20年ぶりに銚子電鉄に行ってまいりました。今回は、趣味旅というよりビジネス上の参考にならないかという視点での旅ですね。前回の訪問時から、多くの困難に立ち向かいながらも、ウルトラCで乗り切ってきた社長の手腕が実際にどのように表れているのか、この目で見たかったからです。
結論からいうと、オモシロイですよ。この会社。基本的に、私がローカル線を訪ねるときは、残存する国鉄感や地方私鉄の廃頽感を味わうことが目的なのですが、この鉄道会社にはそれは感じられません。見かけはくたびれていて苦しそうなのに、みんな腹の中では楽しんでいるようなシタタカさを感じます。社長の発言で、「当社は煎餅屋でございます」という一言がありますが、これがこの会社を見事に表現しています。この会社をモデルにビジネス書を書くとれば、『銚子電鉄は煎餅屋でございます―運転士兼社長の挑戦―』みたいになるでしょうね。
リンク⇒銚子電気鉄道株式会社 銚電ストーリー(奇跡のぬれ煎餅)
というのも、この社長なんですが、「税理士」で、「社長」で、「電車運転士」。もともと経営危機に陥ったときに、顧問税理士をやっていて、数字に強いということで社長になったらしいんですね。このスタートが正解ですね。会社経営というのは、携わってみるとわかりますが、表向きはブランディングや積み重ねられた技術力、販路、マーケティング戦略などが派手に語られますが、本当に大事なのは正確な数字に基づいた緻密な経営計画です。まずベースとなる数字が読めないと会社経営はできません。いわゆるエグゼクティブ層になると、毎日、数字ばかりを追う日々となります。
で、この社長は、鉄道という畑は全く関係ないことと、数字に強いという二つの要因から、煎餅製造に加えて、さまざまな企画に注力するという発想が出てきたのでしょう。鉄道プロパーの人からはさすがに出てこないと思います。ただ、ちょっと付け加えておくと、この社長、小さい頃から電車の運転士になりたかったそうなので、根は鉄ヲタなんでしょうね。静かに語っていますが、心の中ではメチェメチャうれしいのだと思います。自分の税理士としての経験を自分の好きな鉄道会社に活かせて、しかも社長として自ら経営をして、なりたかった運転士にもなっているわけですから。地域からも愛され、成果も出している。
プレイングマネージャーという言葉はありますが、この場合は、プレイングプレジデントとでも言っておきましょう。まあ中小企業のおやっさんですよ。
ここまでの話は下記をご覧ください。おおむねわかると思います。
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ちょっと毛色のちがう前説でしたが、いつものように旅の記録に入っていきます。
どのような乗車券で旅をすればいいのか?
いちおうフリーきっぷ1択となります。
金額も銚子⇔外川の往復運賃と同じなので、全線乗るのであれば、これでしょう。銚子駅はJRの窓口しかないので、購入できませんが、車掌か運転士が持っています。
これは各種施設で割引等もついていますので、忘れずに(下記リンクを参照)。
リンク⇒ 銚子電気鉄道株式会社
私が行ったときは、減便されている時間だったので、これを使って、いくつかの駅に降りるために、行ったり来たりしました。さらに、駅間の近いところは徒歩で移動して、有人駅すべてに訪問してきました(ですが、コロナの影響で二駅休業中でした。)。
ちなみに有人駅は仲ノ町、観音、笠上黒生、犬吠、外川です。仲ノ町と観音は近いので徒歩移動がおすすめ。
こちらは平成7年にいったときのもの。100円安いですね。
切符収集目的の場合は、ちょっと別の選択肢がでてきます。
左上に挙げたように、常備券がありますので、これを大人で手に入れようと思ったら、購入して乗車してもらって帰るという選択肢もあり得るからです。
おそらくJRから委託手数料も期待して積極的に連絡乗車券を売ろうとしているのだとおもいます。 本当は硬券の連絡乗車券などを用意してマニア向けにも売りたいのでしょうけど、JR東日本が許さないので、軟券なのでしょうね(券売機に詰まる)。
大井川鐵道や京都丹後鉄道は、派手に高額な硬券を用意して、マニア向けにも売ってますからね。
他に購入したキップは下記の通りです。団体乗車券もその場で作成していただけます。いろいろと購入し、微力ながら、支援させていただきました。
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それでは乗りレポにまいりますが、さまざまな工夫が各所に感じられたので、私なりの視点で見てまいります。
昼の銚子駅
夜の方がかっこよかったので、こちらも貼っておきます。
コンコースという表現でいいのだろうか。入ってすぐの空間。
シュッ改札付近です。
銚子電鉄はJR改札をいったん入って、2番線の切欠きホームになります。
このホームの先端です。
澪つくしカラーの電車がやってまいりました。
この駅からスタフ閉塞になりますので、駅員さんが運転士さんにスタフを渡します。このあたりは別の記事で詳しく解説します。なお、左に写っている出発信号機の存在を覚えておいてくださいね。この情報はあとで必要となります。
外観も非常に古風なのですが、すごいところはもっとあります。
隣のバラック様の建物が本社です。これから、すごく儲かっても、この本社は維持してほしいですね。なお、中の写真は下記のリンクを参照。
そして待合室と改札口。いつもの好きなアングルから。この駅はたいてい留置中の列車がいますので、このように列車を入れた写真を撮ることが可能です。夕日の時間などに撮影するといい写真が撮れるかもしれませんね。
もう1枚。何かというと、たぶんですが、日本一低い出札口と改札口です。この写真ではわかりにくいかもしれませんが、隣のヤマサしょうゆのベンチもそもそも低いのですが、改札口も出札口も低いのです。
ざっと60~70センチぐらいの高さだと思います。
これも最近は見なくなりましたね。是非、このまま続けてほしいです。
ホームも狭いうえに段差が厄介ですね。
で、今気づいたのですが、待合室と改札付近はモルタルでかさ上げされているかもしれませんね。いくら大正時代の人の身長が低かったといっても、低すぎですからね。
仲ノ町駅には車両基地と工場が併設されています。こちらをご覧ください。
社長がおもしろい。
【銚子電鉄】おもしろ社長が車両基地を紹介|乗りものチャンネル
(銚子電鉄公式サイト)