旅と鉄道の美学

鉄道を中心とした国内外の旅と切符など。リンクフリーです。

【コラム】 こだわってみよう オレ流 旅の行程表

 出かける前も遠足、帰ってからも遠足。これが真の旅師です。

 

 今回は、出かける前・・・のテーマの下、旅行の行程表を取り上げてみます。ツアーの場合は別ですが、自分で予定を組む場合はオリジナルな行程表を作成しなければなりません。これも楽しみながらやってみましょうという趣旨です。

 

 私自身の性格もあるのですが、宛のない旅というのはあまりしません。テーマを決めて、いかに効率よく回るかを考えています。おそらく、これは、小さいころに入場券を中心とした切符集めにはまってしまい、鉄道の乗継を必要最小限にして、どれだけたくさんの路線に乗って、どれだけたくさんの駅に下車できるかを友人と一緒に考えていたことが要因です。それに、途中でトラブルがおきたときにいかに復旧させるかというバッファもきちんと組みます。

 海外の場合は、国によって遅延の目安があるので、それに沿ってバッファを設定します。しかし、ビーマン・バングラデシュ航空の14時間遅れは参りました。最初から14時間遅れといってくれたらよいものの、7時発が11時になり、15時になり、18時になり、最終的に21時に離陸だったのです。おかげで空港から離れることができず、クアラルンプール空港の空港内ホテルから足裏マッサージまで探検し、すっかり通になってしまいました。最後は、同じ境遇のネパール人と一緒に空港内をうろちょろしていました。バングラデシュのホテルに着いた時には日付が変わっており、タクシーの運ちゃんと一緒に、ホテルの門を思いっきり叩いて、騒いでいたら開けてもらえました。

 なお、旅師的には、バッファの時間があまった場合もやることを考えておくことがベストですが、さすがにここはぶらりと街を散策すればいいのでしょう。

 

 ところで、有名な紀行作家の宮脇俊三が言っていたように、旅というのは、計画すること自体にもかなりの楽しみが潜んでいるものです。私なども小学生のときから、時刻表と格闘しながらノート1冊をまるまる使うぐらい何度も何度も計画を立て直したものです。駅の配置図などを参照して、自分の体力を勘案し、2分で乗り換えが可能かシュミュレートし、実際にダッシュして実験する。ときには階段で捻挫して途中で帰還したり、客が多くて乗り遅れたり(小淵沢駅会津若松駅で経験)といった目にあうわけです。さらに乗り換えがうまくいかない場合は、並行しているバス路線を使えないか、徒歩で無理かなど、ますますエスカレートしていきました。18歳あたりは、体力の消耗という点は完全に度外視して計画することが多かったですね。それが最高潮に達したのが下記の北海道旅行です。

 

 おそらく行程表を作る作業は、パズルを解くような楽しみがあるのではないのかと思います。少し事例が飛びますが、高校生の時に、数学の先生が時間割を作る係を担当していて、楽しそうにやっていたので同じ感覚なんでしょうね。

 

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  それでは、ケーススタディに入ります。

 以下の行程表の事例はどちらも自作のものです。この構成の元となっているのは、小学校3年の時に近所の駅で作成していただいた手書きの行程表です。それが妙にプロっぽい雰囲気を醸し出していたので、いまでも踏襲しています。

 

 まず、恥ずかしいのですが、小学生の時に作成した行程表です。これが自分史上、現存する最古のもので、これ以降がファイリングされています。漢字が書けないのか、読めなくなるリスクを考えたのか、ひらがなにしてますね。誤字もあります。自分で調べて作成した記憶はあるので、祖父にレクチャーを受けながらも、時刻表は何とか読み込めていたのだと思います。

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 秋葉原に朝の6:20着とかバカですね。ちなみにこの時が人生で最初の東京への旅行で、人生で最初のグリーン車体験でした。 東京から戻る際も、新幹線ではなく特急「踊り子」を利用しています。我ながら渋い選択です。

 

 

 さて、30年後の進化版はこちらです。旅の計画にパソコンやインターネットを使いこなしているとは想像もしなかったですね。

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  この行程表が表紙となって、後ろに地図やネットの関連情報を印刷したもの、地球の歩き方の縮小コピーなどが続きます。

  

 ポイント1: 24時間表記にする。

 これは基本です。24時間での表現は、運輸機関のプロ仕様ですから、旅師たるものこれに従います。また「10:09」などは「1009」として:をとります。これは気分的にプロ仕様にするってだけです。要するに見た目でテンションを上げるわけです。

 

 ポイント2: 列車番号などを入れる。

 海外の列車は列車番号で識別していることが多いので、必須の情報です。日本の場合は関係者しか使いませんが、業務連絡を読み解くことができます。北海道で列車が遅れていたときに、後続の急行がどんどん普通を追い抜いている情報が駅の業務連絡から漏れ聞こえており、知っているがゆえに自分は乗り換えられるのか心配になりました。 その際は●●列車としか言わないので、一般の人は聞いても、急行かどうかの判別ができません。

  

ポイント3: 入線・入港時刻を入れる。

  入港はいいとしても、入線時刻は大事です。自由席の場合は席どりの問題もあるので、ホームで待つ時間の対策が立てられる点です。JRになってからは効率のよい運用をしていますが、国鉄時代は間合い利用(急行がついでに普通運用をするなど)があるので、30分近く早く入線している場合もありました。 

  

ポイント4: 関連施設の情報を追記する。

 訪れる施設の情報をコンパクトに入れ込んでしまいます。ツアーなどの緊急連絡先や、空港で暇なときに立ち寄る噂のフードコート、コインロッカー、両替所などの情報までびっしり入れ込みます。

 もちろんこれらの情報を精査しながら、テンションを上げていくというのもあるのですが、行程全体がブラッシュアップされます。地球の歩き方の片隅に書いてある情報に目が留まったり、ネット上のわずかな情報を得たりと行程が洗練されてくるのです。学術論文を仕上げる作業に似ていますね。 さらに、地元限定のお土産情報なども書き込みます。

  

 ポイント5: 食事情報を追記する。

 意外と忘れやすい情報です。上の事例はミスったものです。急行1レ(列車を意味する)に食堂車があると思い込んで、食糧対策を怠ったため、夕食と朝食抜きで旅をする羽目になりました。途中で何度か長時間停車があったものの、夜中のロシアなので、なんともなりません。こういうとき、東南アジアなら深夜でも食糧が手に入ったりするのですが。。。 

 また、ガイドブックなどで必須のレストランがあれば忘れずに追記しておきます。その際はタクシーなどで示せるように現地語で住所を転記しておくのもありですね。 

 

ポイント6: 手帳サイズに縮小して印刷する。

 サイズの目安は車掌の持っている執務鑑(下図)です。行路表や時刻表とそのほかの情報がセットになったもので、ポケットに入れてすぐに取り出せるようにしているものです。発車寸前にポケットから出して確認している小さなファイルです。

 ただ、海外旅行に行くことが多くなって、A4サイズの関連情報(Eチケットなど)をファイリングしたいので、最近はA4の薄型ファイルを使っています。そうすると、そのファイルがそのまま旅の記録ファイルになるので便利です。

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大阪車掌区の執務鑑の事例

 

注意点:PDFで残す。写真撮影しておく。

 万が一、なくしても大丈夫なようにPDFにしてデータで保管しましょう。なくしたら現地で印刷したりもできます。ウェブ上に保管するなどの方法もありですね。

 あるいは、旅に持参するデジカメやスマホで撮影しておく方法もいいですね。

 

 という風に、行程表作りも極めるとなかなか面白いですよ。私は他人の旅行も組んであげています。それに調べつくしてから旅に出るので、見落としなどによる後悔が少ないですね。徒然草もそのようなことを言ってましたよね。もちろん私は、石清水八幡宮は上まで登っていますよ。