旅と鉄道の美学

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【切符系】 戦う乗車券ではありません。 (戦傷病者乗車券)

  ここに1枚の乗車券があります。 

 

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  「後払」はなんとなくわかると思います。郵便料金の料金後納郵便みたいなもので、後払いということですね。要するに掛け取引です。

 

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 こちらは特急券の事例です。

 

 そんなことより、右の「戦」が気になりますね。い・く・さ? 

 軍人用の乗車券? 昭和53年にしては変ですね。

 

 たしかに、昔は軍人用の乗車券がありましたが、それとは違います。

 これは、戦傷病者乗車券です。

 

 根拠は「戦傷病者特別援護法」にあります。


23条 戦傷病者で公務上の傷病により政令で定める程度の障害があるもの及び政令で定めるその介護者は、運賃を支払うことなく、旅客会社等の鉄道又は連絡船に乗車又は乗船することができる。
2 前項の規定により乗車又は乗船することができる回数、区間その他の必要な事項は、政令で定める。
3 国は、第一項の規定による取扱いに伴う鉄道及び連絡船の運賃を負担するものとする。
4 前項の規定による負担の方法その他の必要な事項は、国土交通大臣が定める。

 

 これに基づいて、政令である「戦傷病者特別援護法施行令」、各旅客鉄道会社が

「戦傷病者乗車券引換規則」を定めて運用しています。そして、3項にあるように「後払」は本人が払うのではなく、国が後払いをするということです。

 

 つまり、戦争で苦労され、傷病の身にある方の乗車券ということですね。戦った方の乗車券といえるでしょう。このような乗車券を購入される方は、ほぼ鬼籍に入られているころだと思います。この乗車券が今後、発行されないような世の中で会ってほしいと願うところです。

 

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 なお、無料となる範囲は下記の通りです。

 ① 乗車券(企画乗車券は除く。)

 ② 自由席特急券急行券(100キロ超の乗車券と併用に限る。)

 

 ちなみに、マルスで発券する場合は、下記のように乗車券上に[戦後]などと表記されます。

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 これは旧式のマルス端末に表示されていたコード表です(京都鉄道博物館)。