というのは増結車両を意味します。夏休みに入ったばかりなので、増結しているようです。
この指定券をもって、発駅の西鹿児島ではなく、伊集院から乗った場合を想定します。
裏面を見てみます。

「指定駅から乗車しない場合は、座席がないことがあります」とあります。この文言が、冒頭で話したことの現れとなります。座席がないことがあると書いてあるだけで、無効とは書いてありません。なので、伊集院から乗ると、席がとられている可能性がありますし、逆にいうと、途中から乗ってよいということを推測させる文言です。
なぜ、ない可能性があるかというと、車内で空いている席を車掌が売っているかもしれないのです。
2 原則規定
まずは急行券です。
【旅客営業規則】
(急行券の効力)
第172条
指定急行券を所持する旅客は、その券面に指定された乗車日、急行列車(未指定特急券にあっては、券面に指定された列車群に含まれる1個の特別急行列車)、旅客車、座席及び乗車区間(営業キロ地帯が表示されているときは、当該営業キロ地帯内の最遠の停車駅まで)に限って乗車することができる。(2項以下略)
指定急行券とは、乗車日及び乗車列車等を指定して発売する急行券です(旅規3条10号)。特急券は急行券に含まれます。
この規定の中に「乗車区間……に限って乗車することができる」とあるので、なんとなく発駅と着駅をきちんと利用しないといけないようにも見えるのですが、区間なので、間の乗降を扱う駅なら乗り降り自由なのです。券面区間の途中で乗って途中で降りても構わないのです。冒頭の148条の通りです。ただし、特例がある場合を除き一列車限りなので、降りたらそこで無効です。
次に座席指定券についてです。
【旅客営業規則】
(座席指定券の効力)
第182条の4
座席指定券を所持する旅客は、その券面に指定された列車、旅客車若しくは座席に限って乗車することができる。
これと類似の規定は、指定席グリーン券(旅規175条)、寝台券(旅規178条)、コンパートメント券(182条の2)にもあります。
2 席をとられる可能性の根拠
【旅客営業規則】
(指定席特急券の指定駅から乗車しない場合の取扱い)
第173条
指定席特急券(未指定特急券を除く。)は、これを所持する旅客が、その指定の乗車駅で乗車しない場合は、他の旅客にその座席又は旅客車を指定して急行券の発売をすることがある。この場合、指定駅で乗車しなかった旅客は、当該急行券に指定された座席を請求し、又は旅客車に乗車することができない。
乗車駅で乗らないと、該当の席に座る権利が奪われます。
この規定は指定席特急券に関してのものですが、指定席グリーン券、寝台券、コンパートメント券、座席指定券に準用されますので(旅規176条、179条、同182条の3、同182条の5)、これらの券でも同じこととなります。
3 席がなかった場合
【旅客営業取扱基準規程】
(座席既使用の場合の取扱方)
第168条 指定席特急券を所持する旅客が、指定駅で乗車しなかつたため、当該座席を他の旅客に使用させた場合で、その後に当初の旅客からその使用の請求があつたときは、旅客の希望によつて空席を充当することとし、もし充当するものがないときは、当該急行券に「他客充当未使用」の例によりその旨を記入証明しておき、旅客の希望駅においてこれに対する既収料金の払いもどしを行うものとする。この場合の払いもどし手数料は、規則第273条の規定にかかわらず、急行券1枚につき340円とする。
2 前項前段の場合において、特別車両券を所持する旅客に対して、特別車両以外の座席車の空席を充当したときは、規則第290条の2の規定を準用して特別車両料金の払いもどしをするものとする。
(注) 指定席特急券を所持する旅客が、その指定駅で使用の請求をしなかつた場合は、列車が当該指定駅を発車後、相当の時間をおいて、旅客が乗車しなかつた事実を確認後他の旅客に発売するように注意すること。
手数料は必要ですが、払い戻し可能です。
なお、この規定は 指定席グリーン券、寝台券、コンパートメント券、座席指定券に準用されます(基準規程171条1項、同173条、同175条の3、同176条)。
4 無効になってしまう場合
「ぷらっとこだま」などのように途中駅からの乗車では無効となるきっぷもあるので、十分ご注意ください。