旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符などについて語ります。

【コラム】 旅行・業務・防災全てに活用できる無線機は「デジタル登録無線」だと思う。

 複数の車で旅に出かけるときは結構威力を発揮しますので、じっくり読んでみてください。バイクのツーリングなどは必須でしょうね。親父がアマチュア無線マニアだった影響や、もともと機械好きということもあり、そこそこ語れます。

  鉄道旅行でも、途中で分かれて下車したような場合に活用しようと研究していましたが、携帯電話を持ち始めてからはどうでもよくなりました。お急ぎの方は、太字だけ読むと要点がつかめます。

 

1 無線機に共通する利点

 ① 道路交通法の適用除外なので、車の運転中も使える。

 液晶やテンキーがついているマイクは通話のみが運転中可能です。

 ② 基地局が無くても通信可能(MCAやIPを除く。)。

 携帯が圏外になる山岳ガイドなどで使われるのはこれが理由です。

 ③ 一斉連絡が可能。

 イベント運営などで無線が多用される理由です。一斉連絡ができるうえ、他人の通話も傍受できるので、全員が情報共有できるということですね。さらに、機種により個別通話が可能です。

 逆に、みんなに聞かれていることをうっかり忘れて、無線で女を口説くと、TAXI2のように署長に聞かれてしまいます。 

  

 ④ 即応できる(電話のように呼び出す作業がない。)。

 電話している最中に、無線で何度も呼び出されると逆にうっとうしいです。

 

 不便な点は、多くの機種で電話のように同時通話ができないことですが、慣れるとそれほど不便ではありません。

 

 

2 無線機ごとの特徴 

 ここでは一般の人が容易に利用できるものだけ扱います。 

 

(1) CB無線

 60代以上の方には、市民ラジオといった方が、合法っぽい感じに聞こえますかね。1980年代ぐらいまでは、同じ周波数を使用する無線機の輸入版が出回っていて、トラックの運ちゃんが使っていました。もちろん違法で、出力が馬鹿でかいので、国道をトラックが通るとテレビにノイズが入ったりといった問題があり、電波管理局と警察はよく取締りをやっていたと思います。流行ったきっかけは「トラック野郎 爆走一番星」です。 

トラック野郎 爆走一番星

トラック野郎 爆走一番星

 

 その違法イメージが強いので、CB無線=違法と思われる方もいると思いますが、法律に適合した無線機なら合法であり、だれでも運用可能でした。当時、友達に電気屋の息子がいてCB無線をもっていたので、使わせてもらったことがありますが、AM電波であるうえ、トラックの違法電波の方が強くて全く使いものになりませんでした。

 いまは、コアな無線マニア以外、誰も使っていないと思います。

 まだ、法的には使って良い無線機ですが、実用性を感じません。

 どんなイメージか知りたい方は、映画「突入せよ!」をご覧ください。会議で議論の末、途中から警視庁仕様のFM無線機にかわります。最初の「至急、至急、長野本部」という場面がAM無線だと思いますが、本物はあんなにクリアに聞こえないと思います。 途中で、「弁当の催促をすんな!」って叱られているあたりが近いです。

  

(2) アマチュア無線

  非プロ無線の中でも一番、発展性があるのがこれですね。多数の周波数や高出力も可能で、海外との通信をしている方もいます。東日本大震災の際は、東北で孤立した人が関西の人を通して現地の情報を送ったり、アマチュア無線家がボランティアとして情報伝達の支援をしたことで有名です。うちの親父の車には常にこの無線が載っていました。高校生時代は、親父が通勤する方向と時間が同じだったので、ほぼ毎朝、車に乗って登校していましたが、よく他人とあんなに話すことがあるものだと感心しました。

 しかし飛距離はすごかったですね。50キロぐらい平気で飛ぶので、驚きました。

 難点は、使用者すべてが免許を持っていないといけないことと、業務使用が禁止されていることです。 あとはきわめて個人的な理由ですが、アマチュア無線マニアの独特な口調がどうも好きになれませんでした。

 受信周波数が拡張されている機種が多く、長野県にいったときに警察無線が聴けたのは驚きました。いまはデジタルなので聴けません。

 

 

(3) 特定小電力無線

 一時期はスキーヤーが使っていましたね。山間部だと5キロ近く電波が飛びますので、十分使えました。チャンネルをかえて他人の通信に割り込んでナンパするといった技があったようです。私はやっていません。いま使われているのは、交通誘導ぐらいでしょう。

 私が最初に使ったのは高校の文化祭です。当時、肩書だけが偉そうで、単なる閑職の「生徒会副会長」を中学に引き続き高校でもやっていました。特定の仕事がないので、何となく興味のある行事の運営に首を突っ込んで、自分流に好き勝手にやっていた記憶があります。外でやる行事の運営で、放送室と連携をとらないといけない場面が多く、かつては伝令者を使っていましたが、いつもの癖で合理化です。職員室にこの無線機が入ったので、興味もあって、さっそく利用させてもらい、伝達ミスもなくスムーズに運営ができました。学研のしょぼしょぼ無線機か、雑音ばかりのCB無線しか知らなかったので音声もクリアで新鮮でした。

 その後、大学の学祭で警備の責任者を担当したときに、大規模に使ってみました。当時、学祭運営本部と警備本部、学生部などの通信や書類の授受を伝令役を使っていました。下級生のころは、この伝令役にされて、戦国時代かよ!って思いました。

 私が上級生になったからには、根性よりビジネスライクです。伝令役は廃止して、全スタッフにこの無線機を持たせて、書類はファックスです。当時、大学の各部屋には内線用のモジュラージャックがあったので、そこにファックス機を差し込んで、内線電話を通じてファックスを送るわけです。これで数人減りました。私は座ったままで進行指示を出せるので楽なものです。

 

 で、この無線機。鉄筋コンクリートのビルでも5階ぐらいはなんとか通じるんですね。10000円レベルの無線機でこんなに実用性のあるものがあるとは驚いて、さっそくプライベートでも使い始めました。実家で使ったときはもっと驚きました。多少の山間地でも7キロぐらい通信ができるんですよ。

 現在は、中古で2000円ぐらいから売られていますので、イベント運営や駐車場整理、キャンプ、山登りなどでは、いちばんコストパフォーマンスがいいと思います。複数台の車で移動するときなどは、一斉通信可能な点で非常に便利です。電気や配管工事で使っていたりもしますね。あっ、そうそうキャバクラの呼び込みが使っていて、店同士で客の転送をしていますね。 

 

 

(4) パーソナル無線(廃止されています)

 まずはこれをご覧ください。すでに失効した私の無線局免許状です。 免許といっても申請するだけで、試験などはありません。現在、の制度は廃止されているので、使用すれば違法です。

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 当時、特定小電力無線の通信距離に飽きていたので、100倍のパワーがあるこちらに転向しました。しかし、お互いに共通する暗号のような番号(群番号)をもっておいて、チャンネル自体は自動で機械が選ぶ仕組みなのですが、電波が途切れたりするとチャンネルが迷子になって通信不能になる欠点がありました。その際は、リセットボタンをおしてメインチャンネルに戻るのですが、これが非常に面倒なのです。

 なお、この無線は業務使用にも可能ですし、登録申請だけなので、仕事で使っている方も多かったと思います。鉄道では、南部縦貫鉄道紀州鉄道で見ました。 

 

(5) デジタル登録無線

  最大5wで外部アンテナ可能なので、すごく飛びます。家の屋根にアンテナを着けてもいいですし、車の屋根につけても大丈夫です。行政への申請は必要ですが、書類は簡単ですし、費用もそれほどかかりません。ネットを探れば、リースアップになった無線機が大量に売られているので、型落ち品なら1万円程度で手に入るでしょう。

 勤めている会社でも、中古2万円の5W機を大量に購入して5年たちますが、まだまだバリバリ現役です。日本製はそう簡単に壊れません。

 この無線機の最大のメリットは、遊びも仕事もつかえることです。なので、自営業の方は会社経費で購入してプライベートでも使用できますし、レンタルして賃料を取ることも可能です。逆にイベントの運営ではレンタルで借りて使うと安上がりです。

 

 なお、機種選定は、デザインで選んだらよいと思います。出力は1Wと5Wがありますが、できれば、災害時の飛距離も考えて5Wを選択しておきたいところです。アルインコ製の場合は、AMBE方式の機種を選ばないと他社製と交信できませんので、注意が必要です

 

 それから、海と空での運用も敷衍しておきます。海は日本周辺海域が可能です。空は出力の低い1w機に限定されるので、スカイダイビングなどに使う場合は注意が必要です。もちろん海外での使用はできません。 

 

 無線マニアに定評があるメーカーはケンウッドのようですが、今は他メーカーもあまりかわらないようです。 

 

  これはアンテナのないコンパクトなタイプですが、出力は1Wですし、アンテナがないぶん飛距離に難があります。

 

 

(6) MCA無線

  これの最大のメリットは、全国で通信可能ということです。携帯より高出力な基地局が全国各地にあって、ほとんどの市街地と幹線道路をカバーしています。広範囲に移動して、室外に多い業種でよく使われていますね。高速バス、観光バス、警備会社など。最近はBCP対策として、各営業所に何台かおいたり、都内ではバイク便でも目にします。

 この無線機のデメリットは室内に弱いことです。ビル内に入ると基地局との障害物が多すぎて通信が難しくなります。

 

リンク⇒ [mcAccess e] 業務用デジタルMCA無線通信システム エムシーアクセス・イーの一般財団法人移動無線センター

 

 

 下記は高速バス(はかた号)で使用されている事例です。この機種で液晶画面を操作すると道交法違反になるようです。 通話だけなら大丈夫です。

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(7) IP無線

  一番新しいタイプですが、携帯電話網を使用するので、災害時に携帯電話の通信と輻輳を起こして通信不良になるのではないかと心配です(あくまで予測です)。これを選ぶならMCAの方が独自システムを用いていますし、公共公機関への納入実績が豊富なので無難だと思います。いまのところ評価が確定していないようです。

 

 

3 最適な無線機は?

 

 以上を総合すると、下記の観点から圧倒的にデジタル登録無線をおすすめしたいのです。

 ① 免許がいらない。 

 ② 簡単に登録できて費用も安価。頑張れば自分で書類を作れます。

 ③ 利用者が多い(災害時に役立つ。スキー場でナンパもできるwかも。)。

 東日本大震災の復興支援では、この無線機が大量に現地に持ち込まれて活用されました。それはレンタルが認められている無線機という点が大きいと思います。

 ですので、日本での災害時はどこでも同じような活用が考えられるため、携帯電話の通信が途切れた場合の通信手段として活用できると思います。

 ④ 遊びでも仕事でも使用できる。

 ⑤ 安価に導入できる(中古もよく売られている)。

 ⑥ 送信出力が大きい。

 ⑦ 海でも空(空は機種限定)でも使用可能。

 

 ただ、複数の営業所に分かれているような企業の場合は、あわせて営業所ごとにMCA無線も導入しておくことをおすすめします。これなら全国の市街地や幹線道路沿いはカバーしますので、携帯電話の通信が途絶えたときに威力を発揮しますこうすると、全国の営業所ごとに置いているMCA無線で営業所間通信を行って、営業所の誰か一人が高いビルや山に行って営業所内通信をデジタル登録無線で行えば、携帯電話が使えなくてもかなり実践的なBCP対策となります。

 

 

4 一緒にもっておくと便利な物

 

 ① 外部アンテナ

 車で移動するときなど、車内で使うより、屋根に外部アンテナを取り付けた方が電波の飛びは格段にあがります。マグネット式のアンテナを利用し、ケーブルは窓を少しあけて出せば車にキズを着けずにできます。

 また、災害などで避難先で運用する場合は、外部アンテナを最上階のベランダや屋上に仮設置すれば送受信範囲が格段に広がります。  

 

 ② 太陽光充電器

 災害時や山にいったときなど、電源を確保できないときに威力を発揮します。ガソリンタイプの発電機もあるといいかもしれません。

 

 ③ 電池パック

 通常は充電式ですが、電池パックのオプションを購入しておくと、災害時になどに役立つことがあるかもしれませんし、急に使うときにも便利です。車のシガーライター用充電器もあるといいでしょう。

 

 ④ マイク

 機動隊スタイルにしたい方はマイクなしで下げ紐をつけて、イヤホンを耳に着けたら良いでしょう。霞が関あたりにブーツはいて立っている人たちですね。背中から回してマイクだけ肩にもってきたらアメリカの保安官スタイルです。

 本体を背中に取り付けて(ポケットを縫うしかない)、イヤホン・マイクを前に持って来ればSWATスタイルになります。サバゲーでもつかえます。

 お好みでどうぞ。純正品ではない物を購入する際は、適合品かどうか必ず確認してください。

 

 

5 普段から心がけておくとよい点

 

① チャンネルは固定してテプラで明記する。

 デジタル登録無線は意外とボタンが多くて、初めての方は戸惑うかもしれません。購入後は数日、受信してみて、あまり使わなさそうなチャンネルを探し出して、ロックしてしまえばいいと思います。そうしないと、チャンネルがバラバラでいざというときに混乱をきたすからです。私の勤めている会社でも、導入した際に各拠点に振り分けた物を全部同じチャンネルで固定して、触れないようロックをかけました。

 なので、ときどき高いビルで点検をしているときに、相当遠くで仕事をしているはずの他の営業所の通信が入ってきて、お疲れ~w、おひさ~w、みたいなことになります。

 テプラは「主:CH26、副:CH27」とか貼っておいて、万が一でも困らないようにしておきます。

  

② 簡単な取り扱い手順をテプラで明記する。

 なかなか慣れないとボタンの多い無線機には戸惑う人が多いようです。最低限の使い方は本体に貼っておくことがいいでしょう。

 

③ 取説の必要な部分のコピーをラミして一緒にしておく。

 災害などの緊急時には、充電器ごと外に持ち出すようなことも出てくると思います。取説の重要な部分をラミネートして充電器に紐で結んでおきましょう。ラミは必ずしてください。集中豪雨の中、紙を持ち出したらボロボロになってしまいます。

 

 

 6 意外な使い道

 いまは携帯電話、ってかスマホ万能ですが、山間部や建物内だと電波の受信状態が悪い場合があります。携帯電話会社に頼むと、携帯用の簡易基地局の装置を着けてもらえますが、それもある程度利用者が見込める場合だけです。

 そのような携帯が圏外となる場所で無線という選択肢を考えるといいと思います。ここ10年ぐらいで駅も相当配備されましたね。私が駅員の時代は、まだ無線機を持ってなかったので、事務所との連絡はだれか走るか、詰所にあるテレスピ(持ち上げて叫ぶと、駅の全部の受話器で自動で声が出る。)で呼ぶしかなかったので、ラッシュ時は面倒で仕方がなかったですね。

 

 

 7 違法無線に注意

 ネット上では、輸入物の無線機で、すぐ使えて飛距離抜群的な売り文句で売られている物がありますが、ほとんどが電波法違反と考えていいと思います。無資格で1W以上の出力があって、400MHz帯の送受信になっていたら疑ってください。あやまって送信していて取締りにあう可能性も十分あります。今や電波管理局はタイムリーに発信位置を確認していますので、かなりの精度で特定できるようです。受信だけなら大丈夫ですが、送信できないと使い道がありませんよね。リサイクルショップなどで違法無線機が売られていることもありますが、お店は事情を知らないと思います。

 今はそれほどコストを掛けずに合法で実用に耐えうる無線機があるので、違法無線に手を出すのはやめましょう。

 

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