旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符などについて語ります。

【コラム】 時刻表を愉しむ。 その6 (時刻表で読書感想文は書けるのか?)

 今週のお題「夏休み」

 

 最後は、夏休み用にちょっとぶっ飛んだネタで時刻表シリーズ終了です。

 

 表題の件、だいぶキワモノだとは思いますが、結論として、人文・社会科学的な視点から書けばできるでしょう。ただし、評価されるような感想文とするには、論文とはいわないまでも、論説チックな文章を読みなれていないと難しいと思います。いわゆる文学少年や文学少女では苦しむとおもいます。

 また時刻表1冊では難しいです。昔の物と比較して、違いを探し出して、歴史的背景を探るなど、「資料」という研究材料にして書くしかないのです。あるいは地理的な分析を加えたりなどです。ここまですると、自由研究として発表した方が有益かもしれませんね。

 

 実は中1の夏休みに本気で時刻表で読書感想文が書けないか考えたことがあるのですが、一種の感性を大事にして書き上げないといけないような読書感想文に結びつけるのが難しく、断念しました。

  当時は、なぜ難しいか理由がわからなかったのですが、大学生になってなんとなくわかりました。フィクションをモデルにした場合は、多くは人の心を扱う形で感想を書いていくのですが、私にはその感じる心があまりなかったのです。いやむしろ、(社会)科学的に分析する癖が感情移入を邪魔していたのかもしれません。現象に対して、一歩引いた斜に構えた視点で見てしまうので、主人公の気持ちに入り込めないのです。かっこよく言うと、メタ的ってやつですわ。

 

 結局、本屋の棚を2時間ばかり眺めていて、タイトルを見て直感でこれに決めました。 当初の予定が時刻表なので、関連というだけですが。

駅 (角川文庫)

駅 (角川文庫)

 

 推理小説的要素がウリなのですが、そういう視点ではなく、猥雑さを醸し出す都会の駅の面白さみたいなものを感想文として書いたと思います。純粋に東京の繁華街ってこんな感じなんだろうな。。。みたいな。でも、難しくて半分ぐらいしか理解できませんでした。おそらく、ちびまる子ちゃんがちょっと大人じみた冷めた発言をしてキートン山田に突っこまれるような感想文になっていたと思います。

 

 当時はど田舎の中学生なので、都会の雰囲気ってものがよくわかりませんでした。もちろん別記事で書いた通り東京には既に旅行に行っていましたが、東京タワーと交通博物館ぐらいですし。都会のイメージといえば、あばれはっちゃくの世界でしたね。

 

  ★  ★

 

 さて、当時の私と言えば、読書が嫌いなわけではないのですが、文学全集のようなものには全く興味が無くて、ノンフィクション物を読んでいたので、変な雑学が積み重なっていました。古本屋で宝島社的な本ばかりを買って読んでいましたし。

 しかし、おもしろいもので、雑学的な情報も相互に連関していくと、何か社会の仕組みのようなものがわかってくるのです。特に大人の社会がどれだけ偽善に満ちているのかということがわかってくると、達観できるような境地になってきます。すでに自分より年上に対して、「最近の若者は・・・」とぼやくようになっていました。

 普通はここで、青臭い正義感から、いわゆる左翼的な思想に流れていくのが青年にありがちな傾向なのですが、世の中の汚い事情を知りすぎた関係上、仙人のような境地になっていたと思います。大学生時代は左翼でも右翼でもなく、オレは垂直尾翼だと言っていていたら、どちらからも日和見と言われましたね。私は、何でそうまでして、右だ左だと強引に決めつけなきゃならんのだと憤慨していました。

 

 ということで、もし中高生ぐらいで読書が苦手というお子さんがいた場合は、文学的な書物から離れて、ノンフィクション物を中心に読ませるのもありだと思います。この時期は、大人が考える道徳的な本ばかりが推奨される傾向にありますが、世の中はもっと汚いのだということを少しずつわかるような本に触れるのも勉強だと思います。もちろん聖職者たる教師は勧めないでしょうけどね。 それで面白いと感じるのであれば、社会科学系学部に進むと良いでしょう。

  

 

  優秀な読書感想文を書くには?

 

 私は、書評は書けますが、読書感想文はやはり苦手です。ここでは大御所にご登場いただき、読書感想文の必勝法を提示して締めたいと思います。

 

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 (文庫案内パンフ『新潮文庫の100冊』13頁より) 

 

 なかなか痛快でしょう? 当時の私は、これを読んで妙に納得しました。読書感想文って要するに偽善好きな大人に対して、大人の考える「素直な」少年・少女を演じて、喜ばせる事じゃんって思って、読書感想文が嫌いだった自分は、これでいいのだ(バカボンのパパ風に発音すべし。)と納得しました。

 「大人に心まで売るようなこと」を、「素直な心」を持った私はできませんでした。

 

  もともと『国語入試問題必勝法』などで好きな作家だったのですが、この冊子を読んで更に好きになり、他の本もいくつか読んだ記憶があります。

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)