旅と鉄道の美学

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【鉄道部品系】 客車の醍醐味 国鉄・JR 乗務員無線の話(Cタイプ鉄道無線)

 電車の車掌は発車合図にブザーを押していたりしますよね(JR東日本は除く)。

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 では機関車が引く客車列車はどうなっているのでしょうか。連結器を見てもブレーキ管しかありませんので、ケーブルなどが接続されている様子はありません。寝台列車などは10両以上あったので、旗で合図するには無理がありますね。

 

 答えは無線機です。 

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 こちらが国鉄時代に使われていた乗務員無線です。あまり出回ることはないので、持っている人は少ないでしょう。高校生のときにたまたま鉄道ショップに在庫があることを知って購入しました。当時、バッテリーはまだ稼働したので、充電してときどき聴いていました。地元の飯田線はこのタイプなので、台風などの災害時は電源を入れておくと、遅延や抑止の情報が入ってきて重宝しました。また土日祝日には客車のトロッコファミリー号が走っていたので、車掌と運転士の通信を聞くことができました。 

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 一度だけ、実家の近所で人身事故が起きたことがあって、たまたま電源を入れていたら、現場の緊迫感のある通信が聞こえてきて、その大変さが伝わってきました。ちょっと野次馬根性が出てしまって、現場まで見に行ってしまいました。田舎路線だけあって、他に野次馬もいないので、非常線もシートも張らずに現場検証していたものだから、並行する山道から丸見え。ここから先はあまり詳しいことは書きませんが、切れてしまった物がそのままの状態でした。

 まあ駅員経験者なので、さんざん見ているのですけどね。東京などとくらべて田舎の警察や消防なので、作業ののんびりさが良くわかりました。

 

 ところで、送信したら返事してもらえるじゃん?って思った方、手を挙げてください。

 そんなことをやってはいけません。この周波数の使用許可を得ているわけではないので、電波法違反になります。そこは良くできたもので、こういった国鉄放出品は、販売される時点で送信用の水晶が取り外されているので、受信は出来ても送信は出来ません。なので、用途としては、ホームセンターなどで売られているレシーバーと同じで、単に国鉄やJRの無線の一部しか聞くことはできませんよということです。

 ちなみに傍受することは合法ですが、内容を第三者に口外すると電波法違反になります。なので、Youtubeなどで無線通信入りの鉄道動画を流している方もいますが、厳密に言えば電波法違反です。まああの程度で告発はしないでしょうけど。

 最近の鉄道無線は傍受されていることが良くわかっていて、機密情報や個人情報は流さないようにしています。ある程度業務内容の通話が終わったところで、「乗客の情報は携帯電話で○○指令まで伝えてください」と言っていました。個人情報の流出に配慮しているわけですね。


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  今回の記事はCタイプ(乗務員無線)という形態のもので、国鉄の中でも初期の物です。他には首都圏を中心に用いられているAタイプ(同時通話可能)、主要幹線で用いられているBタイプ(同時通話はできないが、他の発信者の音声も聞こえる)があります。これは別稿で記事にします。

 国鉄の無線通信設備は三河島事故をきっかけで配備され始めましたが、全国にはまだまだ普及していませんでした。古い映画などを見ると、車掌と機関士の合図は旗を使ってますよね。

 最初に全国規模で配備されたのが、この乗務員無線になります。携帯したのは機関士、運転士、駅や信号所などです。上の写真のようにチャンネルは「上り」「下り」「入換」になっていますが、上りと下りはそれぞれの列車の進む方向でチャンネルをあわせて運用し、入換は駅での入れ替え作業などで使われていました。そして、駅側の無線機は常時「入換」にして電源が入っていたので、列車から駅を呼び出すときは入換に変更して呼び出していました。

 その後、CTCなどの集中制御システムが始まってから、沿線に基地局が設置されると、指令から基地局を通じて列車と直接通信できる仕組みになってきました。

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 このように指向性のアンテナが駅などにありますが、これがCタイプ無線用の基地局アンテナです。

 しかし、JR北海道などは無線の不感地帯も相当残っていて、困っているようですね。

 

 現在、JR西日本などでは、路線ごとにチャンネルを決めていますので、受信する際は注意が必要です。逆に上下線ともおなじなので、聞く方は便利ですよね。

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 これは越前花堂駅の看板ですが、北陸本線のチャンネルが「入換」なので、この先はチャンネルを変更しなさいということです。

 

 

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 この無線機の型式は「400-2」となっていますので、車掌や駅用になります。400-1は運転士、機関士用です。違いは合図ボタンの有無です。

 

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 合図ボタンは左の飛び出たもので、これを押すと、断続的にプー、プーと音が鳴りだします。貨物の入れ替え作業中の動画でよく耳にすると思います。赤色は非常警報ボタンで、一度押すと警報音が鳴り続けます。列車を緊急で止めるときに使います。

 

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 ここまでが国鉄の話ですが、JRになってから、JR各社が個別に無線メーカーと契約するようなってきたので、仕様は同じなのですが、デザインの種類が増えてきました。NEC東芝、三菱、日立の物でそれぞれ違ってきます。

 

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 手持ちはこの日立製のものです。いまでもJR北海道、西日本、四国、九州や第三セクターなどで使われています。消防でも同じタイプを使っているところもあるので、日立の業務用無線のシリーズで、業態に応じて周波数をセットして販売しているのでしょう。
 

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 チャンネルは15個入るようになっていますが、上り、下り、入換の3種しかセットされていません。

 

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 ちなみにこちらは、乗務員室に取り付ける充電用の架台です。鉄道ショップでたまたま売られていたので500円で買いました。何も役立ちません。インテリアとしても無理がありますね。 

 

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 中はこのように無線機をセットできるようになっています。

 

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 上に穴が開いていて、アンテナが入ります。車外に持ち出す時には、このアンテナを抜いて本体に取り付けます。普段は列車の屋根についているアンテナからのケーブルを接続しておきます。外部アンテナの方が通信距離が延びますし、音質も安定しますからね。

 

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 乗務員室にこのような形で設置されます。これは東芝製ですね。

 

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 外部アンテナはこちらです。この筒の中に納まっています。アンテナだけですと、何かに当たったときに折れてしまいますので、ガードされているわけです。

 

 寝台特急はやぶさに乗っているときに、たまたま車掌と広島指令の通信を聞いていたのですが、車掌の持っているハンディの乗務員無線では出力が弱いらしくて、全然会話になっていませんでした。最後は、指令が切れて、「聞こえていたら、広島輸送指令まで携帯で電話してくれ!」って叫んでいました。

 以前は、車掌室に設置してある車載器で通信していたので、安定していたのですが、ハンディだけになってしまったようです。 

 

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 さて、話はもっとマニアックになっていきます。客車列車の発車合図ですが、地域性があるのはご存知でしょうか。

 通常の会話はこういった形です。

 1 車掌:こちら車掌ですが、(下り)1列車運転士さんどうぞ。

 2 運転士:1列車運転士です。どうぞ。

 3 車掌:1列車〇〇駅発車。

 4 運転士:1列車発車。

 私の聴いた感じでは、JR北海道が一番丁寧ですね。1~4のすべての会話があります。他は〇〇駅を省略していたりします。JR東海は4が省略されて、警笛でした。

 

 ちなみに主幹駅では発車合図を車掌ではなく、駅で出していました。ちょうどその場面が分かりやすい動画がありましたので、リンクを貼っておきます。

 列車には車掌長と助役が映っていますが、発車合図を出しているのは助役です。もちろん、この車掌長も無線機を持っていると思いますが、駅側が発車合図をだすことになっている駅では用いません。 

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 鉄道無線を聞いてみたいという方へ。

 いまでは、マニアだけではなく、災害対策用に受信機をを購入する方もいると思います。鉄道無線も聴きたいという方は、アイコムのIC-R6をお勧めします。JRの通信の一部は空線信号といって、通信がないときはピーという信号が流れていて、単純に音声受信をしていると鬱陶しくてしかたがないのです。これを自動でカットしてくれる機能を早い段階で装備したのが、この機種です。同じシリーズで古い物を中古で買うのであれば、安く手に入ると思います。

 なお、首都圏を中心としてデジタル通信に移行しているので、聞けなくなっています。地方であればまだまだ聞くことができますよ。

 周波数については、適当に「鉄道会社名」+「周波数」とでもいれてググってもらえば出てくるともいます。 

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