旅と鉄道の美学

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【鉄道施設系】 味のある駅シリーズ 出雲坂根駅(島根県・木次線)

 この駅の特徴を知るには地図から見ていただいた方がいいですね。

 途中で線路が切れとるやないか?

 その通りです。切れているので、列車はバックします。

 

 高低差を意識して図示するとこんな感じです。

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 急すぎて一発で上がれないので、行ったり来たりして登って行くスイッチバックです。段が3段あるので、三段スイッチバックということです。

 車両の電車化や高性能化で徐々に全国から無くなりつつあるスイッチバックですが、ここは健在です。しかも三段あるということで有名なわけですね。

 

 では、動画です。上図からいうと右上から順番に下って行く形です。ちょっとカメラの調子悪くてピントが合っていませんでした。ごめんなさいね。

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 こちらは並行して走っている国道です。同じく坂ですが、ループ線になっています。時代の違いを感じますね。

 

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 駅舎は立派ですが、無人駅です。

 

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 行き止まりなので、それぞれのホームに同じ方向から入ってきて、交換をします。遠軽駅の小さい版ですね。遠軽の方は坂ではなく、駅の構造上、スイッチバックとなっています。

 

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 待合室からホーム方向です。トイレとコミュニティセンターがあるだけです。

 

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 停車時間があるときは、是非こちらの「延命水」を飲んでください。言い伝えでは100歳を生きたタヌキが飲んでいたとのこと。3ケタ歳を目指す私としては飲むしかありません。

 

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 こちらは道路を渡って反対側にある車で来た方向けです。

 

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 停車時間長めなので、乗客のほとんどが下りて行きました。

 

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 ちょっとヴィジュアルがいまいちです。不動産関係の仕事なので、造成地の土止めの水抜き管(管のついてない穴がそれ)に見えてしまいます。おいしい気がしません。いちおう飲んでおきましたよ。

 

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 そうこうしているうちに対向列車がやってきました。木次線名物の「奥出雲おろち号」です。

 

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 観光列車としても有名なのですが、車輛マニアさんには別の意味で有名ですね。入線時の動画をとっておりますが、客車っぽい部分に運転士らしき人がいることがわかると思います。

 通常、スイッチバックの場合は、運転士が後ろを向いて後退運転をする例(二本木駅など)と、反対側の運転席に移動する例(新改駅など)に分かれます。しかし、機関車が客車を引いているなら、運転士は機関車から離れることはできないので、普通に後退運転(推進運転)をすると思っていました。SLあそぼーいも運転士は後ろを見ながら阿蘇駅に入ってきました。しかし、おろち号は客車の先頭で運転士さんが運転しているのですね。

 でも、客車にエンジンはついてないでしょ?って思いますよね。客車の運転席で機関車を制御しているのです。客車から機関車まで配線がつながっているんですよ。これは面白い造りです。ラッセル車は前後のラッセルの運転台で機関車を制御するので、その配線を活かしているわけですね。この特徴はもう少し注目されてもいいと思うんですけどね。

 電車のように両端で運転できるので、機回し(機関車の付け替え)が不要となり、便利ですね。

 おそらく機回しの手間とスイッチバックの安全運転を考えてのことだろうと思います。機回しをやるとなると、機関車付け替え作業の時にポイント操作で指令とのやりとりが面倒になりますし、今の車掌は列車の誘導や連結作業の経験がない人が多いので、作業ミスを懸念したのだと思います。JRの最初の時代は列車掛から車掌になった人が多いので、こういった作業はなれているのですが、JRの場合は操車係はじめ、駅の助役や運転士がやっている場合が多いようです。

 また、スイッチバックの推進運転の際に後部に運転士がいないと速度が制限されてしまうので、それも理由としてあるのだと思います。

 むかしあった尾久客車区から上野駅の推進運転は速度を上げるために後部にも運転士を配置して二人の運転士で行っていました。後部運転士を揶揄して(ちょっと格下のイメージで)「ラッパ屋」と言われていましたね。その動作は下記のJR東日本の動画を見ていただくとわかると思います。カシオペアのスイートルームで真剣な顔で無線通告しているのは車掌さんではなく運転士さんです。

 

 (二本木の例)

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 (新改の例)

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 (尾久~上野 推進運転)

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