旅と鉄道の美学

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【コラム】 「黄色い線の内側までお下がりください。」って放送はやめた方がいい。

 ここ5年ぐらいだと思うのですが、新幹線ホームなどの案内放送って変だと思いませんか?「黄色い線の内側までお下がりください。」って言ってますけど、「黄色い線までお下がりください。」が適切ではないでしょうか(黄色を含めるのか誤解を生む)。しかも、点字ブロックの上に立っている人に、「危ないのでお下がりください。」とかスゲー叫んでいることもあるけど、目が不自由な人は点字ブロックの上に立つわけで。。。注意されている人も腑に落ちないでしょう。叫んでいる当の駅員は矛盾を感じないのでしょうか。ホームの造りと案内放送の内容があっていませんよね。

 しかも最近は黄色って言っても、目の不自由な方にはわからないので、点字ブロックと言うべきだといわれてますね。

 なので、「点字ブロックまでお下がりください。」というのが一番、誤解を生まないですし、点字ブロックの上に立っている人を注意すべきではないのです。その場所が危険なら点字ブロックの設定位置が間違っているのですから、点字ブロックを移動せねばなりません。

 

 ということでホームの白線の歴史でも振り返ってみます。  

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 まずはラインなど何もないものです。昭和58年8月の辰野駅です。いま思うと、このクラスの駅でラインが無いのはさびしいですね。ちょうど前の月にみどり湖経由の路線が開通し、斜陽化しつつあったのが影響しているのかもしれません。

 

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 同じ日の下諏訪駅です。白の点線です。これが「白線までお下がりください。」という案内放送のきっかけです。経緯は列車の高速化です。客車や気動車の時代に比べて電車の進入速度や発車速度は速いので、安全のため、乗客を遠ざけたのです。客車の時代は手動扉なので、高校生などは停まる前に飛び降りていました。

 

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 さらに、同じ日に撮影した上諏訪駅です。白線の手前に点字ブロックがあります。ちなみに奥のピンボケの列車は「サロンエクスプレス東京」です。

 以上の3駅を並べたのは、駅のグレードによって違うことが歴然としたからです。

 

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 同じく前日に撮影した名古屋駅です。白線と点字ブロックとなっています。奥に写っているのは特急「しなの」です。

 

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 昭和60年の豊橋駅です。ホームのかさ上げ工事が終わって白線が廃止されている状態です。このころから「黄色い線まで下がって。」の放送が始まったと思われます。ワムの貨物列車で、車掌も乗っています。

 ちなみに現在の豊橋駅はもう1段かさ上げされています。だいたいどの駅も同じだと思いますが、客車対応→電車対応→バリアフリー対応で2回かさ上げされています。わかりやすい事例は下記の宝積寺駅を参照ください。 


 

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  これは木次線です。ラインを1本で引いてしまう昭和後期から平成初期型です。塗装やシート貼りではなく、溶着なので、施工手間の関係から1本になっています。 

 

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  地方路線だといっぱいいっぱいで作ってあります。宍道駅です。

  

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 これは松江駅ですが、高架化したときに設計をミスってますね。点字ブロックは関係ないとしても、あの支柱は危なすぎます。かなり不親切な造りです。

 

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 これは福岡市交通局ですが、点字ブロックの上に並んだとしても、その前を通過できるだけのスペースを空けてあり、非常にわかりやすいですね。これが一番いい例だと思います。ただし、黄色が凸部だけなので、色弱の方には見えづらいです。ここだけ減点です。

 

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 仙台市交通局の事例です。扉に近づきすぎの点字は適切なのでしょうか。あの位置に立っていると、他の鉄道会社では明らかに下がってくださいと言われれるレベルです。

(ホームドアから線路側のクリアランスに余裕があるのかもしれません。。。)

 

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 博多駅の新幹線ホームです。点字ブロックが二重でわかりやすいですね。しかも乗車口表示が点字ブロックよりホーム側に表示されており、点字ブロックの上から順に並ぶことが想定されています。