旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 新夕張・新得間の乗車券だけで特急に乗れるルールを考察する

 歴史のあるルールですが、改めて考えます。

 この区間は特急列車しか走っておらず、すべての乗客が特急に乗車するしかないので、新夕張新得間だけで相互に乗車する場合と、別の列車に乗り換える場合は普通列車に乗車したものと同じように扱っているのです。旅規には明記されておらず、社内の通達で運用されています。これは、旅規に定められた基準よりも有利な取り扱いをする措置なので、いちおう運送契約上の法的な問題は生じません(消費者契約法の趣旨からすれば、有利取り扱いであっても、明記すべきなのですが。。。)。

 

  さて、現場にはこのような看板があります。

 この掲示自体は最近のもののようですが、なにも新しいルールが加わったわけではなく、注意喚起のためです。ただし、「再び同じ列車に乗車する場合」が加わっているようですね。

 

 【運送契約との関係】

 この特例は、乗車できる「効力」に関するものなので、運送契約とは関係しません。具体的には、南千歳→新得の乗車券を購入した場合と、南千歳→新夕張/新夕張新得の乗車券を分割で購入した場合でも差はありません。後者の場合、運送契約は二分割されますが、実際に新夕張新得で下車しないと、特例の適用はありません。本特例は、運送契約ではなく乗車の形態を問題としているからです

 

 【再び同じ列車に乗車する場合】

 「列車から一度降りて、再び同じ列車に乗車する場合は特例は適用になりません」との文言が気になります。この「降りて」は、現実にホームに降り立つことを意味するのか、下車を意味するのかです。一般の人がこれを読むと、ホームに降り立つだけではだめと考えると思いますが、間違っています。この「降りて」は規則上の「下車」を意味します。JR北海道に見解を訊きましたが、わたくしと同じでした。

 

 【トマム占冠で途中下車する場合】

 そうなると、トマム占冠は、駅員無配置駅なので、ホームに降り立つことが途中下車となり(基準規程240条1項により「乗降」が基準)、特例を適用してもらえないか疑問になります。

 これも特例適用はありません。「同じ列車に乗車する場合」にあたるからです。

 ここで、規則上、途中下車にあたるような行為をしたにもかかわらず、当該特例から除外されるような措置は、消費者契約法民法の定型約款違反となり、この注意書きは無効なのではないかと気になります。しかし、そもそも、この特例自体が有利な取り扱いであり、注意書きにある「同じ列車に乗車する場合」に特例を適用しないというのは、本来の取り扱いに戻すということなので、トータルで見たら旅規の基準より不利な取り扱いをしているわけではないのです。だから許されます。

 

 【新夕張新得で途中下車する場合】

 災害で列車が抑止しているなどの何らかの長時間停車が新夕張新得であり、改札を出ることができたら、特例の適用がなされないか気になります。これは、同じ列車に戻ろうと、明確に途中下車にあたるからです。

 これも特例適用はありません。「同じ列車に乗車する場合」にあたるからです。

 この特例のポイントは、規則上、途中下車にあたる行為であっても、同じ列車に戻る場合は特例を適用しないという点です。

 

 【特急料金は打ち切りになるのか】

 派生する問題があります。占冠のホームに降りたり、新夕張で改札をいったん出て同じ列車に戻った場合、特急料金が打ち切りになるのではないかという点です。

 南千歳から占冠までの特急券を所持していて、占冠のホームに降りた事例で考えます。

 

 占冠のホームに降りただけでは、特例の適用はありませんので、同じ列車に戻ったら占冠新得間の特急券がさらに必要です。では、発駅計算なのか、打ち切り計算なのか。

 車内にいるだけなら、区間変更として南千歳・新得間の特急料金から原券区間を控除するのですが(発駅計算)、占冠のホームに降り立つと下車扱いになるので、新たに占冠新得間の特急料金が必要です(打切計算)。

 なので、占冠のホームに降りるだけで、無料で特急乗れるぜってドヤっていると、占冠新得間の特急券を買う羽目になりますよ。ただし、ホームに降りて写真撮ったり、自販機に行く程度は、途中下車としてカウントしないという現場慣行はあります(規則上は、一時出場という措置)ので、そこまで厳しくは言われないでしょう。

 

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 なお、JR東海には下車せずに乗り越すと、発駅からの運賃をとられるという驚きのきっぷ(新城・本長篠きっぷなど)があります。通常、特別企画乗車券は打ち切り計算なのですが、それすら許さないというものです。国鉄以来の運賃体系を大きくはみ出す特異な制度です。

 たとえば名古屋から湯谷温泉に行く場合です。うっかり、湯谷温泉で車掌に申し出て着駅精算をしようものなら、名古屋からの運賃を取られます(原券は払い戻し可)。

 この場合、本長篠(簡易委託)のホームで車掌に当該乗車券を渡して、さらに本長篠湯谷温泉の乗車券を購入すれば、名古屋からの運賃は必要なくなります。ただし、道義的にはいかがなものかと思うところもありますので、やる場合は、停車時間の長い列車を選んで、車掌に迷惑をかけないようにした方がいいでしょう。というより、そもそも名古屋で乗るときに買っておけということですね。事前に購入した乗車券と併用することは可能です。

 

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