旅と鉄道の美学

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【切符系】 JRにまだ改札鋏が残っている説。(福岡市・筑肥線・姪浜駅)

  自分史上では、新宿駅京王乗換改札と秋葉原駅デパート口を最後にJR改札口で改札鋏が使われている姿は見てなかったのですが、このたび20年ぶりに発見したので報告です。青春18きっぷをこの駅で使い始めたら面白いかもしれませんね。

 まさか今の時代に普通に出会うとは思いませんでした。  

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 まず改札鋏の説明からしておきますね。これは私の所有するうちの一つですが、年配の方は実際に目にしたこともあると思いますし、地方にはまだ残っています。

 今はICカードが幅を利かせており、乗車券を購入するという行為すらなくなりつつありますが、かつては窓口や券売機で乗車券を購入し、改札で見せて鋏を入れてもらうという一連の儀式がありました。いまでも、自動改札を通れない非磁気券(下に掲出したタイプ)の場合は有人改札を通らなければならず、そのときはスタンプを押してもらえると思います。自動改札機なら小さな穴があけられますし、最新機種は時間と駅名が赤字で印字されます。

 この鋏を入れる(スタンプを押すなど)というのは日本の鉄道にとっては非常に重要な行為です。これを境に変更や払い戻しの基準が変わってきますし、 駅によって形もさまざまでした。更には特定日や時間によって形を変える場合もあり、不正乗車摘発の証拠にもなるのです。

 

 東京ならしばらく前に高尾山ケーブルで見かけました。 都内で残る唯一の改札鋏ではないでしょうか。

 

 では、使用方法です。別に切るだけなら、むずかしいわけではないですが、早く切るにはコツがいります。下の動画のように、客が近づいてきたらアイドリングを始めて瞬時に切っていくのです。

 
 私は改札の経験はあるのですが、中間駅の有人改札だったので、新宿や渋谷などのように大量の客を相手にすることはありませんでした。なので、上手ではありません。 

 

 本当のプロの技は下記ごご覧ください。


【現場から、】平成の記憶、“便利さ”追い求め「切符」30年

  

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 さて、本題の改札鋏が残っていた駅です。場所は福岡市の西区、姪浜駅です。地下鉄と筑肥線の接続駅になります。

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 通常はこちらの大きな改札を利用すると思います。ここは福岡市交通局の管轄になっていて、地下鉄の駅員がいます。

 

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 改札鋏があるのはこちらです。東口で、ショッピングモールに直通する改札で、JR九州が管轄しています(※)。この駅自体は交通局の管理なので、JR九州も肩身が狭そうです。

 

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 実際の入鋏例です。形がいびつですが、これは切れ味が悪くて一部が残ったからです。形はです。改札鋏があるとは思わず、なんとなく降りた改札とは別の口から乗ってみようと思っただけです。別のルートを通ってみようという性癖です。

 

 ご覧の通り上記の乗車券は自動改札を通れないので、有人改札を通ることになります。そしたら、年配の改札氏(たぶん国鉄採用の最後の世代ぐらい)はおもむろに筆立てに立ててあったシルバーの改札鋏をとりあげるではありませんか。思わず、おっ!って聞こえる声で言ってしまいました。非常用においてあるパターンはひょっとしたらあると思うのですが、常用で改札鋏をつかっているのは驚きでした。JRが直で管理する改札では日本で唯一ではないでしょうか(※)。

 いちおう横にスタンプも押してもらいました。

 

 ※2022.5.11補足

 この改札口自体の管理も交通局で、駅員さんがJRから派遣されているだけかもしれません。なので、この改札鋏は交通局のものをJRの駅員さんが使用しているという理解が正確かもしれませんね。

  

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 後日、別の用事があったので、またまた有人改札を訪ねて鋏を入れてもらいました。今度は若い駅員で、なんと「使い方がわからない!」とのこと。上下逆に持っていたので、えらそうにレクチャーしてしまいましたよ。

 

 シルバーなので、30年以上使われている古いタイプだと思います。新しいものは上の写真のように黒の焼きが入っているタイプです。

 

 なお、実際に改札鋏がほしい方は、東京の神保町にある書泉グランデ6Fのエレベーターを出てすぐで売っていますので、購入したら良いと思います。本物ですが、実際に鉄道会社で使われた物ではないので、鉄道部品収集家の中ではレプリカ扱いになります。未使用でも鉄道会社のデッドストック品は価値があります。

 

 JRでは、たぶん他にないと思いますが、見つけたら追記します。