まずは国鉄時代の制帽の種別から知っていただきます。
赤帯に金筋2本の駅長です(鹿屋市鉄道記念館)。
赤帯に金筋1本の助役です(小浜線・山中駅待合室の展示物)。運転主任(後に輸送主任と名称変更)も同じでした。
これは平駅員の制帽です(自己所有)。白のカバーがかかっているので、正確にいうと、優等列車の車掌長か専務車掌ですが、気にしないでください。白カバーの謎は下記の記事を参照。
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で、JR東海の制服が変わったときからの疑問が表題の件です。
現在の駅長の制帽を見たら、金筋3本あるんですよね。スゴい豪華です。
某駅で駅長さんがいたので、声をかけて撮らせていただきました。
JR東海の場合は標準で金筋1本が飾りで入っているので、駅長がプラス2本というのは、上記の国鉄のルールと整合します。駅長なので肩の星は4個ですね。
ですが、現在の助役の制帽を見ると、赤帯がプラスされているだけなんですね。
別の駅で声をかけて撮らせていただいたホーム監視中の助役さんです。ちなみに肩の星は3個です。
ということは、どこかに、この中間にあたる金筋がプラス1本の人がいるのだろうという疑問が湧いてきました。巡回中の駅長さんがいたので、尋ねてみたのですが、いるのかいないのか分からないという返事でした。
そして、新幹線に乗っていたら、ついに発見しました。珍しかったので、写真を撮らせてもらいました。
職位は「総括助役」だそう。助役は何人もいますが、総括助役は1人か2人だろうと思います。それに、そもそも総括助役を置く駅などはよほど大きな駅でしょうから絶対数が少ないはずです。だから、なかなか見当たらなかったんですね。遭遇するのは、結構レアだと思いますよ。 赤色が鮮やかすぎて旧日本軍みたいです。
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ちなみに、帽子に金筋を引くのは警察や消防と同じく厳格な指揮命令系統を重視する組織において指揮官がすぐに判別できるようにするのが目的です。逆に「あさま山荘事件」では、指揮官が狙い撃ちにされるので、途中でヘルメットの指揮官章を外していましたね。
では、赤色を使うのはどうしてでしょうか。これはヨーロッパの鉄道員を見るとルーツがわかります。ヨーロッパを旅したら、駅で発車合図を出している助役さんの帽子をみてください。赤色になっていると思います。赤の帽子は運転関係の職務権限を意味するのでしょう。
他の国をみると、私服だったり、ポロシャツだったり、帽子がなかったりします。おそらく鉄道というものにどれだけ権威がおかれているのかというレベルの差なのだと思います。東欧などは、鉄道というものは軍事施設の位置づけですから、軍や警察にならぶような国家的権威のある組織という雰囲気なのでしょう。
まだ軍事政権下にあったミャンマーにおいて、私が駅員さんと話をしている最中、私の後ろを駅長さんが通った時に、突然、敬礼をしていたのが印象的でした。駅員さんにとっては、接客より駅長への敬意の方が大事なんだということですね。
セルビアの助役さんです(駅名失念)。
モンテネグロの助役さん(ポトゴリッツァ駅)。
インドネシアの助役さんです(スラバヤ駅)。
台湾は日本統治時代の影響もあって日本仕様ですね。
こちらは台湾鉄路局の助役さん(池上駅)。
おなじく台湾鉄路局の助役さん(桃園駅)。合図灯の出し方も日本と同じです。