旅と鉄道の美学

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【営業規則系】 特急券の払いもどしは1時間の遅延ですよ!(ただし乗車駅)

世間では、JRの特急が2時間遅延で無手数料払いもどしという話はだいぶ広まっていると思いますが、1時間の基準もあるので、注意が必要です。次の記事で駅員すら知らないのではないかと気になったところです。

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このなかで、カスハラや暴力は論外ですが、「金を返してくれ」という部分だけは正当な要求の可能性もあるわけです。この返答に駅員氏は返金しないという点について「対応に問題はありません」と答えていますが、所定時刻から1時間の延発が見込まれていたら明らかに誤りです。その時点で無手数料の払い戻しに応じなければなりません。

 

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乗車駅の使用開始前から着駅まで順番に解説します。ここで解説するのは無手数料払いもどしです。自己都合で払いもどすような手数料が必要な場合は除外しています。また、乗車券まで触れると複雑になるので、乗車券は別記事にしておきます。

1 使用開始前

運行不能 払いもどし 旅規282条2項
事故列変※ 基準規程371条
遅延 接続駅で接続予定の列車等の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車等に接続を欠くことが確実なとき 払いもどし 旅規282条2項
着駅到着時刻に2時間以上遅延することが確実なとき
出発時刻に1時間以上遅延するか遅延が確実なとき 旅規289条2項
出発時刻に1時間以上遅延して出発することが確実な場合
出発時刻に1時間以上遅延して出発した場合
基準規程352条
着駅に1時間以上遅れて到着することが確実な場合
出発時刻に1時間以上遅延するか遅延することが確実な場合 事故列変※ 基準規程371条
前途の区間1時間以上の遅延が確実な場合
接続予定の列車に乗車することができないことが確実な場合

 

2 使用開始後

運行不能 払いもどし 旅規282条1項
急乗承※2 旅規289条1項
遅延 接続駅で接続予定の列車等の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車等に接続を欠くことが確実な場合 払いもどし 旅規282条1項
着駅到着時刻に2時間以上遅延することが確実なとき
2時間以上の遅延をしたとき 急乗承※2 旅規289条1項
出発時刻に1時間以上遅延するか遅延が確実なとき 払いもどし 旅規289条2項
着駅到着時刻に2時間以上遅延することが確実なとき

 

3 着駅

遅延 接続駅で接続予定の列車等の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車等に接続を欠いたとき 払いもどし 旅規282条1項
到着時刻に2時間以上遅延したとき
到着時刻に2時間以上遅延したとき 旅規289条2項

 ※1 事故列変とは、同じ日に同じ駅から出発する同一区間の特急などへ変更する場合で、過剰額は払いもどし、差額の支払いは必要としないメリットがある制度。

 ※2 急乗承とは、同一方向に向かう後続の特急に乗れたうえに払いもどしが受けられるというメリットがある制度。

 

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 以上から、乗車駅にいた場合は、おおむね次のように考えることができます。

●運休が決まったのなら、その時点で払いもどし可能。

●数分程度の遅延であっても、接続駅で接続予定の列車に乗れず、1時間以上待たされることになるのであれば、払い戻しが可能。
●見合わせとなった場合でも、1時間出発が遅れる見込みなら払いもどし可能。
●定刻で出発する予定でも、先の区間で1時間以上の遅れが見込まれていれば払いもどし可能。
●着駅に1時間以上遅れることが確実なら払い戻し可能。

 

いろいろと複雑なのですが、乗車駅と途中駅は、運休となるか1時間以上の遅延見込みが基準と覚えておけばおおむねあっています。

 

一般的に知られている2時間というのは着駅での基準です。特急に乗ってきたのに特急料金が戻ってきてラッキー!といった大サービスのインパクトが大きすぎて、乗車駅も2時間と勘違いしている方があまりに多いのではないでしょうか。駅では、少なくとも、1時間という基準は案内できなければいけません。しかし、JR某社の社内マニュアルをみても1時間の基準には触れておらず、不十分な資料であることがわかります。

 

冒頭の記事では、いつ、旅客が申し出たのか書かれていませんが、少なくとも出発に1時間以上かかる見込みとなった時点で、「金を返してくれ」と言われたら正当な権利行使となりますので、駅は応じる必要があります。

 

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 すでに遅れているのに特急券を購入した場合

遅れ承知特急券などでない限り、これまでの基準にあてはめて考えます。駅に行ったときにすでに遅れている特急がたまたまいたらラッキーですよね。遅延の被害を受けることなく払いもどしができてしまうので、ただで特急に乗れたことになります。

 

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