ちょいと珍しい乗車券です。

表は何の変哲もない普通乗車券に見えます。しかし、裏が変わっているのです。右の断片部分が1050となっている点に気づいた方は鋭いです。

(買替)
既収運賃 100円
差額運賃 2100円
とあります。これは次のことを示します。

もともと、宮城野原→仙台の(ム)の乗車券をもっていて、仙台の乗換口で会津若松までの乗車券を買いなおしたということです。おそらく当時の宮城野原は限定的な乗車券しか売っておらず、遠距離の駅に行く場合は、仙台まで購入させて、仙台で買いなおさせる慣例があったものと思います。なので、常備券を用意して構えていたのでしょう。(ム)の意味についてはリンクを確認してください。簡単にいうと、制限された乗車券しか発売できず、旅客の希望に応じられない場合は、不利益(区変すると原則として払い戻しができない。)がないように取り扱うことができるという証明です。
なお、「宮城野原→仙台間使用ずみ」の表記は、払い戻しを想定してだと思います。これがないと、誤って宮城野原から払い戻してしまうリスクもありますので。もちろん輸送障害時はこの乗車券で宮城野原まで無賃送還を受けることができ、全額の払い戻しも可能です。
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では、具体的に規則の話に入ります。
【旅客営業取扱基準規程】
(普通乗車券の特殊発売方)
第44条 規則第27条第1項又は同条第2項の規定により普通乗車券を発売する場合は、その乗車券の表面に「(ム)」の表示をして発売するものとする。この場合、前途の駅又は車内においてその乗車券と引換えに旅客の請求する全区間の乗車券を発売する(以下これを「買替え」という。)旨を案内しなければならない。
2 前項の場合、旅客が旅客運賃割引証を提出したときは、全区間のものを発売する前途の駅又は車内までこれを所持するように案内するものとする。
3 規則第27条第3項の規定により旅客から全区間の乗車券を請求された場合は、原乗車券を回収し、常備片道乗車券、補充片道乗車券又は特別補充券によって発売するものとする。この場合の有効期間は、全区間に対する所定の有効期間からすでに経過した日数(取扱いの当日は含めない。)を差し引いた残余の日数とし、常備片道乗車券を使用する場合に有効期間の訂正を要するときは、第195条の規定を準用して取り扱うものとする。
4 前項の場合、旅客の所持する乗車券が金額式の普通乗車券で、かつ、車内において取り扱うときは、原乗車券を回収しないで、特別補充券とともに所持させることができる。
本件はこの規定に基づいて発行されたものです。規則上は「常備片道乗車券により」とあるのですが、実際に見かけるのは特別補充券による例ばかりなので、非常に珍しいのです。
